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Don Quixote      [カーテン・コールの後に]

東京バレエ団「ドン・キホーテ」
             ~東京文化会館 大ホール

(主な配役)
キトリ/ドゥルシネア姫:上野水香
バジル:柄本弾
ドン・キホーテ:木村和夫
サンチョ・パンサ:岡崎隼也


指揮:井田勝大
演奏:シアター・オーケストラ・トウキョウ



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ダンサーのエネルギーと迫力!
オーケストラの響き!
これはもう、ナマでしか味わえない
素晴らしい時間と空間。

ソリストたちが披露する
ダイナミックで優美な踊り
そして
一糸乱れぬ群舞に目を見張る。

華やかな舞台を心ゆくまで堪能!







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東京バレエ団がオーケストラと共に公演をするのは自粛後、初めて。
シアター・オーケストラ・トウキョウは、実に7ヶ月ぶりのピットでの演奏だったそうです。
公演自体も延期を重ね、ようやく本番の日が迎えられたのです。

彼らの思いがつまったステージは、本当に感動的で
終演後は鳴り止まない拍手に
何度も何度もカーテンコールがありました。




ところで、
念願かなって上野水香さんを拝見できて嬉しかったのですが
その美しさには本当にビックリでした。
12頭身か?!というくらいお顔が小さくい上に、手足が長い。
バレエをするために生まれて来た!と確信しましたよ。
もちろん技術もピカイチ!
数々のキメ技、そして類い希なバランス感覚に釘付けでした。
天賦の才の上に、たゆまぬ努力を重ねているのでしょう(尊敬。


そして、キトリの相手役のバジルを踊った柄本弾さんのカッコイイこと!
さすが看板スターだけある、魅力的なパフォーマンスにため息♡

そうそう、忘れちゃいけない
サンチョ・パンサの岡崎隼也さん。
コミカルな役は難しいはずなのに
とても上手くハマっていて凄い!(拍手


群舞は、特に男性ダンサーが粒ぞろいで圧倒的。
さすが名門ですね。

ちびっ子たちの可愛らしさなど
印象的な場面は挙げればきりがありません。






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                 (この写真はweb上からお借りしました)






アーチストが発信する場~劇場に
たくさんの人々が
心おきなく集える日が来ますように!




























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英国ルネサンスの響き       [コンサートの記憶]

エリザベス朝の人々が愛した音楽 
              ~近江楽堂

(出演)
リュート、構成&編曲:高本一郎
カウンターテナー:青木洋也
タンバリン:田島 隆
パーカッション:濱元智行(賛助出演)


(プログラム)  *=器楽曲
ジョン・ダウランド:ご婦人方、掘り出し物はいかが?
トマス・キャンピオン:嵐にうたれた帆
ロバート・ジョンソン:輝く百合の花よ
トマス・ロビンソン:ジグ*
ロバート・ジョーンズ:さらば愛しい人よ「十二夜」
トマス・モーリー:それは恋人たち「お気に召すまま」
作者不詳:ケンプ氏のジグ*
作者不詳:われらは三人の兵士「冬物語」


トマス・タリス:私を愛しているのならば
ヘンリー8世:良き仲間たちとの語らい
作者不詳:グリーンスリーヴス*
ジョン・ダウランド:流れよわが涙
作者不詳:リリーバレロ*
作者不詳:ワトキンおばさまのエール
トマス・モーリー:五月祭のお祝いだ

(アンコール)
ジョン・ダウランド:カム・アゲイン








軽やかなパーカッションのリズムに乗って
楽しげな歌で演奏会が始まる。

そして柔らかなリュートの音色ともに
ゆったりと歌われる2曲目。

カウンターテナーの伸びやかな歌声は
まるで黄金色の蜂蜜のよう!
それは
3曲目の、さらにゆったりと歌われた曲で
密度を増す。

まるで光の矢のように輝き
真っ直ぐに心に突き刺さる。
その響きに包まれて
めくるめく夢の世界に放り込まれる!



