SSブログ

Due Brandenburgische Konzerte [コンサートの記憶]

バッハ・コレギウム・ジャパン
第135回定期演奏会「ブランデンブルク協奏曲」
            ~東京オペラシティコンサートホール

指揮・チェンバロ:鈴木優人

トランペット:ギ・フェルベ
フラウト・トラヴェルソ:鶴田洋子
リコーダー:アンドレアス・ベーレン
ホルン:福川伸陽
オーボエ:三宮正満
ヴァイオリン:若松夏美、高田あずみ、山口幸恵

管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン



(プログラム)
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲

第1番 ヘ長調 BWV1046
第6番 変ロ長調 BWV1051
第2番 ヘ長調 BWV1047

第4番 ト長調 BWV1049
第5番 ニ長調 BWV1050
第3番 ト長調 BWV1048






まるでジャズライヴのような臨場感!

次々に楽器編成が変わり
博物館にあるような楽器まで登場。
それらが ヴィルトーゾ達に操られ生き生きと歌う。

旋律がウェーブになって受け渡されるスリルと
ヘミオラの幸福感。
なんと充実した楽興の時だろう!


この日の白眉は、もちろん第5番。
縦横無尽に駆け巡る
煌びやかな音色のチェンバロ・ソロに
思わず拍手しそうになり、ぐっとこらえたのは
私だけではなかったはず!

全曲を弾き振りした優人さん、絶好調!!



'19NovBCJ3.jpg




この日のプログラムは前半が♭系で F B F、
後半が#系で G D G のカデンツになっている、
という優人さんの解説。
作品についてもお話があったが、いつもホントに解りやすい。
こちらの頭に
「スタ スタ スタっ」と入ってくる。
本棚にファイルがシュッときれいに収まるようにね。


さて、この日の最後の曲 第3番の第2楽章は
「ドミラとシレファシという2つのコードしか書かれていません。
あるテーマに基づく即興演奏をしますが、それは何でしょう」
という謎かけが!

耳をそばだてて第2楽章を聴くと
今、聴いたばかりの旋律??
ちょっと確信を持てずにいたら、優人さんが翌日Twitterでタネ明かしを(喜

「他の5曲の第2楽章を2→5→1→6→4の順で引用しつつ、
内声に昨日お誕生日だったコンサートマスターの高田あずみさんのために
ハッピーバースデーを織り込んでおきました」

なんて手の込んだ即興!
バッハもびっくりだね♪♫♪







♡優人さんのサインが新しくなりました~♡

'19NovBCJ2.jpg








































nice!(5)  コメント(0) 

Sana Texere      [歌にたくして]

女声合唱団サーナ・テクセレ 第一回演奏会
                ~浜離宮朝日ホール




紡いだ音が 
ふわりと飛んで
光の輪を描き
あなたの心に
とどきますように。。




'19Novサーナ2.jpg

(プログラム)
R.Quilter : Non nobis, Domine
V.Williams : Linden Lea
A.Copland : Simple Gifts
     : The Little Horses
      : I Bought Me a Cat
Clarke:Down by the Salley Gardens (Sop solo)
Gurmey:Sleep (Mezzo solo)
Quilter:It was a lover and his lass (Duet)
G.Holst : Ave Maria

J.Parry : Sonata in D major (Harp solo)
B.Britten : A Ceremony of Carols

(アンコール)
Greensleeves



近現代の曲を歌いたいと思っていたところに
折良く新しい合唱団の立ち上げという情報が舞い込んだ。
それも女声合唱。
しかも音楽監督がバリトンの加耒徹さん!
いそいそと初日の練習に行ったら
なんとっ
一人一人の声を聞くという!
プロの方の前でアカペラで音階を歌うなんて初めてで
おそろしく緊張っ!
でも、めでたくw入団を許され、練習開始。

