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OZ&SNJO            [コンサートの記憶]

小曽根真&スコティッシュ・ナショナル・ジャズ・オーケストラ
“Jazz meets Classic”
              ~東京文化会館 大ホール



(出演)
ピアノ:小曽根真
スコティッシュ・ナショナル・ジャズ・オーケストラ
ナレーション:橋爪功

(プログラム)
プロコフィエフ:ピーターと狼 op.67(トミー・スミス編曲)ナレーション付き
サン=サーンス:動物の謝肉祭(小曽根真編曲)

(アンコール)
カウント・ベイシー:The Kid from Red Bank



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ステージに演奏者がスタンバイし
さあ!音楽の始まりだっ という緊張感の中
よれよれのお爺さんが登場・・
その演技で あっという間に観客をつかんでしまう橋爪功さん。
彼のナレーションでの熱~い「ピーターと狼」!

しかし、演奏するのはスコティッシュ・ナショナル・ジャズ・オーケストラだから
オリジナルのプロコフィエフであるはずがない!(ややこしい!
つまり、リーダーのトミー・スミスの編曲版。

突き抜けて明るいはずのピーター少年は
やや影のある、少し思慮深い子に。
動物たちはスウィングして歩き、
漁師の鉄砲は百発百中!

装いも新たなキャラクターたちが織りなす物語。

橋爪さんのナレーションは まるで映像が見えるよう!
発せられた言葉は
そのまま生命を宿し
風景さえも彩り豊かに息づきはじめる。



音楽もお話も、本当にステキだったけれど
脚本が原作を補足しすぎて、冗漫になってしまったのが惜しかったなあ。。





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後半はトミー・スミスのサックスと小曽根さんのデュエットから。
「蛍の光」のメロディーを少し弾き
これをつくった人の曲ですよ、小曽根さん。

ロバート・バーンズ:My love is like a red,red rose

サックスが旋律を奏ではじめると
ふいにスコットランドの風を感じる。
その国の祖先が日本とつながっているのではないかと言われるくらい
郷愁は同じ感覚に満ちている。
静かな優しい音色。。







さて、「動物の謝肉祭」は小曽根さんの編曲。

ストリングスのないウィンドアンサンブルのためにアレンジされたのは
「そうきたかー!!」
というような驚きの連続w
拍子を変えたり、メロディーをフェイクしたりするのはモチロンだけど
楽器の組み合わせ方で こんなに音色が変化するのか~!
と、心底おどろいたのでした。

そして その素晴らしいアレンジを
最大限に表現するSNJO!!
小曽根さんのピアノも全開!!

あんまり楽しかったので
客席総立ちのスタンディングオベーション~♪♬



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                (この写真はweb上からお借りしました)





クラシック曲をアレンジする事に眉をひそめる人もいるはず。
でも、元の曲に深いリスペクトのある編曲なら
そしてそれを一流のプレイヤーによる白熱した演奏で聴けたら
きっと納得できるはず。

ここ数年、Jazz meets Classic のシリーズは
前半ピアノ・コンチェルト、後半ジャズ・セッションというプログラムだったが
今回は趣向が大きく変化した。

ジャズとクラシック、まさに両者の出会いと融合。
それが聴けたのは本当にステキな体験。。





































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GVSTAV KLIMT    [アートに逢いに]

クリムト展 ウィーンと日本 1900
         ~東京都美術館


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クリムトといえば金箔。
燦然と輝く、重厚感のある作風を思いうかべる。

けれど実物を近くで観ると
金箔の間に描かれた柔らかな色彩に気づく。
その繊細な描写は
まるでフランス印象派のよう!

そして、描かれた女性たちの表情には
画家の深い愛が溢れている。




展覧会はクリムトの生涯を網羅していて
金箔の作品は、その中の一握りにすぎないけれど。。







壁画「ベートーヴェン・フリーズ」はレプリカの展示だったが
原寸大ということで、迫力があり素晴らしかった。
ベートーヴェンの「第9交響曲」にインスピレーションを得たということで
その第4楽章「歓喜の歌」が流れていたが、これには閉口。
なにしろ絵は静かに観たいので、イヤホンガイドさえ借りないものww






ショップで売られていたシャンパンも金箔入り~☆


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ところで、展覧会に行く前に
だいぶ以前に公開されTVで放映された映画
「黄金のアデーレ 名画の帰還」の録画を観た。
ナチスによって奪われたクリムト作の絵画を
作品のモデルになった女性の遺族が取り戻そうと奔走する。。