器楽曲をはさんで
シェイクスピアの戯曲で使われたという作品。
「さらば、愛しい人よ~Ferewell, dear love」
枯れ果てた涙
心のひだの奥にある
それは それは深い哀しみ
抗うことが出来ない
運命の定め。。
(これは この日の白眉!)




一転してリズミカルな曲へ。
前の曲とは別人のよう。
思わず頬が緩む。

さらに、前半最後の曲では
力強い兵士の歌が披露される。

ほんとうに
こんなに多彩な歌の表現が聴けるなんて!
もう、感動の嵐!!








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後半の1曲目。
この曲は良く知っているはずなのに
今、初めて聴いたような思いにとらわれる。
とても新鮮な If ye love me.


次はヘンリー8世が作曲したという
骨太な曲をカッキリと歌い上げる。

(しかし、Green sleeves は歌で聴きたかったなー)

そしてダウランドの名曲「流れよ わが涙」。

芯のある歌声は
涙の奥にある ほんとうの心を
しっかりと掴んで
希望へと導いていく。。



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さて「ワトキンおばさまのエール」では
歌の前に小芝居があったのですが
前奏から歌に入る直前に
リュートが急に演奏をストップ。
何やら楽器に不具合があった模様。
全員、爆笑ww

気を取り直して、小芝居からやり直し。
本番ならではのアクシデントに笑いが収まりませんw

最後の曲は、この曲と同じく楽しい曲だったけれど
歌は さらにはじけてましたよ~♫
そして ここへきて漸く(!)パーカッションの本領発揮。
ツイン・パーカッションということで、期待大だったのですが
お互いに遠慮し合ってしまったのかしら?
二人とも超絶に上手いのに!
でも最後にツインらしさが聞けて良かったな。





ところで、このプログラムは
以前の「メディチ家」の続編ですが
青木洋也さんの歌が、ものすごくパワーアップしていて
(まるで、何かが吹っ切れたように!)
本当に凄かった。


青木さんの、ひとつひとつの作品に対する思い入れ
・・それは
旋律もさることながら
詩の世界観を丁寧にすくいとり
様々な表現方法を駆使して歌い上げていく。。
その歌唱は
籠の鳥が解き放たれ
広い大空を自由に羽ばたいていくような悦びにあふれていた。

私は
何もかも忘れて音楽に身をゆだねる。
まさに 至福のひととき。。







そしてっ
アンコール!!

なんと
私の大好きな「Come Again」!!
やったーーー♡

実は英国ルネサンス曲というので、
きっと聴けると思っていたのに
プログラムを開いたら
「ないっ!」がーん・・
と、がっかりしていたのでした。

なので
アンコールで聴けて本当に嬉しかったなあ♡

斬新なアレンジで、ちょっとビックリでしたが
とにかく
青木洋也さんの歌で聴ける日が来るなんて!
と、幸せいっぱい胸いっぱいで帰路についたのでした。














































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PURCELL PROJECT 2020            [コンサートの記憶]

しなやかで力強い声が交差して
透き通った響きを織り上げる

語りかけるのは
詩篇のことば

深く寄り添う愛
感謝
そして未来への希望。。



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PURCELL PROJECT 2020 
         ~日本福音ルーテル東京教会

様々なアンセム
~パーセルの音楽と共に歩む~


(出演)
Sop.澤江衣里 藤崎美苗
Alt. 青木洋也 布施奈緒子
Ten. 石川洋人 中嶋克彦
Bas. 藤井大輔 加耒 徹
Org. 山縣万里


(プログラム)
Henry Purcell(1659-1695)

O God,thou art my God Z.35  おお神よ、あなたは私の神です
O God, the King of Glory Z.34  栄光の王なる神よ
Man that is born of a woman Z.27  人は女から生まれ
O Lord our Governor, Z.39 主よ、私たちの統治者よ

