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OZONE60 Classic × JAZZ   [コンサートの記憶]

ひとりひとりの
心に届くように
奏でられたピアノは
大きな空間を
あたたかい愛で満たし
いつまでも
輝きつづける。。





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小曽根真 60th Birthday Solo
         ~サントリーホール

(セットリスト)
Makoto Ozone:Gotta Be Happy
        Struttin’ in Kitano
Moszkowski:20 Petit Etudes, Op.91: No. 8 in B Minor: Moderat
Makoto Ozone:Need To Walk
Always Together
Mozart:Eine kleine Gigue in G Major, K.574
Prokofiev:Piano Sonata No.7 in B-Flat Major, Op. 83: 3. Precipitato
Makoto Ozone:The Puzzle
Chick Corea:Spain
Makoto Ozone:Listen…
        O’berek
        For Someone

(アンコール)
Makoto Ozone:Reborn


エントランスを入ると、なんだか赤い!
ロビーに飾られている沢山のお花が赤・赤・・
ホールの中も赤い!
赤いライトに浮かび上がるステージ。
その床には「OZONE60」の文字が!


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この日は小曽根さんの還暦の誕生日。
ご本人の演奏を聴いて祝えるなんて、すっごい贅沢♪♫

客席は文字通りの満席。
全員の熱い期待も最高潮。

拍手の中、登場した小曽根さんは
やはり赤いシャツ姿。

さあ!特別な時間が始まる。
Gotta Be Happy!!

イントロはソロ・シンガーのモノローグ。
クワイヤーのステップが始まる。
重心の低いリズム。
クラップ!クラップ!
ソロの熱唱、そして
コール&レスポンス!

ゴスペルのステージに放り込まれたような
この最高に Joyful な曲が大好き!
小曽根さんが、以前ゴスペルクワイヤーのオルガンを弾いていたと知り
いつかゴスペル調の曲をかいてほしいと願っていたので
新しいアルバムに入れてくれて、本当に嬉しい♡

心をわしづかみされた客席から大きな拍手!
笑顔・笑顔!

ウェルカムの挨拶に続いて、
小曽根さんの原点という
ジャズバー・Kitanoの雰囲気を曲にしたデキシー♫♪
軽やかなストライド奏法はお家芸。
ちょっとお酒が入ったようなアドリブ。
にぎやかなセッション。
さんざめく会話。




モシュコフスキーのエチュードといえば
15の練習曲 Op.72 を思い浮かべるけど(トオイメw
演奏されたのは 20の小練習曲 Op.91。
8番はh-mollの美しい作品で、三声でかかれている。
なめらかなピアノ。
さりげないゼクエンツ。
そして
原曲からの自然な流れの即興・・
まるで
深い森の奥から湧き出たすきとおった水が
せせらぎとなり
谷川の急流になるように。
それは 
いつのまにか
再び森へ還っていく。。



一転してブルース。
「体重がが・・なので歩かなくちゃ!」
というわけで、
太~い人が歩いているようなベースラインw
おチャメ全開でメチャ楽しいこと!
この曲を聴きながらウォーキングする人が増えそうな予感。


そしてAlways Together♡
これを聴くと笑顔になれる。幸せ~♪♫
元気いっぱいの笑顔から
ふわっと空をあおいで思い出し笑いをしたり
ステップを踏みたくなったり。

この曲は去年の新曲で、タイトルは一般公募になったのでした。
たくさんの応募の中から小曽根さんが選んだわけですが
命名者となった方が客席に。
小曽根さんが「いらしてますか?」
と、1階客席の方を捜すと
背後のP席で「はい!」と手を挙げた方が。
1階前列のワタシタチが「あそこに!」と指してあげたのでしたw


さあ、モーツァルト!
キラキラの音たちがくるくると宙を舞う。
飛び跳ねて笑い
ちょっとスネたり
思いっきり走ったり
ホモフォニーとポリフォニーを自在に操る
ステキなインプロヴィゼーションに心が躍る。



アタッカで始まったプロコ!
鋭い打鍵
炎のようにぐいぐい突き進む
これは圧巻!!


ほんとうに、
この日演奏されたクラシック曲たちの素晴らしかったこと!
CDを録音した時から、さらに深化を続けているなあ(尊敬っ





後半、小曽根さんは春らしい桜色と白のツートンのシャツ姿。

The Puzzleは元々アップテンポの曲だけど
さらにヒートアップしてる。
床を鳴らす靴音のタイトなこと!
ゆるぎない細かいパルス。
火花が散る!
まるでイリュージョン!


