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Gautier Capuçon        [コンサートの記憶]

ゴーティエ・カプソン(チェロ)
          ~トッパンホール

(プログラム)
パブロ・カザルス:鳥の歌
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007
デュティユー:ザッハーの名による3つのストロフ
コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ Op.8

(アンコール)
フォーレ:夢のあとに Op.7-1
ハビエル・マルティネス・カンポス: Ambre cello(琥珀色のチェロ) *日本初演
プロコフィエフ:「子供の音楽」より「行進曲」 Op.65-10






・・・パブロ・カザルスは(彼は偉大なチェリストでした)
バッハの無伴奏チェロ組曲を
月曜日から毎日1つずつ演奏しました。
6つの組曲を演奏し終わると
また日曜日から弾き始めました。

彼が生涯にわたり平和を祈って演奏した
「鳥の歌」を演奏します。
Pray for peace・・・




静かに奏でられる旋律は
薄い青空に
白い弧を描くように
儚く 透き通っていて
心をゆさぶられる

ほんとうに
鳥たちが
peace peace
と、歌っているよ
    昔、カザルスが言ったように。。

そうして弓を下ろさずに
続けて奏されたアルマンド。
愛しさで胸がいっぱいになり
涙があふれる。。

ふくよかな音
そして
凜とした力強い響きの
バッハ無伴奏チェロ組曲。。



'22Aprilゴーティエ1.jpg



ゴーティエ・カプソンのチェロ・リサイタルは
お話(英語)を交えての演奏でした。(嬉♡
「鳥の歌」はプログラムに入っていなかったのですが
冒頭のようなお話(多分)をしてから演奏されました。

この数日前に、彼はウクライナで演奏会しており
YouTubeで配信されたので日本でも中継を観ることが出来ました。
ピアニストのフランク・ブラレイとの演奏で
チェロの小品をたくさん弾いてくれた、素晴らしい時間でした。

そんなゴーティエの気持ちが
冒頭の「鳥の歌」から聴こえてきたのです。

音楽への真摯な愛にあふれたチェロが聴けて幸せでした。


さらに、調弦を変える指定のあるデュティユー。
デフォルメされた旋律
不協和の連続
ピッチカートは空間をゆがませる。。


そして圧倒的なパフォーマンスのコダーイ。
東欧の節回しが
近代の嵐に翻弄されたように
うなり、むせび泣く。

どちらも、譜面台に置かれた iPad を
ほとんど見ていない。
没入して演奏するゴーティエが奏でているのは
まるで即興演奏!
たった今、ここで生まれた音楽。。










'22Aprilゴーティエ2.jpeg



この日は客席の集中度がもの凄く高く
曲の終わりにゴーティエが弓を下ろすまで
全くの無音!
おかげで彼のすばらしいチェロの倍音と残響音を
存分に楽しむことができました。
ゴーティエもスゴク嬉しそうでしたよ♡

だから、アンコールを3曲も演奏してくれました。
多分、3曲目は予定外かも♬♪

2曲目はスペインの若い作曲家の作品ということでしたが
とってもノリが良く、カッコ良くて楽しかった!
ゴーティエ「Japan premiere!」
いえ~い!!

優れた感覚の奏者が弾く現代音楽は
生き生きしていて、本当にワクワクする。
(そうでもない人が弾くと、全然面白くないんだよねw)



そういえば
来日してくれた演奏家を聴いたのは
ほんっとーーに久しぶりでした!!
しかも、
それぞれの作曲の経緯などを語ってくれたのは
本当に嬉しかった。

以前は演奏会とサイン会がセットになっていてw
CDを購入すれば、演奏家と言葉を交わすことが出来たのです。
それが叶わない現在、
こんなふうにお話をしてくれる演奏会というのは
ほんっとーーに貴重なのです(うるうる・・

とてもとても
贅沢な時を過ごしたのでした。

















































































































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クラシック党!April '22     [語られる音たち]

バッハの無伴奏チェロ組曲
        ~朝日カルチャーセンター 新宿

(講師)チェリスト 笹沼 樹

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調
               第2番 ニ短調



笹沼樹さんが熱く語るバッハ無伴奏チェロ組曲。
独奏を通奏低音から読み解く等、コアな解説が超ツボでした!!