Beati omnes qui timent dominum Z.131 幸なるかな、主を畏れるもの全ては
Jehova,quam multi sunt hostes mei Z.135  エホバよ、私の敵はなんと多いことか
Thy righteouseness,o God Z.59  神よ、あなたの義さはとても高い
Lord,who can tell how oft he offendeth? Z.26 主よ、どれほどの罪を犯したか、誰が答えられましょうか
I will sing unto the Lord as long as I live, Z.22 私は主に向かって歌いましょう

(アンコール)
I was glad when they said unto me,o Lord 私は嬉しかった、彼らがこう私に語りかけたとき





ポジティブ・オルガンの 
あたたかい音色とともに
8人の歌い手たちが
祈りの音楽を奏でる。

30代半ばで世を去ったヘンリー・パーセルがかいた作品を
演奏し続けるパーセル・プロジェクト。
この日のプログラムは教会で歌われたアンセム。

ソロとアンサンブルが曲ごとに入れ替わるので
立ち位置も変化する。
そのたびに声の響き方の違いに驚く。

そして、いつも感動するのは
ひとりひとりの抜群に安定した歌唱のすばらしさ!
彼らが互いに聴き合い、歌声を重ねていくと
こんなにも美しいハーモニーになる。




けれど、この日はそれ以上に
胸に迫るものがあった。

アンセムは聖書の詩篇が歌詞になっているが
その言葉の意味が
とても深く伝わってくる。

大昔の書物のよそよそしい文章ではなく
今を生きる人が
心から語りかける物語のように
聴く者の心にしみ込んでくる。


思い出
後悔
なぐさめ
決意。。

人が生きていく上で出会う
さまざまな出来事や感情が
大らかに、また繊細に表現される時間は
なんと豊かなことだろう!

これまで
私が何度か聴いてきたパーセル・プロジェクトの中で
最高の演奏会!!






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声楽アンサンブルをナマで聴く。
その喜びを満喫した演奏会でした。

けれど、客席数を減らすため1日に2公演にし
1曲ごとに退場して換気する他
安全のための あらゆる対策を講じたので
関係者の皆さんの苦労はどんなに大変だったことか!

主宰の青木洋也さんが挨拶の中で
「演奏会が出来て 本当に良かった!」
「やはり音楽は生にまさるものはない。
音楽を皆さんと一緒につくり共有するのは
この上ない喜び。。」
と感慨深く仰っていたのは忘れられません。

止まっていた時計が動き始めたのですね。


これからもずっと音楽とともに!





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Special Concert 2020      [コンサートの記憶]

小曽根 真 スペシャルコンサート
         ~市川市文化会館大ホール

(セットリスト)
Makoto Ozone: Reborn ~ Always Together
       : Puzzle
        :Nova Alvorada
Mozart::from Piano Concerto No.23, 2nd Movement (Improvisation)
Makoto Ozone: Take the Tain Train

E. Lecuona::Gitanerias
Krell, William: Mississippi Rag
Shun Katayama:Bay Bridge *
Makoto Ozone:Passage *
       :Watch What I’m Gonna Do *
Michael Jackson:Heal the World

(アンコール)
S.Rollins:St. Thomas *

*Flute: Shun Katayama (Rising Star)





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最初の曲は Reborn!!!

緊急事態宣言の時
小曽根さんのリビングルームからの配信の最終回に
オーチャードホールで演奏されたアンコール曲。
力強く、前へ進もうというメッセージが
びんびんと伝わってきて
涙なしには聴けなかった。。

この日は その同じ曲がオープニングに!
まるで、あの日の続きのように。

そして、あの日は画面の向こうの演奏だったけれど
今はライブでピアノを弾く小曽根さんがいる。

ナマの音。
同じ空間で聴く音。
それがどんなに幸せな響きか、一度失ってみないと解らない。

こんなに大切な時間を
ともに過ごせることの幸せ。。


Reborn・・
あの日のように
いいえ
あの日よりももっと力強く
確かな足取りで未来へ続く道を進む。


それが一転して笑顔がこぼれる音楽に!
Always Together ♪♫
これはブルーノート東京が再開し、小曽根さんが初ライブをした時の新曲。
タイトル募集で、寄せられたものの中から これに決定。
これからも ずっと一緒に!
幸せな未来へ!



