SSブログ

Jean Rondeauー In the Italian Taste [コンサートの記憶]

ジャン・ロンドー(チェンバロ)ー イタリア風に
                 ~王子ホール



(プログラム)
J.S.バッハ : プレリュード - リュート組曲 ハ短調 BWV997より
      ファンタジア ハ短調 BWV906
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ ハ長調 K.132
             ソナタ イ短調 K.175
             ソナタ イ長調 K.208
             ソナタ ニ長調 K.119
J.S.バッハ :アダージョ – 協奏曲 ニ短調 BWV974より
           (Transcription of oboe concerto in D minor of Alessandro Marcello)
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ ヘ長調 K.6
             ソナタ ヘ短調 K.481
J.S.バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
J.S.バッハ/ブラームス編曲:シャコンヌ – 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ
第2番 ニ短調 BWV1004より

(アンコール)
F.クープラン:神秘的なバリケード
     :お気に入り
ロワイエ:クラヴサン曲集第1巻より スキタイ人の行進





'19octロンドー王子ホール3.jpg




宝石のように
美しい音色で奏でられるクラブサン!

作品は奏者の中で熟成され
楽譜を超えて
鮮やかなドラマを織り上げる


聴く者の心に深く入り込み
いつしか無限の宇宙へ・・












              (以下の写真はweb上からお借りしました)

'19Octロンドー王子ホール2.jpg




開演時間になり、満員の客席は奏者の登場を待っていた。
静まりかえったホール。
刻々と過ぎる時間がとても長く感じられる。



・・そして
おもむろに下手の扉が開かれ
長髪の若者がふわっと姿を現した。
そして 雲の中を歩くようにステージの中央へ。

ブルーのシャツ姿のジャン・ロンドーは
ぎこちなくお辞儀をしてチェンバロの前に座る。

長い沈黙のあと
奏で始めたのは、短い即興演奏。
それは彼の演奏会での常で
プログラム最初の曲と調性が同じだ。

ジャン・ロンドーの音は本当に美しくて
一粒一粒の色合いが違って聞こえる。
そして、それぞれの音が作る音程が 
とてもクリア。

だからポリフォニーは
ひとつひとつの旋律を
どこまでも追いかけていける。

そして、絡み合った時には
素晴らしいハーモニーを産み出し
豊かな和声感が立ち上がる。

それらは まるでオーケストラのよう!
色彩にあふれ
ダイナミクスレンジの幅広さのある演奏は
チェンバロでは至難の業。

それをジャン・ロンドーは
軽々とやってのけるのだ!




そうやって奏でられるバッハの見事なこと!
落ち着いたテンポで弾かれる静かな曲は
どこまでも端正で気品がある。
音と音の狭間に
バッハが暮らしたチューリンゲン地方の空気を感じる。
それは
どこか懐かしい、薄暮の中の優しさ。

アップテンポの曲は
ドメニコ・スカルラッティで全開!
明るい太陽がキラキラと笑う。
アグレッシブで、ちょっとキザな
陽気に踊るイタリアーノ。




この日、ジャン・ロンドーは殆どの曲を暗譜で演奏。
自分の言葉のように、歌のように奏でられる音楽は
最初の即興演奏がそのまま続いていくよう。
まるで大空を羽ばたく鳥のように
どこまでも自由だ。

そして、客席の私たちは
彼とともに呼吸し
彼に導かれて無限の宇宙へ。。

ほんとうに、針が落ちた音もわかるくらい
シン・・と静まりかえったホール。

これだけの長大なプログラムを
休憩なしで弾ききったジャン・ロンドー。

最後の「シャコンヌ」

・・それは、まるで弦楽器が弾いているような錯覚に。
  優美な弧を描き、なめらかに舞い踊る単旋律!
  重厚な和音は高度なバランス感覚で奏でられる・・
  
その圧倒的な演奏が終わり
長い沈黙の後、拍手が静かにはじまり
それが大喝采になっても
彼は しばらくの間 
こちらの世界に戻って来なかった。

再びぎこちなくお辞儀をして
ふわあ、と袖に入っていく。

そして、次にステージに出てきた時
ようやく人間らしくw歩いてきて
何と日本語で話してくれた。

「ありがとうございます」
「日本に来られて嬉しいです」
「僕は日本のお客さんが大好きです」
おお~、発音かんぺき!
その後は英語で、日本人はとても静かに聴いてくれて嬉しい、と。
そして
「演奏をしていて気付いたのですが、
日本語の発話の方法(way of expression)は
我々古楽奏者が音楽を奏でているそれと似ていた。」
(これを聞き取ってsnsに流して下さった方に感謝!)


よほど気持ちよくプログラムを終えることが出来たのでしょう。
なんと、アンコールを3曲も!!



'19Octロンドー王子ホール4.jpg



当然のようにサイン会に参加したわけですがw
「去年、ライプツィヒ・バッハ音楽祭*であなたのコンサートを聴きました」
と伝えられました!
ジャン・ロンドーくんはとても喜んでくれました♡


         *Jean Rondeau (Bach Fest8)








































nice!(8)  コメント(0) 

nice! 8

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。