笹沼さんが2019年から始めた「クラシック党!」という講座は
今回で11回目になるそうです。(知らなかった・恥)
「だんだんマニアックになってきて、プロジェクターも用意されて」
と、嬉しそうにお話が始まりました。
資料をプロジェクターに映しながらの解説。(以下は要点です)

・J.S.バッハの無伴奏の作品(ヴァイオリン・チェロ・フルート)
 →チェロの作品には自筆譜が現存しない。筆写譜の種類について。
・組曲・パルティータの構成曲
・バッハの時代にチェロは通奏低音を受け持っていたので、独奏は画期的。
 →独奏の中に通奏低音を再現する方法について
・第1番・第2番の解説。

詳しいお話しの後、すぐに第1番・第2番が通して演奏されました。




'22Aprilクラシック党.jpg



こんなに間近で演奏が聴けるなんて贅沢すぎ!!
素晴らしいリズム感と感性に圧倒されました♡



バッハが無伴奏チェロ組曲をかいたのは1720年頃(ケーテンの時代)。
笹沼さんの楽器は1769年製とのことで、作品よりも少し後。
その頃にはエンドピンもなく、ガット弦が張られていたけれど
ほぼ同時代の楽器で聴けたのは嬉しいことです。


それにしても、本当に深く勉強しているなあと感心しました。
笹沼さんはソロにアンサンブルにと大活躍の日々なのに
日々、精進怠りなく過ごされていて
演奏も暗譜でさらっとやってのけてしまう!(凄~
その上(まだあるw)お話もとってもお上手なのです。
専門的な内容を解りやすくお話するのは、なかなか出来ない事ですが
笹沼さんの深堀りは、とても聞きやすかったなあ。
続きの講座が今から楽しみです♪♬





そうそう、笹沼さんはまだバリバリの20代。
反田恭平さんや角野隼斗さんも同じくらいのお年ですね!
演奏も研究も、それの披露の仕方も
もの凄いクオリティで出来てしまう、この世代。
まさに、目と耳が話せません!









































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女王クレオパトラの愛と美    [コンサートの記憶]

西山まりえの歴女楽 Vol.8
           ~王子ホール

(出演)
西山まりえ(チェンバロ/バロック・ハープ)
松井亜希(ソプラノ)
大江 馨(ヴァイオリン)
常味裕司(ウード)
濱元智行(レク)

(プログラム)
ヘンデル:ハープシコード組曲 第1集 第2組曲より「アダージョ」
ムハンマド・アブドゥルワッハーブ:永遠なるナイル
リアド・ソンバティ:ロンガ・ファラッファザ
ヘンデル:ハープシコード又はスピネット独奏の序曲集より ジュリアス・シーザーの序曲
    :オペラ「エジプトのジュリアス・シーザー」HWV17 クレオパトラのアリアより
         「嵐で船が難破しても」
    :ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第1番より
         第1楽章 イ長調 HWV361
    :オペラ「エジプトのジュリアス・シーザー」HWV17 クレオパトラのアリアより
         「美しきヴィーナスへ」/「我が運命を嘆く」

(アンコール)
ヘンデル:オペラ「リナルド」より 「私を泣かせてください」




ホールいっぱいに響く、美麗なチェンバロ。
ゆったりとしたアルペジオが優雅に行き交い
まるで即興のよう。。


ウードが爪弾きはじめ
西山まりえさんがクレオパトラの物語の始まりを告げる。

中近東の香り満載のエキゾチックな音楽がスタート!

ノリノリのウードとレク♬♪
それにバロック・ハープも加わって
もう、踊り出したい!!

ウードは形はリュートや琵琶に良く似ているけど(どれも同じルーツね)
弾かれた音そして旋律は、まさにアラビア。
おそらく調弦も全く違うのでしょう。

レクは見た目はタンバリンと変わらないのだが
とても一つの楽器を叩いているとは思えない
太い音、かわいい音、本当に様々な音が聞こえてくる。
もの凄いグルーヴ感のパーカッション!
ここはアラブのライブハウスか?!




'22April歴女2.jpg






後半はミッドブルーのスラリとしたロングドレスの松井亜希さんが登場♡
クレオパトラのご衣装で宝石が転がるような美声。。
ああ、甘美な夢幻の国。

そして、端正なバイオリンも加わり
とても贅沢な時間となったのでした。






'22April歴女1.jpg







西山まりえさんの可愛らしい声で語られるクレオパトラの生涯。
波瀾万丈に満ちた人生の物語を、
すばらしい演奏家による高いクオリティの音楽とともに
楽しませてくれました。


アンコールは西山さんのバロック・ハープと松井さんの歌。
静かな優しさの中に 芯の強さが感じられ
西山さんが最後に
「世界が平和になりますように!」
と仰った言葉とともに
心に深く響いたのでした。。






































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ピアソラの四季       [コンサートの記憶]

 
東京グランド・ソロイスツ 《ピアソラの四季》
          ~ミューザ川崎シンフォニーホール


(出演)
バンドネオン:三浦一馬
ヴァイオリン(コンサートマスター):石田泰尚
東京グランド・ソロイスツ  


(プログラム)
アストル・ピアソラ:フーガと神秘
          デカリシモ
          リベルタンゴ
          エスクアロ(鮫)
          悪魔のロマンス
          アディオス・ノニーノ        
          タングアンゴ

          ブエノスアイレスの春
          ブエノスアイレスの夏
          ブエノスアイレスの秋
          ブエノスアイレスの冬

(アンコール)
アストル・ピアソラ:ツィガーヌ・タンゴ
          ビオレタンゴ
          アレグロ・タンガービレ









大ホールに響く美しいストリングス

鉄壁のアンサンブルが奏でる

センスアップされたピアソラ。。







'22Aprilピアソラ3.jpg




三浦一馬さんが立ち上げた東京グランドソロイスツのために
自ら編曲したピアソラの作品は、とてもクール!