それにしても
なんてクリアで美しいピアノの響きだろう!

小曽根さんがトリオのためにかいたPuzzle。
恐ろしくタイトなのに
万華鏡のような光のあやとりが
キラキラしてる。
太いベース音が途切れてフィニッシュ!



そうして優しい海からの風に誘われ
柔らかく揺れる 
Nova Alvorada=新しい夜明け は
心地よいスイングに乗って
未来の素敵な世界へと続いていく。。



続いて「もう一曲弾きたくなった」と
タイトルを明かさずに演奏する小曽根さん。
スローテンポでジャジーに弾かれるアンニュイな曲は
昔、出会った人のよう。
思い出せそうで 思い出せない その人の名前。。

演奏の後、それがモーツァルトのコンチェルトと聞いて驚く。
ジャズの即興が加えられると元の曲が解らなくなってしまう。
ホントにオソロシイ先入観!

以前、このホールの同じピアノでこのコンチェルトを弾いた時の事
そして今月、そのコンチェルトをピンチヒッターで演奏するというお話。
まさかオケと一緒の時は ここまで即興しないでしょう~w



さあ、前半の最後はガンガン攻めるよっ!
Take the Tain Train は
小曽根さんの同級生トリオ(クリスチャン・マクブライド & ジェフ“テイン”ワッツ)
のTain テイン列車。
あまりの暴走ぶりに開いた口がふさがりませんww
しかも、ここは2階席ですよ?
こんなに音がダイレクトに飛んで来て良いのか?!

小曽根さんは53日間の自宅配信で弾き続けたことで
またまたオソロシイ進化をとげたのでしょうか?!



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グレーからブルーへ衣装替えして2部がスタート♫♪

硬質で透き通った音の粒
小さな妖精がクルクルと踊る
アップテンポのワルツ。

それは小曽根さんが子どもの頃に
大好きだったキューバの作曲家の音楽。


続いて、これもアップテンポの楽しいラグタイム。
この日のピアノはホンキートンクではないけどね
飲んだくれの笑いがはじける酒場に 
ふいっとトリップしてしまう。

子どもの頃の思い出をもうひとつ。
それはデキシーランド。
小曽根さんのお父さんと仲間達の演奏を
お母さんのお腹の中にいる時から聴いていたという。
そうやってすり込まれた音楽は
小曽根さんがアメリカに渡った時に
黒人のミュージシャンと繋がるパスだった。。




さて、小曽根さんは積極的に若いミュージシャンを紹介していますが
それは自分が若い頃に先生や先輩のステージに上げてもらった事が
今の活動に繋がっているから。
この日紹介されたのはフルートの片山さん。

片山さんのオリジナル曲と小曽根さんの二つの作品。
30年も弾いていなかった「めんどくさい曲」をw
暗譜でバリバリ弾く小曽根さんて、やっぱり天才だな。




・・この日は
小曽根さんが自粛後、大きなホールで弾く初めてのソロ。
この特別なコンサートの最後に演奏されたのは

Heal the World!!

このマイケル・ジャクソンの作品には
配信の時に沢山のリクエストがあり
小曽根さんは「間違えちゃいけないから」と譜面を広げていた。
最終回の日にも演奏してくれた感激の時間は忘れようがない。

そして この日。。
ピアノの上に譜面はなく
小曽根さんの指から
愛にあふれるメッセージが奏でられていく

心を打つ深い優しさに包まれて
感動の涙が止まらない…










小曽根さん
約束通り ナマの演奏を聴きました。
空気を震わせるピアノの響きの豊かさは
なにものにも替え難いですね。




そして、皆をハッピーにするパワー!
アンコール、フルートとのセッションは
どこまでもポジティブで
もう、今が楽しければコワイものはないぞっw
と、会場の皆で手拍子したのでした♪♫






































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