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Smile       [コンサートの記憶]

小曽根 真 ソロライブ
      ~府中の森芸術劇場 どりーむホール


どんなに空が高くても

どんなに地平線が遠くても

心をこめて奏でた音を

決して 聴き逃さない。。







(セットリスト)
Makoto Ozone:Somethings Happening
        Lee’s Party
        Agua de la Musica
        Need to Walk
        If I had known
        Crystal Love


Makoto Ozone:Ital Park
Joseph Kosma:Autumn Leave
Shun Katayama:Perhaps,You Ain’t My Peace*
Makoto Ozone:Yellow Fever*
        Three Wishes

(アンコール)
C.Chaplin:Smile*

*=片山 士駿(フルート)



'20OZ府中2.jpg


ワインレッドのシャツ姿の小曽根さんが
ステージ上手から登場~。
「こっち(下手)から来ると思ったでしょ?」
と客席を笑わせてからピアノの前へ。

そして、いきなり小曽根ワールドに放り込まれる。

アコードをガッシリと掴み
ぐいぐいと力強く前に進む
床を踏みならし
がっきりした音楽は
まさにSomethings Happening!


何かに駆りたてられるような緊迫感から一転して
お洒落なジャズ・ワルツ。
ステキなパーティーシーンが目に浮かぶ。
数あるオリジナル曲の中には
埋もれてしまうものもある。
それが、こうして息を吹き返す。
柔らかなダンスの終わりに
シンデレラの鐘が鳴る・・


この日、テンポの速い曲は
もの凄いパワーで演奏された。
それはもう、壮絶と言っても良いくらい!
Agua de la Musica も そのひとつで
圧倒的なエネルギーに溢れていた。



とにかく広いホール(2000席!)
そこに、間隔を開けた座席配置。
なにやらテンションが下がりそうだけど
小曽根さんは
ひとりひとりに向けて
しっかり音楽を届けるために
渾身の熱量で演奏してくれた。

私は、かなりステージに近い座席だったので
そのパワーを
いーっぱい浴びてしまい、くらくら@@~


さて、ステイホームで「横に成長した」小曽根さんがw
ウォーキングのためにつくった新曲 Need to Walk。
こんなに激しく運動したら効果ありそう~♪



昔を懐かしむような
If I had known
ゆったりとしたハーモニーの上を
美しい真珠が ころころと転がっていく
いつか見た夢を
再び見ることができますように。。


前半は全て小曽根さんのオリジナル曲。
その最後はデビューアルバムから
Crystal Love
いつもと、何かが違う?
ただ、肯定感があるだけじゃない、
心の葛藤や逡巡
そんな時を経て未来へ続く道がある!

・・・ピアノの響きが消えても
ホールはしんと静まりかえっていた。
ピアニストが漸く息を吹き返し
静かに拍手が始まる。。





'20OZ府中1.jpg






2部の始まり。
ライトブルーのシャツにお召し替えの小曽根さんが
走って登場~。
ホントにこのホールは広いっ!
でも
小曽根さんはパワー全開で
演奏はもちろん、MCで笑わせ
みんなに愛を届けてくれる。



Ital Parkはアルゼンチンにあった遊園地。
可愛らしく回るメリーゴーランドが
いつのまにかタンゴになり
迷路の中でステップを踏む。。
そして激情のカオスへ!
そんなストーリーが聴けるから
小曽根さんのタンゴは最高なんだっ。


熱いプレイの後は、穏やかなスタンダード?
いえいえ、
「枯葉」だったけれど
これも熱量の高い演奏!
でも、アウトロはバロック音楽に。
右手と左手の会話の見事なこと!

こうしたスタンダードジャズはもちろん、
オリジナルはデビュー当時(83')から新曲まで
幅広い曲を弾きこなす懐の深さ!
すごいなあ。。





さて、この日 紹介された若いミュージシャン、ライジング・スターは
フルートの片山さん。
ひと月ほど前も演奏を聴いたのだけれど
この日の方がずうっと良かったなあ。
よく「100回の練習より1回の本番」と言うけど
本番に育てられるのだと実感。

そして、そして
小曽根さんのピアノの音色は
デュエットの時が最高だった!

