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待降節のカンタータ    [コンサートの記憶]

バッハ・コレギウム・ジャパン 第145回定期演奏会
            ~東京オペラシティ コンサートホール/配信


(出演)
オルガン:鈴木雅明*
指揮:鈴木優人
ソプラノ:森 麻季
アルト:青木洋也
テノール:櫻田 亮
バス:ドミニク・ヴェルナー
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン

(プログラム)
トッカータとフーガ ヘ長調 BWV540 *
カンタータ第61番《いざ来ませ、異邦人の救い主よ》BWV61
クリスマス・オラトリオ BWV248 から第1部、第2部、第3部


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華やかに鳴り響くトランペットとティンパニ!
力強い合唱と管弦楽が 祝祭の始まりをつげる。

クリスマス・オラトリオの第1部から第3部、
期待感に満ちた音楽を、雄弁な指揮で創り上げる優人さん。
チェンバロ弾き振りのカッコイイこと!

通奏低音の充実感がはんぱないっと見ると
チェロは鈴木秀美さんではないですかっ(驚

清明な合唱は、それぞれの声部がクリアに聞こえ
安定と躍動感を併せ持つ管弦楽は
楽器のひとつひとつの音色が手に取るよう。

奏者の皆さんが黒い衣装に、ワンポイントで
クリスマスカラーの赤や緑を付けているのも良く見える☆♡

やはり、配信の威力はすごいわぁ~、と感心!




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この日の白眉は
青木洋也さんのアルト・アリア。
大らかで、優美で、
気持ちが伝わってくる歌唱のすばらしかったこと!






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またもや「今日が一番良かった!」を更新しましたよ♡

特に第二部の「子守歌」は
優しい愛にあふれていて
心がふるえたのでした。。




実は、この日のソリストはアレクサンダー・チャンスくんだったのですが
こんな状況で来日が叶わず(悲)、青木さんが代役となったのです。
私はチャンスくんのファンなんですけどね、これはチャンスですね(わけわかめw
というわけで、配信になると聞いて急遽チケットをゲトしましたです♬♪







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こんな共演が実現するなんて
ほんとうに、夢のようです。。。







































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Todo Piazzolla       [コンサートの記憶]

三浦一馬&東京グランドソロイスツ
       ~かつしかシンフォーニーヒルズ モーツァルトホール


(出演)
三浦一馬(バンドネオン)
東京グランドソロイスツ(室内オーケストラ)

(プログラム)
A.ピアソラ:

リベルタンゴ
ブエノスアイレスの冬
オブリヴィオン
ツィガーヌ・タンゴ
アディオス・ノニーノ
デカリシモ

ディヴェルティメント
ブエノスアイレス午前零時
現実との3分間
螺鈿協奏曲

(アンコール)
カランブレ
天使の死
アレグロ・タンガービレ





うねるようなテンポ変化も
寸分の隙なく合わせる
究極の弦楽アンサンブルの美しい響き。
その中でバンドネオンが大らかに歌う。
さらに自由度が増したソロに聴き惚れた。。




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今年はアストル・ピアソラ生誕100年。
この日もオール・ピアソラ(Todo Piazzolla)プログラム。




三浦一馬さんは、いろいろな編成でコンサートをしている。
人数や楽器が違うので、編曲も異なる。
世界でも、あまり聴くことの出来ない弦楽アンサンブルの編曲は
これまでバンドネオンが弦楽と調和するものが多かったけれど
この日はソロとして活躍する場面がたくさん聴けた。
のびやかに歌い上げ、駆け巡る!
解き放たれ、しなやかに舞う心地よさ。



アンサンブルの要を担いつつ、
ソロ・ヴァイオリンを鮮やかにキメる石田泰尚さん。
今回も最高!だった♬♡
(もちろん、最後の「礼」もねw)




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                  (web上からお借りしました)

アンコール最後に、立って弾く三浦さん。
これ、スゴクかっこいいし、音も際立つのに
たまにしかやらないのよね。why??



石田さんの「礼」というのは、
アンサンブル全員で石田さんに合わせてピタっと会釈をし静止。
最初に客席前方に礼。
次に上手のバルコニーに向けて礼。
そして下手のバルコニーに向けて礼。
最後に再び前方に礼。
石田さんのアクションに客席は爆笑。


また来年もこのアンサンブルが聴けるそうなので、とっても楽しみ♬














































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Ciaccona         [コンサートの記憶]

イザベル・ファウスト
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ 全曲演奏会
                 ~東京オペラシティ コンサートホール


(プログラム)
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006
      無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV1003
      無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004

(アンコール)
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001 より 3. シチリアーノ







たった4本の弦から放たれる
千変万化の音色!

