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W.Christie & Les Arts Florissants     [コンサートの記憶]

ウィリアム・クリスティ指揮
レザール・フロリサン
        ~東京オペラシティ コンサートホール

(プログラム)
J.S.バッハ:ヨハネ受難曲 BWV245

(出演)
ウィリアム・クリスティ(指揮)

バスティアン・ライモンディ(テノール/エヴァンゲリスト)
アレックス・ローゼン(バス/イエス)
ヴァージニア・トーマス(ソプラノ/女中)*レイチェル・レイモンドから変更
ヘレン・チャールストン(アルト)
モーリッツ・カレンベルク(テノール)
マチュー・ワレンジク(バス/ピラト)

レザール・フロリサン(管弦楽&合唱)






なんと 力強く、凛とした合唱だろう!
冒頭から
ぐいっと心をつかまれる。

そして超絶技巧の管弦楽!
幅広いダイナミクス
そして凄い推進力で
壮絶な受難の物語が繰り広げられる。






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この日は
指揮とオケの両方が見える席をゲット。
奏者の心情がダイレクトに伝わってくる。



エヴァンゲリストを始めソリスト達は
歌の上手さはもちろんだが
とにかく声が良い!

合唱は1パートが3人ずつ。
みな若いので
アクティブで張りがある。
響きを合わせようとするクワイヤより
私は ずっと好きだ♡

ウィリアム・クリスティの指揮は骨太。
バッハの音楽が常にそうであるように
芯の強さに圧倒される。
そして
深く厳しい愛。

レチタティーヴォやアリアではコンティヌオに任せ
ほとんど指揮をしないマエストロ。
際立たせたい箇所でその奏者に身体を向けると
そこのフレーズがフワッと浮かび上がる。


重責の通奏低音奏者(コンティヌオ)だが
超能力者かと思ってしまうくらい
気を読み、歌を運んでいく。
特にオルガンとチェロ奏者には驚愕!!


第二部で
ユダヤ人が
「イエスを十字架にかけろ!」
と叫び、磔刑の場面へ。
イエスとその弟子たち
そしてピラトの心情が露わにされ
非情な結末へ!
まさに
今の世界情勢にリンクしているようで
凍りつく。。

そして終曲。
あまりにも清らかなコラールに号泣・・・


根底に流れる愛の深さ
祈りは今もまだ続いている。。






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                (この写真はweb上からお借りしました)


この日は
フライング・ブラボー無し!!
拍手が始まるまでの静寂は
幸せな時間。。


そして、終わることのない喝采!!
上の写真に盛大に手をたたく私が写ってましたw

クリスティが「サイドの席にも挨拶を」と促し、
奏者全員が2・3階席を見上げてくれたものだから
もうボロ泣き(感涙・・





そして、サイン会~~~(ダッシュ!

4年前の来日の時もサインを戴いた
ウイリアム・クリスティさまの
単独サイン会♡


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「とても感動しました!
私はあなたの音楽が大好きです!」
(いちおう英語ね)
と言ったら、なんと
「ハロー!サンキュー」
と答えて下さった~♬
で、調子に乗って
「東京に来て下さってありがとうございます」
と言ったら
「私は日本が大好きだよ~」
ですって~♪♬
「わー!ありがとうございます~」
(狂喜乱舞)w



マエストロ、いつまでもお元気で
すばらしい音楽を紡ぎ続けてください♡






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Berliner Philharmoniker      [コンサートの記憶]

キリル・ペトレンコ指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
           ~サントリーホール


(プログラム)
モーツァルト:交響曲第29番イ長調K. 201
ベルク:オーケストラのための3つの小品Op. 6
ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op. 98








ペトレンコが振るう絵筆から
鮮やかな色彩が溢れ出し
千変万化の映像が描かれる!






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清水の舞台から「エイっ!」と飛び降りて購入した
ベルリンフィル来日公演のチケット。
待ちに待った当日がやってきました!