指導は発声を本当に丁寧に
そして私のようなシロウトにも解りやすく教えて下さるので
1年ほど経つと以前よりずっと歌いやすくなり、
声域も驚くほど広がった。

でも、今までの合唱とは桁違いに高い音域を歌うので
本当に大変!
今回は全て英語の歌詞だが
アップテンポの曲の早口言葉でアワアワw
しかもアカペラの曲は8声部なので1パートが5人(マジか)。
家で自主練の時、録音して自分の歌を聞いては落ち込む毎日だった。




本番が近づくと
加耒先生は、お客さまにどう聴こえるか
という事をしばしば話されるようになった。
音の聞こえ方はもちろんだが
大事なのは
「お客さまが楽しんでくれているかどうか」。

改めてプログラムを見ると
合唱の他に声楽とハープのソロがあり
本当に楽しい演奏会だ。

加耒先生のリサイタルに行くと
音楽の楽しさ、すばらしさを存分に味わうことが出来る。

今回は、それを私たち合唱がアピールしなくてはならない!



そして当日。
綿密なリハーサル。
かなり長く立ちっぱなしだったので足がイタイ~
リハが終わったら、もう「おつかれさまー」と帰りたくなったw

しかし、本番はこれから!
体力温存しないと集中力が低下する私は
楽屋でお昼寝zzz





'19Novサーナ1.jpg



さあ~いよいよ本番!

集中力集中力っ!!

決めごとを忘れず
習得した発声でしっかり歌おう。





・・私は 声も気持ちも
客席を越えて遠くへ届くように歌う。
緊張感の中、自分を見失わずに!

でも、あんなに練習したのに
本番はあっという間!

凝縮された時間
宝石のような時間だった。。





'19Novサーナ3.jpg










この日は冷た雨の中、とても多くの方の来場がありました。

終演後、たくさんのお褒めの言葉をもらいましたが(もちろんオトモダチ割引も有w
一番嬉しかったのは
「あなた、とても楽しそうに歌っていたわね」
という合唱の大先輩からの言葉でした。
少しでも加耒先生の期待に応えられたかな?




































nice!(11)  コメント(0) 

歌道Ⅱ       [コンサートの記憶]

加耒徹 バリトンリサイタル2019  歌道Ⅱ(東京公演)
                  ~豊洲シビックセンターホール

バリトン:加耒徹
ピアノ:松岡あさひ

(プログラム)
《ヘンデルのオペラアリア》
・歌劇『リナルド』より "Sibillar gli angui d'Aletto"
・歌劇『アグリッピーナ』より "Pur ritorno a rimirarvi"
・歌劇『ロタリオ』より "Se il mar promette calma"

《日本歌曲》
詞・曲/宮本益光:平和へのソネット
詞/高村光太郎・曲/加藤昌則:レモン哀歌
詞/林望・曲/伊藤康英:いんへるの
詞/谷川俊太郎・曲/松岡あさひ:うみのきりん
詞/宮本益光・曲/信長貴富:貴種流離譚(祝婚歌)

ロベルト・シューマン   
歌曲集『詩人の恋』Op.48 全曲(詞/ハインリヒ・ハイネ)

(アンコール)
R.シューマン:献呈





'19Nov加耒徹1.jpg



ホール中に鳴り響くオペラアリア!

まさに圧倒的なバリトン・ヴォイス。
金色の粒子が降り注ぐような
その豊かな倍音に
心をぐっと掴まれる。

装置もないのに
アリアを聴くうちに
ホールは華やかな劇場になり
衣装を着けた歌手が
スポットライトの中央にいるかのよう!



続いて邦人作品。
声ががらりと変化する。
同じ人が歌っているとは思えない。
落ち着いた、端正な歌声で
日本語を大切に大切に紡いでいく。

同時代を生きる作曲家の曲は
言葉が理解できることもあり
喜びや悲しみ
そして怒りも
ダイレクトに飛び込んでくる。

その中で最後に演奏された「貴種流離譚」は
我が子の成長を見守る親の心情が描かれており
最近パパになった加耒さんの気持ちが入り込んでいて
ほんとうにステキだった。。





そして圧巻はシューマン「詩人の恋」!