タンゴといえば熱く、情熱的だけど
ピアソラはそれを独自の世界観で構築した。

それが三浦さんの手にかかると
さらにスタイリッシュで現代的になり
石田泰尚さんが率いるストリングスが
その魅力を十二分に発揮する。

そして石田さんは、いざソロになると
まさに圧倒的なパフォーマンス!

この日はピアノ、パーカッション、ギターと
それぞれソロで素晴らしい活躍をしていて
あれ?これは聴いた事があるかも!と思って調べたら
昨年夏の演奏会と同じプログラムだった。

しかし、不思議なことに聞こえ方が全然違う!
ホールが違うので音の伝わり方が異なるのは確かだけれど
それ以外の何か。
質感や色彩、そんな微妙な印象。
「ライブは生モノ」
それを実感したのでした♬♪






'22Aprilピアソラ1.jpg
              (この写真はweb上からお借りしました)







そういえば、あるTV番組で
指揮者がいなくてもオーケストラは演奏できるか?と聞かれ
石田泰尚さんは
「できますっ!!」
と即答してました。
この日は、まさにそれを体現してました。




そして、その石田さんの美しいヴァイオリンと
三浦一馬さんのバンドネオンとの
絶妙なやりとりに釘付けでした♡












































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華麗なる輝き    [コンサートの記憶]

モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会 第3回/2日目(全5回)
                 ~王子ホール



ピアノ:藤田真央 

(プログラム)
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 
  第2番 ヘ長調 K280
  第6番 ニ長調 K284 「デュルニツ」
  第11番 イ長調 K33 「トルコ行進曲付き」
  第12番 ヘ長調 K332

(アンコール)
モーツァルト:ロンド ニ長調 K485
J.S.バッハ/ラフマニノフ:パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006より ガヴォット
チャイコフスキー :18の小品 ニ長調 Op.72より 瞑想曲







千変万化のタッチを駆使して奏でる音楽は
今ここで生まれたように新鮮!

深く考察された楽曲を身体に落とし込み
まさに天と繋がって
自由に のびやかに 躍動する!!


彼は天才

・・天使のふりをした・・






'22April真央1.jpeg




拍手の中、おずおずとステージに歩み出て
照れたような微笑み
お辞儀はぎこちない会釈で
本当にこの人は弾けるのかしら?
なんて思ってしまうけど
ストンと椅子に座ったとたん
もう弾き始めている!
生き生きとしたF-durの第一楽章。
軽やかな旅路のはじまり。。


どの楽曲も深く読み込まれ
丁寧に吟味されているのが良く解る。
それを表現できるのは、素晴らしい手があってこそ。
藤田さんの手はとても大きい。
そして指はものすごく強靱で、しかも素晴らしく柔軟。
それを駆使したタッチから生まれる音は
まろやかで、つややか。
あらゆる色彩と明度が生み出される。
そして、左右のペダルも駆使。
モダン・ピアノで演奏するモーツァルトの魅力が
最大に表現されている。

例えば、K.331の変奏曲。
繰り返しの2回目にとてもお洒落に装飾音を入れていたけど
それはモーツァルトの時代には普通に行われていたこと。

奇をてらった演奏とは程遠く
楽譜にかかれている事を忠実に弾いているだけなのに
何故、こんなに魅力的なのでしょう!

彼が思い描くストーリーを追って
その展開に一喜一憂することの幸せ。

まったく、藤田さんがピアノに対峙すると
天上の音楽が彼を通して奏でられているみたい。。





'22April真央2.jpg



藤田真央さんが演奏するモーツァルトを聴くチャンスが来たので
汗が飛んでくる席をゲットしましたよw(飛んできません!

おかげで、憑依したように集中して音楽に向き合っている時と
一歩ピアノから離れると、ふわああ~としているw
その不思議なギャップがよーく確認できました(え?
あと、ハナウタも!
ちょっとウナルような感じで、ハミングというより(汗
そんな真央ワールド、くせになりそうw


アンコール曲ではペダルをふんだんに使って演奏した
チャイコフスキーの深い響き!
藤田真央さんの魅力は計り知れませんね♡

























































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