私たちは
平和な世の中に生きていて
芸術を自由に感じることができる。

それは本当に幸せなこと。
そして とても大切なこと。。
















































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JAZZ meets クラシック and more      [コンサートの記憶]

ラ・フォルジュルネ TOKYO 2019

公演番号:315
      ~東京国際フォーラム ホールA:コロンブス

(指揮)ミハイル・ゲイツ
(管弦楽)シンフォニア・ヴァルソヴィア

(プログラム)
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー
(ピアノ)小曽根真


ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
(ピアノ)フランク・ブラレイ



ひとつのコンサートに二人のピアニストが協奏曲を弾くなんて!
さすが何でもありのLFJ!!


まずは「ラプソディ・イン・ブルー」から。



濃いブルーのシャツ姿の小曽根さんが
指揮者とともに(めずらしくw)ステージから登場。

冒頭のクラリネットが一気にガーシュウィンの世界に誘い込む。
ノリノリの管楽器。

ピアノのインプロヴィゼーションは
一体どこまで連れてってくれるのか!と思うくらい
長い旅路を存分に楽しませてくれる。
コンテンポラリーとジャズを行き来する
これこそ小曽根ワールド!

さらにはホルンとトランペット奏者がピアノの前に出て
即興演奏が始まる。
まったく、ピアノ協奏曲の途中に拍手が入るなんて
前代未聞!

まるでジャズのライブのような演奏会に会場は大興奮。
だけど、正直このオケがこんな風に演奏するなんてビックリ!
シンフォニア・ヴァルソヴィアは
以前に聴いたフォーレのレクイエムの印象がとても強かったから。










さあ、次のコンチェルトのためにピアノが入れ替えられる。
休憩なしなので、調律する時間がないためでしょう。

これで空気も入れ替わった。


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やわらかな長髪をなびかせて
フランク・ブラレイが登場。

美しい音色と
個性的な歌いまわし。
なんてシックでお洒落なラヴェルだろう!
まさにフランス人ならではのステキな彩り。
香り立つようなフレーズに心を奪われる。

早いパッセージの一音一音の
それは見事な輝きは
印象派の絵画のように煌めく。

そして第二楽章。
メロディーを奏でる管楽器の伴奏に回った時、
奏者の息づかいに寄り添うピアノのすばらしさに息をのむ。

特に私が大好きなイングリッシュホルンのソロでは
この世のものとは思えないような
あでやかなアンサンブルを聴かせてくれた。




このホールはとても広いので
ステージの両脇に大きなスクリーンが設置され
奏者たちがアップになって映し出される。
フランク・ブラレイの手、指は
無駄のない動きで音を紡ぎ出している。
まさに、驚異的!




私は以前、フランク・ブラレイが弾くフランス音楽が大好きで
このブログを「IMPRESSIONNS」と名付けたのも
ブラレイのアルバム・タイトルが気に入ったから。

その後、何となく方向が違ってしまった気がして疎遠になっていたけれど
この日は
ブラレイさま・ふっか~つ!!
のような演奏会だったな♪♬♪












ところで


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地上広場でDJ真っ最中のこの方は Aoi Mizuno(水野蒼生)くん。

なんと、クラシック曲でDJをやってます!
めっちゃカッコいいっ!!

ザルツブルグに指揮の勉強で留学中なのですが
つい最近、クラシック曲のリミックスのアルバムが
ドイツ・グラモフォンから発売されました。
と、いうことをラジオで知り
その話しぶりが好印象だったこともあり
LFJに出演するというので楽しみにしてました♪

LFJでもトークがライブ配信され
作曲家の藤倉大さんとの音楽のマニアックな話が凄くおもしろかったのです。

そうそう、曲をリミックスするといっても単にコラージュするのではなく
楽譜を分析して繋げていること等をLFJ主宰のルネ・マルタン氏が高く評価してました。

私は次の公演の時間が迫っていて
残念ながら途中までしか聴けませんでしたが
それでも、本当にエキサイティングなステージでした!
ちなみに他の2公演も大盛況だったそうですよ。

Aoiくんが言うには
クラシック音楽は演奏時間が長い。
作曲された当時と現代では時間の流れ方が違うのだから、聴き方も変わって当然。
今は音楽を持ち歩ける時代。
ヘッドフォンで聴いているとダイナミクスレンジが広すぎて困る。
だったらレベルも調整してしまおう!