クリスタルのように繊細な音に酔ってしまう。。

私は、アンサンブルよりソロが好き。
ソロは聴く人に向けて演奏してくれるから。
でも
この日は、デュエットの創り上げる音楽を
心地よい幸せの中で聴いていた。。


ラストはソロで超カッコイイThree Wishes!!
もうね、手に汗握るってこういうこと。
ジェットコースターに乗っているような迫力っ
時々小曽根さんの右手が
鍵盤からパーンと飛び上がって
私のいる客席に向かってくるのだけど
それと一緒に音楽の塊も飛んでくるようで
ドキドキしっぱなしw





アンコールはチャップリンのスマイル。

これからも ずっと
微笑んで 生きていこうね。。






























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Nighttime Organ Concert      [コンサートの記憶]

ナイトタイム・パイプオルガンコンサート Vol.34
              ~東京芸術劇場



(出演)
オルガン:平井靖子 
カウンターテナー:青木洋也


(プログラム)
   *モダンタイプオルガン使用(A=442Hz 平均律調律法)
J.-N.ジョフロワ伝:詩編第132編(都もうでの歌)『主よダビデのために』
N.de グリニ:賛歌「海の星に祝福あれ」
      「マニフィカト第1旋法」
L.マルシャン:『オルガン曲集第1巻』より

   *バロックタイプオルガン使用(A=415Hz バロック調律法)
J.S.バッハ:コラール「わが魂は主をたたう」BWV648
      「わが魂は主をたたう」(マニフィカトによるフーガ) BWV733










清らかな聖歌が
柔らかな弧を描いて
美しく舞う

哀しみに寄り添い
魂が浄化されていく

祈りに導かれ
心安らぐ秋の宵。。






'20Oct青木パイプオルガン1.jpg



モダンとバロック両方のオルガンが聴けるのはここ、東京芸術劇場だけ!
多彩な音色と幅広いダイナミクスに圧倒される。

300年以上昔、教会の礼拝で行われていた典礼に
聖歌とオルガンが交互に演奏する形式があった。

前半はそれを再現したプログラム。
まるで いにしえの時にタイムスリップしたよう!

最初の作品の時、聖歌はパイプオルガンの側で歌われたけれど
次は客席後方のバルコニーから。






'20Oct青木パイプオルガン3.jpg

                           (この写真はweb上からお借りしました)




まさに教会の中で聴いているような響き。
こんなふうに演奏されたら
昔の人々は信仰をより深くしたことでしょう。

それは、今も同じ。
詞のひとつひとつの意味を
深く理解している演奏者の
ゆるぎない信仰が
音楽をかけがえのないものにする。

青木洋也さんの歌唱が
まさに それだった。。










さて、パイプオルガンが180度回転すると
バロックオルガンに変身!



ピッチが下がり、響きも重厚に。
この楽器ではバッハが演奏されたけれど
聖歌は冒頭だけだった(惜~



'20Oct青木パイプオルガン4.jpg





コンサートが再開して以来、
青木洋也さんの演奏会が頻繁にあるのが嬉しい。
そして、それぞれが異なるタイプなのに驚く。
ノン・ジャンルと言っても良いくらい!

その日の歌がスペシャルなのかと思えば
別の日には唯一無二の演奏を聴かせてくれて
ほんとうにスゴイ!

この後の展開が楽しみ楽しみ♡♫♪































































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Flor de Lirio      [コンサートの記憶]

小曽根真 Solo Live!
       ~川口リリア音楽ホール

(セットリスト)
Makoto Ozone:Gotta Be Happy
Bill Evans: Waltz for Debby
Makoto Ozone:Dues
Alexandre Scriàbine: Prelude in A minor
Makoto Ozone:Always Together

Maurice Ravel: Piano Concerto 2nd Movement
Makoto Ozone:Flor de Lirio
D.Kuruwa : Longtemps (トランペット)曲輪大地
Makoto Ozone:Flight

(アンコール)
Makoto Ozone:Reborn  with (パイプオルガン)武本和大








繊細でクリアな音の粒子が
ふわりと舞う

かと思えば
パワフルでダイナミックな響き!

柔らかなアゴーギグと
タイトなリズム!


