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Emperor       [コンサートの記憶]

すみだクラシックへの扉 #04
        ~すみだトリフォニーホール

(プログラム)
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op. 73 「皇帝」
リムスキー=コルサコフ:シェエラザード op. 35

(アンコール)
ショパン:マズルカ Op.56-2


指揮:佐渡裕
ピアノ:反田恭平
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団






              *おことわり プログラム一曲目のピアノ協奏曲の事のみを書きます*


ついに!ついに聴けた!!
反田恭平さんのナマの音!!
感動~~!!



昨秋のショパンコンクールのインターネット配信に貼り付きw
反田さんが2位になったことで、日本のTV,ラジオなど様々なメディアに出演するのを逐一チェック。
いつか生演奏を聴きたいと強く願っていた。

そこへ凱旋コンサートのお知らせ。
やったあ!ソロリサイタルだよっ
と、喜んだのもつかの間。
あまりの人気に、本公演の翌日に追加公演まで設定されたのに
先行予約、抽選そして先着順の購入の全てで敗退!!
がーーーん!
元々、チケットが取りにくいピアニストだとは聞いていたけど
ここまでとは。。茫然。。放心状態~


大変な盛り上がりだったという凱旋リサイタルから10日ほど過ぎたとき、
反田さんが弾くコンチェルトの演奏会のチケットが若干枚だけ販売されるという情報をゲト!
このコンチェルトは外国の演奏家が弾くはずだったのが昨今の事情で入国できないため
反田さんが代役になっていたもの。
もちろん、完売公演です。
これは是非ともっ
と、気合いを入れてw
とったどーーー!!

ほんとうに、ほんとうに幸運でした(うるうる
しかも、指揮が佐渡裕さん。
反田さんも大変に尊敬し、信頼しています。
同じベクトルの二人が創る音楽!楽しみすぎる!
と、チケットをゲットした日は興奮してなかなか寝付けずw


あっという間に、公演当日♡



コンチェルトは まさに圧巻!
ピアノがオケのように鳴り響く。

重厚で奥行きのある素晴らしいサウンドと
繊細な表現を駆使して音楽を牽引する反田さん。。

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ベートーヴェンのピアノコンチェルト「皇帝」は
ピアノの華やかなアルペジオで始まる。
明るい希望を抱いて見上げる青空。
軽やかに、でも確かな足どりで踏み出す
遙かな旅路へ!

厚いオーケストラと
繊細なピアノとの対話。
次の瞬間には金管よりも太く鳴るピアノ!
これは、まるで二つのオーケストラ。
両者ががっきりと組み合って
重層的な音楽が創り上げられる!


緩徐楽章は穏やかに。
ピアノの優しいメロディーに
オーケストラが静かに寄り添う。
けれど、どんなに柔らかくても
節度を保ったピアノの音色。。


夢の中で聴いているような
ゆったりしたフレーズ。。
はっと目覚めると
それが猛スピードで走り出す!

素晴らしいバランス感覚のピアノが
ぐいぐいと音楽を牽引し
輝かしいフィナーレへ!


大喝采!!







何度もステージに呼び戻される反田さん。
そして、アンコールはショパン!

これこそが唯一無二のマズルカ。
そうか
ショパンコンクールでは
この音で演奏していたのか!

当たり前だけれど、インターネット配信の音と全然違う。
芯のある音。
深い響き。
そこから立ち上る美しい倍音。

走馬燈のように
あのコンクールの日々が蘇る。

涙。。





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               (この写真はweb上からお借りしました)



反田恭平さんの生演奏を聴きたいという願いがかない
ほんとうに幸せだった。
同時に、反田さんが今後どんな音楽をしていくのか
どんな人生を歩んでいくのか
ますます興味津々になったのでした♬♪






















































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Recital Salon      [コンサートの記憶]

名曲リサイタル・サロン 第16回 藤田真央
             ~東京芸術劇場コンサートホール

(プログラム)
ショパン:ノクターン 第13番 c-moll Op.48-1
           第14番 fis-moll Op.48-2
クララ・シューマン:3つのロマンス Op.22
           1.b-moll 2.Fis-dur 3.H-dur
ショパン:バラード第3番 A-dur Op.47
リスト:バラード 第2番 h-moll

(アンコール)
モシュコフスキー:練習曲 Op.72-11

ナビゲーター:八塩圭子



数え切れない色彩
そして明度の音たちが
まっすぐな軌跡
あるいは
なめらかな弧を描き
ホールの隅々まで響きわたる!