ロベルト・シューマンが
長く思いを寄せていたクララと結婚した年に
彼はたくさんの歌曲をかいた。
どれも歴史に残るような優れたものばかり。
その中のひとつ「詩人の恋」の詞は
ロベルトに大きなインスピレーションを与えたのかもしれない。


美しいドイツ語で歌われる情景や心のひだ。
ロベルトとクララが暮らしていたライプツィヒの
落ち着いたトーンの街並みに
柔らかな旋律が流れていくよう!
抑制された表現に心がゆさぶられる(涙。。





全く異なる3つの世界を見事に聴かせてくれた加耒徹さん。
これが実現できたのは
ピアニスト松岡あさひさんがいてこそ。
ヘンデルのオペラの古楽オケのような軽やかさ。
それは見事に情景を描き分けた日本歌曲。
そして
本当に弾きにくいシューマンを
呼吸しているように自然に演奏してしまう!

松岡さんが創り上げた素晴らしい音楽空間は
ホントに胸きゅんだったよ。

(F社のピアノじゃなかったらなー・・というのは独り言w)


アンコールは「献呈」以外ないでしょう~!
シューマンですからね。
大喝采!盛り上がりました♫♪



'19Nov加耒徹2.jpg




終演後は挨拶のために来場者全員が並んだのではないかと思われる長蛇の列。
一人一人に丁寧に挨拶する加耒さん、そして松岡さん。
すばらしいサービス精神♡

そうそう、
このホールはステージ後方の窓から外が見えるのですが
オペラの時は開いていたのがシューマンでは閉じる
というように雰囲気を楽しませてくれたのも良かったなあ。

こんなふうに、聴く人を楽しませるには労をいとわない加耒さん。
その歌の道が
これからも祝福されたものでありますようにと
願わずにはいられません。




























nice!(5)  コメント(0) 

Cappella Andrea Barca       [コンサートの記憶]

サー・アンドラーシュ・シフ&カペラ・アンドレア・バルカ
~東京文化会館 大ホール

(プログラム)
J.S.バッハ: 「音楽の捧げもの」BWV1079より 6声のリチェルカーレ ハ短調
モーツァルト: 交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op.73「皇帝」

(アンコール)
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番より 第2楽章
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番より 第3楽章
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番より 第1楽章


'19Novシフ1.jpg


ピアニストのシフが
自身が創設したオーケストラとともに弾き振りの公演。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏がメインのツアーで
東京でもこの日の後、2日間にわたって全曲のプログラムが演奏された。

この日はオーケストラ曲2曲と協奏曲1曲。

本当に上手いオケは、指揮なしでも素晴らしい演奏を聴かせてくれる。
実際、バッハは殆ど振らず!

オケのサポートのおかげでピアノも秀逸。
気分を良くしたピアニストは、何とアンコールを3曲も!
しかも、そのうち2曲は協奏曲!

尻上がりに音色もキレも良くなり、
アンコール2曲目は躍動感いっぱい。
オケとのやりとりも面白かった。




ベートーヴェンを弾こうというからには
そして、このツアーは日本だけではなくアジア各地にも行くので
相当な準備をしたのでしょうね。


と、ツメタイ言い方をしているのは
去年こんな事に遭遇したためです。


András Schiff(Bach Fest 6)


あの時、私のブーイングが聞こえたわけではないでしょうがw
反省はしたのでしょう(してくれなきゃダメだよ)。



'19Novシフ2.jpg

とりあえず、すっばらしいオーケストラが聴けたので良しとしましょう~。
この公演で聴きたかったのはオケの方なので
ピアニストに関しては(前回同様)突っ込み不可でお願いいたしまする。






















































nice!(6)  コメント(0) 