こんなに凄い早弾きの後、息が上がることなくフツーに喋る小曽根さん(凄~
「みんな、まだ居てくれてありがとう」←帰るわけないじゃんw

そして、来場しているミュージシャンや俳優の友人達を紹介。
ひとりひとりが客席のあたたかな拍手に応える。

「予定してなかったのだけれど」
と言って弾きはじめたのは
チック・コリアの Spain !
星になってしまったチックさんは
小曽根さんの大切な師であり、友人だった。

さあ
あのフレーズ!
一瞬、天をあおぐ小曽根さんの笑顔。
ああチックさんが一緒に弾いている!
いつかのように。
チックさんの大きな愛が そこに。。

弾き終わって小曽根さんが思わず叫ぶ
「We love you!
We miss you!」

涙があふれる。。



・・やさしいピアノの音

Listen…

子守歌のように穏やかな空気は
頑なな心をときほぐし
懐かしい記憶の中で たゆたう。。



次の O’berek(オベレク)をソロで弾くのは本邦初公開。
元々ピアノカルテット&パーカッションのためのオリジナル曲。
それをCDでは2台のピアノで多重録音、という難曲!

ものすごいサウンドの厚さ。
それなのに、なんだこのグルーヴはっ!
エキゾチックな香りと
近未来のシャープさが混在し
緊迫感が渦巻き、駆け巡る。
まさに圧倒的!!

オベレクはポーランドの民族舞踊で
輪になって軽やかなステップを踏みながら踊る。
でも、小曽根さんのオベレクはそれとは違う!
何故?

・・もしかしたら
小曽根さんは器楽で演奏するための作品にしたのかも。
ピアソラがアルゼンチンで踊られていた、
その土地固有のダンスミュージックを
楽器の演奏で「聴かせる音楽」に発展させたように。。






セットリストの終わりは 
For Someone 

日々の
何気ないことの繰り返しの大切さ
くりかえすうちに
積み重なって
豊かなものになってく・・

「For Someone 誰かのために」
そしてマイクを置いた小曽根さんが
もう一度 言う。

「みなさんの ために」


淡い色彩で描かれた水彩画の世界・・
どこまでも続く道
穏やかな風
誰かを想う心
あるいは ときめき
それとも あきらめ

あなたは あなたのままで いいんだよ
そんな優しさにつつまれる。。


・・ピアノの響きが消え
長い 長い 沈黙の後
静かに拍手が始まる
そして
喝采へ。。







アンコールは もちろん Reborn

ブルージーにバウンスするピアノ。
私も心の中で歌う。クラップしながら!

スタンディング・オベーション!
またひとつ
忘れられない 大切な時間が心にきざまれた。。







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この日は、なんと最前列でした!
小曽根さんの大切な日を、こんなに凄い席で祝うことができて
本当に幸せでした。

しかーしっ
何故か数日前からソワソワと落ち着かない。
当日は、自分の本番のように緊張・・!

小曽根さんが「お客さんは僕のパートナー」と言っていた事を
後になって思い出し、大反省。
客席の緊張が伝わってはいかんっ!!
次の時はもっとテンション上げて聴きに行かなくてはっ。


実は、小曽根さんが後半のMCで
「こんなにたくさん来てくれるとは思っていなかった。
開演前に(入場の様子の)モニターを見ていて
・・こんなに緊張したことはない」
と言っていたのです。

しかし、どんなにプレッシャーがあっても撥ねのけて
すばらしいパフォーマンスを聴かせてくれる、
これこそプロ中のプロ!
心から尊敬します。



さて「OZONE60」は、この日が初日。
1年かけて全国60カ所をまわるそうです。
さあ、あといくつ行けるかな?楽しみ~。
































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Tango Nuevo      [コンサートの記憶]

三浦一馬&東京グランドソロイスツ
           ~所沢ミューズ


【オール・ピアソラ・プログラム】
フーガと神秘
ブエノスアイレスの冬
コルドバへのオマージュ
ツィガーヌ・タンゴ
アディオス・ノニーノ
デカリシモ
悪魔のロマンス
ブエノスアイレス午前零時
天使の死
螺鈿協奏曲

(アンコール)
現実との3分間
リベルタンゴ
アレグロ・タンガービレ


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石田さんの美しく、超絶なソロを筆頭に
厚みのある弦楽アンサンブルが
緩急自在に繰り広げるオール・ピアソラ!