音楽の海に深く身をゆだねる
これ以上ない至福の時。。








'20Oct OZ川口2.jpg




小曽根さんの衣装はブラウンのシャツ。
胸元に大きな花が描かれている。
いつもなら登場するとすぐに演奏を始めるのに
この日は満席の客席を感激の面持ちでながめ
「ようこそ!」と両手を広げる。
そしてマイクを取って、来場への感謝を。
なにしろ、いっこ飛ばしでない本当の満席!
とうとうこんな日が来た、という万感の思い。

そして、その感動は演奏に現れる。
なんと密度の濃い時間と空間だったことだろう!



オープニングから爆走!!
きらびやかなイントロに目が眩む。
そして一気に走る!
猛スピードで駆けていく
大海原を疾走するイルカの群れのように
白い波しぶきをあげて
水平線の彼方まで!
Gotta Be Happy 幸せになろう
ああ、もう幸せの海。。




間を入れずに始まるワルツ。
小曽根さんが弾くイントロは、何の曲なのか解らない事が多いけど
これはワルツ・フォー・デビーとスグに解って、ちょっと嬉しい。
軸足のしっかりしたワルツの踊り手。
シャープなターンがぴたりと決まる!
かっこいいなあ♡

「実はこの曲は弾くつもりはなかったのだけれど」
と小曽根さん。
「スタインウェイの響きがあまりにも気持ち良かったから」
と嬉しそう。
本当に、ピアノもホールも良い響き♫
ナマで聴ける幸せをかみしめる。




一転してスウィング。
重いサウンド。
小曽根さんの靴音がタイトに刻む。
ドラムスやベースと一緒に
アイコンタクトをとりながらプレイしているような
親密な空間。
それが一瞬で断ち切られる!




静寂から現れたのは
薄明かりの中に静かに光る
さまざまな色の宝石
透明な原石が
呼吸をするように光る
迷路をたどる
不安と恐れ
こんなに哀しくて美しいスクリャービンを
聴いたことはなかった。。



さあ!
Always Together!!!
ごきげんな新曲。
なにもかも忘れて
笑って
ステップを踏もう!
ほんとうに、音楽ってすてき♡♫







後半は白いシャツ姿の小曽根さん。
ラヴェルのピアノコンチェルトの第2楽章を
ゆったりと奏でる。
オーケストラはいなくても
その響きに包まれているよう。
けれど、ときどき
ピアノは独り歩きをはじめ
自分のことばで歌う。
その案配の絶妙なこと!
たゆたうような空間に酔いしれる。





そして「皆さんをブラジルにお連れします」
と、サンバの Flor de Lirio ♫
なんて心地よいリズム。

これは後で知ったのだけれど、
HPの説明によると、このホールの名称「リリア」は
「川口市の花であるテッポウユリ(Lily:ユリとラテン語のia:~の場所)にちなんで名づけらた」!

Flor de Lirio(スペイン語)=ユリの花
小曽根さんは、これを知っていて演奏したのでしょう。
すごいなあ。
ユリの花の香りがするような
お洒落なサンバ。




そして、この日のライジング・スターはトランペットの曲輪大地 さん。
パリ仕込みの柔らかな音色を聴かせてくれました。





セットリストの最後は Flight
小曽根さんがピアノに向かって静かに集中している。
まるでレースが始まる前のアスリートのように。
そして始まる壮大なストーリー!

草原を駆け抜ける風
大空を流れる雲。。
そんな大自然の風景が
小曽根さんの演奏を聴いていると
映画のスクリーンを観ているように
目の前に現れる。
それは、これまでも常にあったことだけど
この日は 
まさに自分がその映像の中に放り込まれ
本当に体験していた!

それは音楽を超えた
何か大きなものに包まれたような
不思議な感覚。
時間と空間が
海のように深い愛で満たされたことを
私は生涯、いとしく思うことだろう。。









'20Oct OZ川口1.jpg





さあ、アンコールは「リボーン」!!
なんと、パイプオルガンと共演!
オルガンは「もがみ」でハモンドオルガンを弾いた武本和大さん。


未来が
今よりもっと
すばらしいものでありますように。
祈りをこめた演奏が
深く、深く響く。。












最後にすごいサプライズ!
何と、小曽根さんが満席の会場を写真撮影するというのです。
オルガン席からの撮影です。
小曽根さんとともに私たち全員の笑顔!

この記念写真は、小曽根さんのFacebookで見られます。
まだコンサートが開けない状況の人々への
励ましになりますように。






































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