多彩なフレージングで語られる
深い愛の物語に惹き込まれ
心が震える。。




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弾き始めた瞬間、
ひとつひとつの音色が全て異なっていることに驚く。
それは、ただ違って聞こえるというよりは
それぞれの音に性格があるかのよう!
音たちは有機的に連なり、呼吸して
フレーズを創りあげていく。

最初に奏されたホ長調のパルティータは
輝かしく、透明感のある響きに満ちていて
爽やかな風の中
木もれ日の道を行くような幸福感が歌われる。
こんなに優しい「バッハ」を、初めて聴く。
新鮮で、けれども懐かしい夢のよう。。






その音色が、次のイ短調のソナタでガラリと変わる!
浮遊感のある音から質量のある音へ。
静止した風景。
深淵な、モノクロームの世界。
弓を持ち替え、強い意志をもって弾かれると
こんなにも描き分けることができるのか。

楽器はストラディヴァリウス。
弓はバロックボウ。
彼女の高い技術で自在に操ると
ポリフォニーもくっきりと浮かび上がってくる!

さらに
とても広いダイナミクスの
グラデーションの美しいこと!
柔らかい光に煌めく
霧のような音の粒子がうずまいて
奥行きのある立体的な世界が
目の前に現れる。






ニ短調のパルティータも異なる弓で奏される。
しなやかで強い意志。
聖書の
「言葉は肉になる」
という節を ふと思い出す。
語られた物語は、奏者の真心を通して
自身の生命となり息づく。

そして
Ciaccona(シャコンヌ)。
果てしない祈りの道を
一歩一歩 
ひたすら歩み続ける旅人。。
心の中の風景は
おのれを見つめる鏡。

吟味された言葉で
真摯に語られる物語は
深い愛に満ちている。。




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               (この写真はweb上からお借りしました)




シャコンヌを大伽藍のように演奏する人が多いけれど
この日の演奏は、全く大げさなことをせず
まるで神のしもべが、淡々と語るよう。
これこそ、圧巻!
深い感動がホールを支配し
長い長い静寂。。
そして
喝采!
涙が止まらない。。







長い拍手に何度も呼び戻され
最後に感謝を込めて奏されたアンコール。

今まで生きてきた道
そして、これから見る風景。
深い愛と希望のシチリアーノ。。






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今年の初め、
イザベル・ファウストさんが日本で協奏曲を弾いた演奏会が
春ころにテレビで放映されました。
その時のアンコールがニコラ・マッティスという
バッハとほぼ同時代の作曲家の作品でした。
その演奏がとても印象深かったため
なんと、初めて女性ヴァイオリニストの演奏会のチケットを買いましたw

ファウストさんはバロック音楽に精通していて
バッハの録音の時はバロックボウを使うと知り、楽しみにしていたのですが
予想をはるかに上回る演奏に驚愕したのでした!
今まで、聴いたことのない
でも、説得力のある素晴らしいバッハ!

今年の演奏会ベスト1の予感です♪♡♬♡






























































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Harpsichord Concert      [コンサートの記憶]

ハープシコード・コンサート
         ~Erfurt/配信

(チェンバロ)ジャン・ロンドー

(プログラム)
G.フレスコ・バルディ (1583-1643):toccata quarta in D minor
                    – from „The first book of Toccatas, Partitas etc. 1637“
J.P.スウェーリンク (1562 - 1621):fantasia chromatica
J.J.フローベルガー (1616 - 1667):toccata II in D minor
                toccata VI in G minor - Da sonarsi alla Levatione
G.ベーム (1661 - 1733):prélude, fugue et postlude in G minor‍
J.S.バッハ (1685 - 1750):toccata in E minor, BWV 914
            fantasia in A minor, BWV 922
            prélude and fugue in A minor, BWV 8948
(アンコール)
J.S.バッハ:Goldberg -Variationen BWV988,Aria




‍バッハよりも古い時代の音楽なのに
何て自由なことだろう!
まるで即興のように生き生きと
ハープシコードが歌う。。



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今年12月に来日するはずだったジャン・ロンドー。
とてもとても楽しみにしていたのに、中止に。。
だから、このコンサートが配信されると知って狂喜乱舞♡♡♡

収録は、今年の夏だったようだけれど
ジャンの「今」が聴けて感激!!

しかも、以前フランチェスコ・トリスターノの収録があったのと同じ会場。
二人とも、ここの雰囲気が良く似合うね。

そして二人とも、古い時代の音楽を弾いているのに
ものすごく新しく感じてしまうところ!