Hommage~Stories      [コンサートの記憶]

フランチェスコ・トリスターノ
        ~東京芸術劇場

(プログラム)
第1部 グレン・グールドへのオマージュ
O.ギボンズ:パヴァン フレンチ・エア アルマン イタリアン・グラウンド グラウンド
G.グールド:2つのピアノ小品
J.P.スウェーリンク:ファンタジア ニ長
F.トリスターノ:サークルソング ディス・トゥ・シャル・ゴー ネヴァー 
        サークルソングⅡ パストラル グレイ・ライト ラ・フランシスカーナ

第2部 東京ストーリーズ
ホテル目黒 ネオンシティ エレクトリックミラー 血の音 中目黒第三橋 ラサロ
代々木リセット インソムニア 乃木坂 

(アンコール)
J.S.バッハ:フランス組曲第1番 BWV812より メヌエット


'19Novトリスターノ芸劇2.jpg



フランチェスコが弾くダンサブルなギボンズ!
久しぶりに聴けて嬉しかったよ。

でも、もう心はエレクトロニクスにシフトしちゃったのかな・・



自作曲は全てスピーカーを使ったパフォーマンス。
アルバム「東京ストーリーズ」はコンピュータの打ち込み音源と一緒にピアノを弾く。
これは最近発売されたばかりなので演奏にも熱が入っていた。




'19Novトリスターノ芸劇1.jpg


私はフランチェスコが弾くバッハが
大好きだったよ。。































nice!(6)  コメント(0) 

Jean Rondeau - Clavecin    [コンサートの記憶]

ジャン・ロンドー チェンバロ・リサイタル
           ~東京文化会館 小ホール

(プログラム)
ラモー :プレリュード イ短調 
     組曲 イ短調 (抜粋) – 新クラヴサン組曲集より
     アルマンド /クラント/サラバンド /3つの手/ガヴォットと6つのドゥーブル


F.クープラン :プレリュード 第1番 ハ長調 – クラヴサン奏法より
       クラヴサン曲集 第3組曲より
        暗闇(アルマンド)/陰鬱(サラバンド) /お気に入り(2つのシャコンヌ-ロンドー編)
ロワイエ:クラブサン組曲集第1巻より
        敏感/スキタイ人の行進 

(アンコール)
F.クープラン:神秘的なバリケード
ラモー:未開人
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲より アリア


[使用楽器] ヤン・カールスベーグ 2000年製作(オランダ)
      ジャーマン(ミートケ)・モデル
      (梅岡サービス所有)





その音色は 
まるで
蓮の葉を転がる水滴

どこまでも滑らかで
静謐なフランスバロック

艶やかな装飾は
蝋燭の炎の揺らめき。。




                  (Clavecin クラヴサンはフランスでのチェンバロの呼称)
'19Novジャン・ロンドー フレンチ1.jpg



長髪を結わえて現れたジャン・ロンドー、
この日は躊躇なくステージに現れ
少し微笑んでおじぎをし
すぐにクラヴサンの鍵盤に手を置いた。

やや長めの即興演奏は
私を現実の世界から時を越え
古い時代へといざなう。

フランスの宮廷で奏でられていた音楽は
その絢爛豪華な建築物、美術工芸品のように
旋律をさまざまな装飾音符で彩り
柔らかな空気をまとって
羽のように舞う。
優美に下降するゼクエンツは
お城の秘密の部屋へ降りていく螺旋階段のよう。。



私は ロンドーが弾くラモーのサラバンドを
動画投稿サイトで見つけ、なんども繰り返して聴いていた。
古い教会を改装したホールは
美しいステンドグラスで囲まれ
そこで演奏するロンドーは
空間からインスピレーションを得て
明るく毅然とした作品を
のびやかに奏でている。

その、同じ曲を
目の前で本当に演奏するロンドーがいる!
夢ではないのか?
こんな幸せな瞬間に出会えるなんて。。



ゆるやかなテンポのものは
F.クープランの作品も同様で
まるでフランス語で語っているような
柔らかで気品のある旋律が交差する。
憂いのある表情が
エレガントで少しだけコケティッシュ。


ところが、アップテンポになると
すっごいノリの音楽に豹変する!
まるでプログレ!
恐ろしいくらいの超絶技巧!!
そして、どんなにテンポが速くても
音色は美しさを保っている。
雑なタッチがひとつもない!
一体、彼の身体能力はどうなっているのだ?!
もうノックアウト~!