しかーしっ!
私の席は2階のはじっこ!
発売日に買ったS席なのに(怒
上の写真は、その席から撮ったものです。

けれど、オーケストラの音は
とっても良く聴こえてきました!(安堵♡



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                           (プログラムより)



ツイードの手触りのような
奥深く、洗練された音色で奏でる
室内楽のように引き締まった音楽。


そして
カオスのようなベルクでも
全てのパートの旋律と奏者の思いが
クリアに届く。

ソロをとる奏者に自然に目が行くのは
「気」が強く発せられるからでしょう。

マエストロ・ペトレンコの指揮は
柔らかい腕と手から
音楽があふれ出すよう。

ベルク以外は
拍節を殆どカウントせず
豊かな表情を描き出す。
感情の高ぶりとともに
うなるような声を発しながら。

奏者は
楽譜を読んで弾くというより
空気の中から
音楽をすくい出し
楽器に歌わせているかのよう。

まさに極上の時間。


ベルリンフィルは
音色の良さはダントツで
抜群に上手いという事は
映像や放送で聴いて
よーく知っていたけれど
やはり
ナマは凄かった!

ブラームスのハーモニーが
豊かに響き
涙があふれる。。

ほんとうに
ほんとうに
聴けて良かった。




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と、ところが!

ベルクのラストで
なんと
フライング・ブラボーがっっ!!

集中力マックス!
もの凄い緊張感で迎えた最後は
巨大ハンマーの一撃!!
の瞬間の「ぶらぼおっ」

ひーーー

もう、ホール中が凍りましたよ。

私なんか両手を挙げて天を仰ぎました。
こんなふうにね ↓↓

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カラヴァッジョの「キリストの埋葬」
画面奥の人のポーズと全く同じですがな(泣

指揮者もK本さんも堅い表情。
もうね、悲しくて
アーティストに対して
ほんとうに済まない気持ちでいっぱい。


この日はロビーに黒スーツの人が大勢いて
妙な雰囲気でした。
モーツァルトの拍手も早かったし。
スポンサー関係や招待客って、どうなんでしょう?

心から音楽を聴きたい人だけで
演奏が聴けたら、どんなに幸せだったことか。


救いだったのは
全ての演奏が終わり
喝采の中、オーケストラが退出した後
マエストロがひとりで挨拶に出て下さったこと。
それも、何度も!
最後は胸に手をあてて
感謝の意を表して下さいました。


ペトレンコさま
これに懲りずに
ベルリンフィルと一緒に
また来てね~♡













感謝祭なのに
もう、クリスマスツリーのカラヤン広場☆

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神在月    [旅の空は]

島根への旅

飛行機の窓からの富士山。
機種変のおかげで綺麗なショット(嬉~

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松江城は国宝です。

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天守閣に登りました。

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翌日は境港へ。
ここは終点。

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水木しげるさんと妖怪たち。

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妖怪ロードにはブロンズ像の妖怪が立ち並んでましたが
雑貨屋さんにいた この方がとってもリアルw

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水槽に 活き松葉カニがいっぱい!

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足立美術館の手入れが行き届いた庭。

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ガラス窓越しに鑑賞します。

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茶室の窓が掛け軸のよう。

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椅子席で お抹茶をいただきました。
私のお茶碗は出雲市の出西(しゅっさい)焼でした。

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他にも島根県下の窯元の様々なお茶碗がありました。

純金製の茶釜。(だから美味しかったのね)

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横山大観をはじめとする日本画の美術館は撮影禁止でした。



爆走するバスから三日月が撮れて大喜びw

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玉造温泉の「美肌の湯」は看板に偽りなし!でした。
夜の川辺を散策。
ライトアップなど整備されていて、足湯もありました。

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出雲大社の正しい読みは「いづもおおやしろ」だそうです。

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これが神楽殿の巨大なしめ縄!

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御本殿を見上げる 因幡の白ウサギたち。

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出雲では11月は「神在月」。
八百万の神々がここ出雲大社に集うそうです。
そのためか
雷が轟き、雪が舞う!という
壮絶な参拝でした。

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「ここでしか買えません!」と言われたら、ね。

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「神在月」がしっかり貼ってありました。
羽二重餅のような美味しい和菓子でした♡











































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Piano’s Monologue 第1回       [コンサートの記憶]

亀井聖矢  ピアノ リサイタル
     ~オーチャードホール

(オール・ショパン・プログラム)
スケルツォ 第4番 Op.54
24の前奏曲 Op.28 より 第1番
3つのマズルカ Op.59
  第36番 a-moll 第37番 As-dur 第38番 fis-moll
3つのワルツ Op.34
  第2番 As-dur 第3番 a-moll 第4番 F-dur 
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22

ソナタ 第3番 h-moll Op.58

(アンコール)
ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53 〈英雄〉




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ショパンの作品を
三種類のピアノで弾き分ける。
なんて意欲的な演奏会でしょう!