三浦一馬さんのバンドネオンは
スタイリッシュに歌い上げる。

アストール・ピアソラの音楽が
研ぎ澄まされ、
都会的なセンスを身にまとい
まさに
今、この時代を生きる人の歌となる。。




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ピアソラは
アルゼンチンで踊るための音楽としてのタンゴを
Tango Nuevoと呼ばれる、演奏して聴かせる音楽に再構築した。
彼はクラシックを学び、ジャズとの交流も深めつつ
生涯、試行錯誤していった。

三浦一馬さんは、そのピアソラの作品に
さらなるアレンジを加える。
三浦さんのTango Nuevo、それは
弦楽・ピアノ・ギターという編成で演奏するスタイル。


その試みは数年前にスタートし、
年を重ねるごとにクオリティが高くなっていく。
今回も終始手に汗の熱い音楽を満喫!



























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Ludwig van Sampling!    [コンサートの記憶]

野平 一郎 退任記念演奏会
        ~東京藝術大学奏楽堂

(プログラム)
弦楽四重奏曲第5番(2015)
弦楽四重奏曲第6番(新作初演2021)

ベートーヴェンの記憶(2003)
  ピアノとリアルタイム・コンピュータのための(2003)


(出演)

AOI・レジデンス・クヮルテット
  松原 勝也(第1ヴァイオリン)
  小林 美恵(第2ヴァイオリン)
  川本 嘉子(ヴィオラ)
  河野 文昭(チェロ)

野平 一郎(ピアノ)
仲井 朋子(コンピュータ)



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音響の渦に呑み込まれ
まるで映画を観ているような臨場感!

ロマンと懐かしさ
古い記憶と未来への眼差しが交錯する。

野平氏のピアノの音色の美しいこと。。



ピアノとリアルタイム・コンピュータの共演。
ホールの周囲に置かれたスピーカーから
コンピューターの音が再生される。
それは立体的で、しかも渦巻くよう。
ピアノは生演奏。
コンピューターの音は予め作製されたものが
その場で再生される。

ベートーヴェンのピアノソナタの断片
そして朗読の声が
あちこちに姿を現しては
音響の中で舞い踊る。
とても不思議な空間の体験。。

前半のカルテット二曲も素晴らしいパフォーマンスに喝采!

現代音楽は、ともすると神経を逆なでするような音使いに閉口するけれど
野平氏の作品の音響には共感を覚えた。
音楽には、その人柄がにじみ出るものなのですね。































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My Rembrandt      [カーテン・コールの後に]

レンブラントは誰の手に
     ~Bunkamuraル・シネマ



監督・脚本:ウケ・ホーヘンダイク   
出演:ヤン・シックス
エリック・ド・ロスチャイルド男爵
ターコ・ディビッツ(アムステルダム国立美術館)
エルンスト・ファン・デ・ウェテリンク教授
バックル―公爵

2019年/オランダ



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芸術作品は個人のもの?それとも…。
美を巡り様々な思惑が交錯する。

ドキュメンタリーなので
オランダ・フランス・スコットランドそれぞれの言語が
吹き替えなし、というのは本当に嬉しい!

登場する人達は実在人物なのだけれど
皆、役者さんなのでは?と思うくらい。
監督が狙った「シェークスピア劇」そのものに見えてくる。


そして
レンブラント作品のアップの迫力!!
色彩はもちろん、絵の具の立体感も
手で触れられそうな臨場感。

絵画だけでなく、風景描写も秀逸で心をうたれる。
懐かしいアムステルダム国立美術館と
運河沿いの街並み。
さらに
スコットランドの公爵領の美しさ!
その邸宅の存在感。。





いくつかのエピソードが同時に展開していくので
やや難解なのだけれど、
それを超える魅力のある映画でした。

次にアムステルダムに行ったら、
ヤン・シックスのお店に立ち寄ってしまいそう!





























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親子チェンバロ      [コンサートの記憶]

鈴木雅明&鈴木優人 2台チェンバロリサイタル
                ~紀尾井ホール


(プログラム)                  鈴木 雅明* 鈴木 優人**
J. S. バッハ:管弦楽組曲 第1番 ハ長調 BWV 1066(鈴木優人による2台チェンバロ編曲版)
      :フーガの技法 BWV 1080より コントラプンクトゥス I, VIII, XIII
W. F. バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲 ヘ長調

J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV 1004より「シャコンヌ」
                      (G. レオンハルトによるチェンバロ編曲版)*
フローベルガー:フェルディナンドIV世のためのラメント**
J. S. バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲 第2番 ハ長調 BWV 1061a

(アンコール)
C. P. E. バッハ:4つの小二重奏曲より第4番 変ホ長調 Wq. 115-4

                              


煌びやかな音色がホールいっぱいに響く!
ここはライプツィヒのカフェ・ツィマーマン?!