アルバム「MILLENNIALS」のサブタイトルは「We Will Classic You」!!
Aoiくんのコンセプトも
選曲もステキでまいっちゃったなあ。

これからが本当に楽しみなアーティストです~♬♪



































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La Nuit dévoilée     [コンサートの記憶]

ラ・フォルジュルネ TOKYO 2019

公演番号:325
      ~東京国際フォーラム ホールB7:アレクサンドラ・ダヴィッド・ネール

La Nuit dévoilée ヴェールを剥がれた夜

(出演)
ミクロコスモス(合唱)
ロイック・ピエール(指揮者)

(プログラム)
Ⅰ 夜中にシューシューいうもの
タルボット:「レオン」より抜粋
モンク:ペスト
プーランク:「人間の顔」より お前わが耐える者、天と惑星たちとに笑いかける、
               昼は私を驚かせ夜は私を恐れさせる
ラーシェン:黄昏のハリング
スローリーエン(エリクソンによる編曲):イエンデの子守歌

Ⅱ 夜は影の中で、輝きと結婚する
モンク:ユダヤ人の物語、ダンス、夢
マンテュヤルヴィ:子どもの声
ペーデシェン:晩祷

Ⅲ ヴェール、声、ルーン
タルボット:「レオン」より抜粋
ルボフ:黒は色だ
トルミス:波のうなり
グリーグ:「抒情小曲集」op.71から
ソンメロー/ペーデシェン:結婚行進曲




                   (この記事の写真はweb上からお借りしました)

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暗いホールに どこからかチャイムのような響きが聞こえてくる
同じモチーフが繰り返し鳴り続ける
古代の民族のような衣装を身につけた人達が静かに登場すると
チャイムはハンドベルのような楽器だということに気づく
それと良く似た旋律を歌った後、ステージへ。。

子音だけの歌
こどもの遊び歌のような軽やかな歌
シビアなコンテンポラリー
祝祭感あふれる晴れやかな曲・・

歌手たちは歌いながら
列になったり円になったり
ペアを組んだり
いくつかのグループになったり
まるで お芝居をしているように
常に動いている

指揮者だけが普通の服装で
でも 魔術師のように
歌を引き出して空中に放り上げる。。




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確かなストーリーはないけれど
多彩な楽曲となめらかな動きに惹き付けられる。
そして打楽器が効果的に奏され
何より素晴らしい歌唱(もちろん全曲暗譜)に
時の経つのを忘れて聴き入った。



終曲の「結婚行進曲」は
男女の歌手がペアになってゆっくり歩きながら
客席後方へ去って行く

あたたかで どこか懐かしい旋律に
幸福な余韻をのこして。。
































































            
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Vox Clamantis       [コンサートの記憶]

ラ・フォルジュルネ TOKYO 2019

公演番号:334
      ~東京国際フォーラム ホールB5:キャプテン・クック


(出演)
ヴォックス・クラマンティス(合唱)
ヴォックス・トリオ Robert Traksmann(vl) ・Laur Eensalu(va) ・Johannes Valja(vc)
ヤーン=エイク・トゥルヴェ(指揮者)

(プログラム)
ペルト:何年も前のことだった
ペルト:7つのマニフィカト・アンティフォナ
ペルト:スターバト・マーテル



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                (写真はweb上からお借りしました)








カウンターテナーが歌う もの哀しい旋律。
それに寄り添うヴァイオリンとヴィオラ。
弦楽器にも歌詞があるかのよう!
ゆらぎ さざめく水面は 
淋しさと 切ない想いを映す鏡。。


そんな曲で始まった演奏会は全曲がアルヴォ・ペルトの作品。
エストニアの作曲家・ペルトは
ヴォックス・クラマンティスのために多くの作品をかいている。

ペルト特有の音程を、歌手達は完璧な技術で再現する。
2曲目のアカペラを聴くと、その凄さが良くわかる。

そして何より
曲の心が伝わってくる素晴らしい歌唱!
「スターバト・マーテル」は弦楽三重奏とともに歌われたが
聖母マリアの嘆きが
まるで波のように押し寄せてきて
涙とともに
深い海の底に沈んでいくようだった。。



だから
アンコールで歌われた2曲で救われた気持ちになった。
(残念ながらタイトルが告知されなかったが
どちらも「 Alleluia」と繰り返し歌われていた)





ここは音楽用のホールではないので
響きが殆どなく、声楽と弦楽のアンサンブルには不利なのだが
今回のプログラムはそれを逆手にとって
ストレートな歌声で作品の意図が伝わってきた。
驚異的なアンサンブルに拍手!




















































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