深い思索のもとに
創り上げられた
唯一無二の音楽は
見たことのない世界へと
いざなう。。




'22Jan真央1.jpg




短調の、ドラマチックなノクターン。
ショパンがかいた譜面を深く読み込み、
自らの思いを重ねて表現していく。
あらゆる場面に
藤田真央さんの熱い情熱が宿る。

作品48の1の最後の音が終わっても
鍵盤から手を下ろさず
短い間合いの後、
作品48の2が柔らかに始まる。
頬を伝う涙のような旋律。
不思議に減衰しないロングトーン。
真央さんのハミング。。


クララ・シューマンの愛らしさ
そして強い意志が
舞い上がる風のように奏される。
秘めた想いと確固たる決意。
彼女の人生そのものが
真央さんの指から紡ぎだされる。。






さて、ここで司会の八塩圭子さんが
藤田真央さんにインタビュー。

お正月は「何にもないことが幸せだった」という
「ロード」という歌の歌詞の通りだったこと。
「母親が歳月かけて作ってくれた」お正月料理を美味しく食べたこと。
ベイスターズのファンなので最下位でもガッカリしないこと。
「シャーロック・ホームズ先生が『空腹の時こそ集中力が増すんだよ』
と仰ったので、フジタも集中力のために本番の前は何も食べない」こと。

もう、場内は爆笑の連続ww
真央さんの、妄想と現実を行き来するようなお話を
八塩さんが上手にまとめてくれました。
それにしても、このコンサートシリーズで
満員御礼になったのは初めてだそうで、めでたい!
(大ホール1999席ですからっ)




後半は、ショパンのバラードの中で
真央さんが一番好きだという第3番から。

モノローグのように始まる物語。
回想の風景は、荒れ地の険しい道。
おぼつかない足どり。
ふきすさぶ風。
慟哭は嵐を呼び
秘めた思いを天に向かって叫ぶ!



拍手はあっても、ほとんど間を置かずに
闇夜の海の波のように
リストのバラード第2番が始まる。

優しい光にそよぐ梢で
小鳥がさえずる。
リストが暮らしたワイマールにある
可愛らしいハート型のイチョウの葉がゆれる。

一転して横殴りの風雨!
窓をたたく強い風!

なんという振り幅の大きさ。
双方の世界を見事に描き分ける
まさに超絶技巧。

真央さんの大きな手は本当に柔軟で強靱。
一つ一つの指が、まるで生き物のように
絶妙のコントロールで鍵盤をとらえる。
そこから生まれる極上の弱音
ふくよかな歌声
轟く雷鳴のようなフォルティッシモ!





プログラムを全て弾き終わり、再びインタビュー。
ステイホーム期間中に真央さんが演奏動画を配信したのは、
ある影響力の強い方からの勧めだったこと。(どなたでしょう~?)
「その方に言われたらやらざるを得ないけれど、撮影が大変だった」こと。
「このホールでは以前コンチェルトを演奏したが、独奏は初めて。」
(満足いく演奏だったようです♡)
「アンコールは何かお洒落なものを。。
私が若かりしころに弾いたエチュード。」(若かりしころww)


そう言って、ほんとうにお洒落に
羽のように軽やかに紡がれた音楽。
最後の音を弾き終わり
真央さんが空中で右手をふわっと揺らすと
幸せな風がそよぐ。。



'22Jan真央2.jpg





ショパンのバラードは、自分の解釈が
「あまり評判良くないんですよ」
と言っていた真央さん。
確かに、斬新w
しかしこれは
本当に楽譜を良く読み込んでいるからこそ。
周りは気にせず、自分の道を突き進んでください。
(私が言わなくても、突き進んでますねw)


昨年、初めて真央さんのナマ演奏を聴けたのですが
それは室内楽でした。⇒MAO trio
真央さんの独奏を聴きたい!と思った時には、この演奏会は既に完売(悲
しかーし!
演奏会に行けなくなった方が譲ってくださったのです(嬉♡
ありがとうございます!(と、ここでお礼を言ってどうするw



そうそう、
今日のプログラムを決めた理由を聞かれ、
「去年はモーツァルトを弾く機会が多く、録音もしたので
そのCDが発売されると今年の後半はまたモーツァルトを弾く。
モーツァルトしか弾かないという危機感があり、
それを打破するために」
そう聞くと、モーツァルト以外なら何でも良かった?
いえいえ、そんなことはありません。
プログラムはロマン派でまとめられ、ちゃんと人間関係まで考えられている。
しかも、アンコールにその後の時代(しかもショパンと同じポーランドの作曲家)の作品!

この方は、テンネンなお話ぶりで人をケムに巻いてますけど
実は、ものすごーく深い思考の持ち主ですよ。
オソロシイ子!(ほめてます♡

そして彼はこれから、さらに深化していくことでしょう。
だから、真央さんの「今」が聴けて最高でした!!



















































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