心躍る推進力
エキサイティングな対話と
鮮やかな着地!

まるでバッハ親子のコンサートが
目の前で繰り広げられているよう。。



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華やかなフランス風序曲は
コンサートのオープニングにふさわしい晴れやかさ。
緩急さまざまな組曲は
2台のチェンバロが調和してオーケストラのように鳴り響く。
それぞれのフレーズを奏でる楽器を熟知している二人は
まるで指揮をしているよう!
優人さんは後ろに座っている雅明氏を振り返りながらイキを合わせる。
もう、ほとんど楽譜を見ていない(凄~







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                  (この写真はweb上からお借りしました)






1曲目の後は楽曲解説(そうこなくちゃ
先に登場した優人さん「息子の方です」笑
やがて雅明氏も登場。
黒づくめの衣装でマイクの持ち方と腕の組み方もそっくり。
違うのは御髪の色くらいという、間違えようのない親子です。
バッハ家もそうだったのかしら~?

父バッハの厳めしい「フーガの技法」の後に聴く
長男フリーデマン・バッハの音楽は
時代が一つ新しくなった事を告げる。
優人さんは、楽譜がオランダに置いてあるとの事でタブレットを使う。
ほら、新しい時代だわ!

ところで、四声の曲を2台で二声ずつに分けて弾くと
各声部がクリアに聴こえる、と優人さんが言ってましたが
「そうそう!」と思わず声に出しそうになりました。(出さなかったけどw
実はこの前日、私も全く同じ考えでバッハの四声の曲を編曲して弾いたから。
しか~し!
いつも弾いている四声を三声にすると、指使いを全て変えなくてはならず、大苦戦(汗
こういう事をさらりとやってのけてしまう優人さんを改めて尊敬します。


後半はそれぞれの独奏がありました。
雅明氏は無伴奏ヴァイオリンのシャコンヌ。
「レオンハルトの編曲はチェンバロ的」と雅明氏。
本当に、こういうチェンバロ曲が最初からあったと思えるくらい!

そして
優人さんが亡き恩師に捧げたラメントに涙…
最後はほんとうに魂が天に昇っていくのが見えたようでした。


プログラムのおしまいはJ.S.バッハ。
かっきりした音楽が
この類い希な音楽家親子によって親密に語られる。
尊敬と信頼。
大きな包容力と未来を見据える眼差し。
2台の美しい楽器から紡ぎ出された音たちは
ホールの高い高い空間に舞い上がる。。


そしてアンコールに奏された可愛らしい小品に
親子の懐かしい時代を思う。
ホールになごやかな空気がゆれる。。




























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OZONE60               [響きのゆくえ]

ついに!
小曽根真さんの最新アルバムが発売になりました!


もちろん、予約してましたから
発売日の1日前に到着!

なんだか大きな箱~。
開けてみると、密林限定の「デカジャケ」付き。
CDと同じ写真が
レコードジャケットくらいの大きさになっています(嬉♡


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さあ!聴いてみよう!
曲名を読まずに再生~♪♫

ああ、まさかこの曲からとは!

最初から涙。。。



このアルバムは
昨秋、水戸芸術館のホールで
2台のピアノ(スタインウェイとYAMAHA CFX)を使って録音されたものです。

どの曲をどちらのピアノで弾くか
心づもりがあったとしても
実際に演奏してみての変更もあったかもしれません。

ホールの響きを聴きながら
さまざまなインスピレーションを得て
のびやかにピアノを弾く小曽根さんを想像すると
本当に嬉しい気持ちでいっぱいになります。


そして、それぞれの曲にこめられた小曽根さんの思いが伝わるように
最高の録音技術が駆使されたのは言うまでもありません。
たとえば、同じ機種のピアノを弾いているのに
曲によって音が違うのです。
その曲のためには、その音でなければならない
という強い意志が伝わってきます。







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小曽根さんの60歳の節目にリリースされた二枚組のアルバム。
そして今年は
日本全国60カ所のコンサートツアーが予定されています。
このアルバムの中の曲たちは
どんなふうに演奏されるでしょう?
ほんとうに楽しみです~♫♪♡































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