ただの1度も譜面を置かなかったジャン・ロンドー。
今回のフレンチ・プログラムは
彼の母国でもあるフランスの作曲家の作品によるもの。
時代は異なっても
同じ土地に生まれ、同じ言葉を話していた作曲家の思考が
ロンドーの中ですんなりと租借され
彼自身の発露のように奏されたのは不思議ではない。




そして、この日も日本語での挨拶の後、アンコールを3曲!

最後のゴルトベルク変奏曲のアリアが始まった時
もしかして
このまま変奏曲を全部弾くのかしら?
弾いてほしい!!
永遠につづいてくれたら。。
と思ったのは私だけではなかったはず。。




             (この写真はweb上からお借りしました)

'19Novジャン・ロンドー フレンチ2.jpg




ジャン・ロンドーは今や演奏旅行で世界中を飛び回っています。
今回もオーストラリアで何カ所も演奏会をした後、日本に来てくれました。
彼の魅力は、その素晴らしい演奏はモチロンだけれど
その背後に感じられる、真摯に音楽に向き合っている誠実な人柄。
そして、CDのライナーノーツを自ら書き上げる深い洞察力。
そこには哲学的な思考とファンタジーに満ちた感性が同居しているのです。

次にジャン・ロンドーの演奏を聴く時は、さらに深化しているのでしょう。
まだまだ若い彼(1991年生まれ)がどんなふうに人生を歩んでいくか、目が離せません。











おまけw

'19Novジャン・ロンドー フレンチ3.jpg


ロンドーくんのサイン会、長蛇の列でした!
私が東京での演奏会を2回聴いたのを覚えていてくれました~♪♫
握手した手は、これまでの鍵盤楽器奏者とまるで違って
とても肉厚でガッシリしていて、驚きました。
ああ、この筋力があるからこそ
クラヴサンの繊細な鍵盤がコントロールできるのだ!!
超スローで最弱音を奏で、
恐ろしいスピードで跳躍し正確に打鍵し、
そしてクラヴサンを深く美しく鳴らすことが出来るのは
この掌と指があるから!
と、深く納得したのでした。























nice!(4)  コメント(0) 

Jean Rondeauー In the Italian Taste [コンサートの記憶]

ジャン・ロンドー(チェンバロ)ー イタリア風に
                 ~王子ホール



(プログラム)
J.S.バッハ : プレリュード - リュート組曲 ハ短調 BWV997より
      ファンタジア ハ短調 BWV906
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ ハ長調 K.132
             ソナタ イ短調 K.175
             ソナタ イ長調 K.208
             ソナタ ニ長調 K.119
J.S.バッハ :アダージョ – 協奏曲 ニ短調 BWV974より
           (Transcription of oboe concerto in D minor of Alessandro Marcello)
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ ヘ長調 K.6
             ソナタ ヘ短調 K.481
J.S.バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
J.S.バッハ/ブラームス編曲:シャコンヌ – 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ
第2番 ニ短調 BWV1004より

(アンコール)
F.クープラン:神秘的なバリケード
     :お気に入り
ロワイエ:クラヴサン曲集第1巻より スキタイ人の行進





'19octロンドー王子ホール3.jpg




宝石のように
美しい音色で奏でられるクラブサン!