ジャン・ロンドーが弾くのはハープシコード(チェンバロの意)なのに
古楽器を演奏している感じがしない。

粒立ちの良い、明るい音色。
ジャンの指は軽やかに鍵盤を駆け巡り
絶妙なフレージングから生まれるファンタジー。。


アンコールの前にジャンがオーディエンスに語りかける。
・・本来なら、もっと近くで聴いてもらいたいのだけれど・・

こんな状況なので、距離をとって座席が設けられているのが
少しはがゆいのでしょう。

私も、もっともっと近くで聴きたいよ、ジャン!
いつか、きっと。。。





























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クリスマスのプレリュード    [コンサートの記憶]

鈴木優人チェンバロリサイタル
        ~鎌倉雪ノ下教会

(チェンバロ)鈴木優人



(プログラム)
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV846~869

(アンコール)
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV846 より プレリュード




祈りの空間に
クリアに響くチェンバロの音色

まるで
聖書のエピソードが語られるように紡がれる音楽は
半音ずつ調が上がる度に天へと近づく。。



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2日前に都内のホールで優人さんが弾いていたのと同じ、
シノワズリの装飾が美しい鈴木家のチェンバロ。
優人さんの「平均律ツアー」は日本中を駆け巡った。
この楽器と、調律師さんとともに。

ツアーのラストは教会。
以前、ここで優人さんが毎年のようにクリスマスコンサートをしていて
それを聴きに行ったことのある私にも案内が届いた。

「こんな時期ですので、人数を減らしての開催です。
ご案内も ごく控えめにさせていただいております。」

そんなふうにお誘い頂いたら、行かないという選択肢はありませんw



演奏会の前に、牧師さんのお話。
演奏することを「再現する」と仰ったのにハッとする。
バッハが天啓を得て書き留めた音符たちを見て弾くと、
聴こえてくるのは
作曲家と演奏家を通して語られる天の詞。。

そして、お祈り。
会衆の心が寄り添い、あたたかな優しさにつつまれる。


演奏が始まると
まず その美しいサウンドに驚かされる。
硬質なひとつひとつの音が
まるで その粒が見えるように煌めき
柔らかな放物線を描いていく。。

そうして語られる物語に耳をかたむけ
ともに享受し、深く共感しあう。
そんな空間にいられる事への感謝で
胸がいっぱいになる。。


優人さんの演奏はどんどん熱をおび、
後半はアグレッシブに!
速いパッセージは2日前よりもさらに加速し
大木のような重量感と
羽のように軽いフレーズのコントラストが
くっきりと描き出される。

途中、楽器の内部に不具合があったらしく
演奏を中断して、自身で点検。
そして何事もなかったように
演奏が再開される。

チェンバリストは内部構造を把握していて
多少の事なら自分で処理できる。
何でも調律師さん任せのピアニストとは大違いw



12の調を登りつめた
その先のハ長調が再び奏される。
まさに、清らかな天上の音楽。。







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ツアーのラスト2公演が聴けて大満足!
けれど、5月に聴いた平均律が
ツアーの始まりだとしたら?

バッハの音楽は
高原の風に舞い
都会の夜に夢を描き
海辺の教会で天上の響きとなった。。













































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Das wohltemperierte Clavier, 1     [コンサートの記憶]

鈴木優人 J.S.Bachを弾く 1 ー平均律
             ~トッパンホール


(チェンバロ)鈴木優人



(プログラム)
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV846~869

(アンコール)
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV846 より プレリュード







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作品の解説は演奏者自身によってプログラムに書かれていて
演奏会はお話をはさまず、チェンバロの響きだけがホールを満たす。

バッハが音符でかきとめた 宇宙のいとなみ。
ひとつひとつのエピソードは短くても
密度の濃い物語は凝縮されていて
万華鏡のように息づいている。

自転しながら軌道を描く星たちが形作る小宇宙。
いくつもの星雲は漆黒の闇で輝きを放つ。
まるで、今ここで聴いている音楽のように。









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この美しいチェンバロから聴こえてきたのは
管弦楽の様々な楽器、そして歌声!

ソロ、アリア、トゥッティ・・
バッハがかいたあらゆる楽曲が
表情豊かに奏でられていくよう!

その展開に心ときめかせ
固唾を飲み、
壮大な旅を楽しむ。。








5月に八ヶ岳音楽堂で聴いた時から
さらに練り上げられた平均律。
それぞれの曲の個性を浮き彫りにし
全てを俯瞰して演奏に挑んだ優人さん。

弾き終えた時は心底ホッとした様子。
それでも、アンコールを弾いて下さる。

この日の調律法はキルンベルガー。
ドとミがとても綺麗に響く。
だから「お耳なおしに」と、
冒頭のハ長調のプレリュードが演奏された。

ふと爽やかな風が そよいで
旅のつかれを ぬぐい去る。。



































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