作品は奏者の中で熟成され
楽譜を超えて
鮮やかなドラマを織り上げる


聴く者の心に深く入り込み
いつしか無限の宇宙へ・・












              (以下の写真はweb上からお借りしました)

'19Octロンドー王子ホール2.jpg




開演時間になり、満員の客席は奏者の登場を待っていた。
静まりかえったホール。
刻々と過ぎる時間がとても長く感じられる。



・・そして
おもむろに下手の扉が開かれ
長髪の若者がふわっと姿を現した。
そして 雲の中を歩くようにステージの中央へ。

ブルーのシャツ姿のジャン・ロンドーは
ぎこちなくお辞儀をしてチェンバロの前に座る。

長い沈黙のあと
奏で始めたのは、短い即興演奏。
それは彼の演奏会での常で
プログラム最初の曲と調性が同じだ。

ジャン・ロンドーの音は本当に美しくて
一粒一粒の色合いが違って聞こえる。
そして、それぞれの音が作る音程が 
とてもクリア。

だからポリフォニーは
ひとつひとつの旋律を
どこまでも追いかけていける。

そして、絡み合った時には
素晴らしいハーモニーを産み出し
豊かな和声感が立ち上がる。

それらは まるでオーケストラのよう!
色彩にあふれ
ダイナミクスレンジの幅広さのある演奏は
チェンバロでは至難の業。

それをジャン・ロンドーは
軽々とやってのけるのだ!




そうやって奏でられるバッハの見事なこと!
落ち着いたテンポで弾かれる静かな曲は
どこまでも端正で気品がある。
音と音の狭間に
バッハが暮らしたチューリンゲン地方の空気を感じる。
それは
どこか懐かしい、薄暮の中の優しさ。

アップテンポの曲は
ドメニコ・スカルラッティで全開!
明るい太陽がキラキラと笑う。
アグレッシブで、ちょっとキザな
陽気に踊るイタリアーノ。




この日、ジャン・ロンドーは殆どの曲を暗譜で演奏。
自分の言葉のように、歌のように奏でられる音楽は
最初の即興演奏がそのまま続いていくよう。
まるで大空を羽ばたく鳥のように
どこまでも自由だ。

そして、客席の私たちは
彼とともに呼吸し
彼に導かれて無限の宇宙へ。。

ほんとうに、針が落ちた音もわかるくらい
シン・・と静まりかえったホール。

これだけの長大なプログラムを
休憩なしで弾ききったジャン・ロンドー。

最後の「シャコンヌ」

・・それは、まるで弦楽器が弾いているような錯覚に。
  優美な弧を描き、なめらかに舞い踊る単旋律!
  重厚な和音は高度なバランス感覚で奏でられる・・
  
その圧倒的な演奏が終わり
長い沈黙の後、拍手が静かにはじまり
それが大喝采になっても
彼は しばらくの間 
こちらの世界に戻って来なかった。

再びぎこちなくお辞儀をして
ふわあ、と袖に入っていく。

そして、次にステージに出てきた時
ようやく人間らしくw歩いてきて
何と日本語で話してくれた。

「ありがとうございます」
「日本に来られて嬉しいです」
「僕は日本のお客さんが大好きです」
おお~、発音かんぺき!
その後は英語で、日本人はとても静かに聴いてくれて嬉しい、と。
そして
「演奏をしていて気付いたのですが、
日本語の発話の方法(way of expression)は
我々古楽奏者が音楽を奏でているそれと似ていた。」
(これを聞き取ってsnsに流して下さった方に感謝!)


よほど気持ちよくプログラムを終えることが出来たのでしょう。
なんと、アンコールを3曲も!!



'19Octロンドー王子ホール4.jpg



当然のようにサイン会に参加したわけですがw
「去年、ライプツィヒ・バッハ音楽祭*であなたのコンサートを聴きました」
と伝えられました!
ジャン・ロンドーくんはとても喜んでくれました♡


         *Jean Rondeau (Bach Fest8)








































nice!(8)  コメント(0)