ステージには3台のピアノ。
手前からエラール(1811年製)、
スタインウェイ
そしてプレイエル(1843年製)。




開演前のステージ付近は
かなりの人がピアノを撮影しています。
写真OKなのは嬉しいですネ。

ところで、このピアノの位置は
本番中に何度も入れ替えがありました。
ピアニストが演奏する楽器を中央にして
他の2台は後方に待機させるため。

後ろに下がった楽器も蓋が全開になり
反響板の役割を担います。
スタッフの方々、ご苦労さまでした!


さて、開演。

まずはスタインウェイでスケルツォ4番。
若さあふれる、華麗な演奏!

そして、亀井聖矢さん自身による解説。
「プレリュード1番を三種類のピアノで弾きます。」

同じ作品を弾いてくれるとは!
ピアノの違いが良く解りますね。
スタインウェイ・エラール・プレイエルの順。
だんだん古い時代に遡るわけです。

タッチも音の鳴り方も違うので
弾き分けるのは至難の業のはずなのに
亀井さんは瞬時にコントロールして
エラールとプレイエルから
ピュアな音色を引き出す、
本当に素晴らしい演奏です。



続いてプレイエルでマズルカを。
マズルカらしい
とても細やかな音楽づくり。
ショパンの息づかいが
聴こえてくる。。


ワルツはエラールで。
少しモダンピアノに近づいた楽器で
華やかに、そして気品を持って。



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解説を聞いていると
亀井さんが
ショパンの人となりと作品を
深く勉強していることが解る。

そして、ピアニストならではの
楽器に対する印象が聞けたのも良かった!

「ショパンが指示した手の置き方をすれば
 自然に良い音がでてくれる」
「楽器によってテンポが違ってくる」
他に、指先のコントロールのことや脱力など
ほー、ナルホド!
と思ったお話が沢山。


前半最後のアンスピと後半のソナタ3番は
もちろん、スタインウェイで。
その スケールの大きいこと!

一つ一つに存在感のある音。
どんなにアップテンポでも
全てがクリア。
大ホールに響きわたる
充実したハーモニー。

熱いエネルギーがはじける、
ソナタ3番は圧巻!!



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さあ、アンコール!
「英雄ポロネーズを弾きますが
 どの楽器で弾くか、皆さんに決めてもらいたい」
おお~!
拍手の大きさで決まるとあって
私はプレイエルの時に盛大にたたきましたよw
英ポロをプレイエルで聴ける機会は
今後あまりないと思ったので。
プレイエルの拍手がダントツに大きく、
みんな考える事は同じ?w
めでたくプレイエルで聴くことができました♡

プレイエルの弦はストレートに張ってあるので
響きがとても素直。
でも、構造上 連打がしにくい。
鍵盤の返り方に敏捷さが欠けるのです。
なのにっ!
生き生きとしたテンポで
軽やかにキメる亀井さんっ!!
左手のオクターブ旋回を
こんなスピードで聴いたのは初めてだ(凄~!
そうか、ショパンは
こう弾いてほしかったのだな、と
思わず納得。

爽やかな英ポロに大喝采!
スタンディング・オベーション!


↓↓ 大活躍のプレイエル。

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このリサイタルは
Piano's Monologue の第一回でした。
第2回は室内楽。
そして第3回は協奏曲。
亀井聖矢さんの
オール・ショパンの旅は
まだまだ続きます。

これまで亀井さんは
爽快にカッコ良くキメる
超絶技巧の作品が得意わざ。

'22に亀井さんが優勝した
ロン・ティボー国際音楽コンクールでは
審査員の中に
「テンポが速すぎる」
という意見があったようですが
「全ての音がクリアに聞こえている」
と、高評価だったそうです。

亀井聖矢さんは21歳。
生まれた時には
既にインターネットの世の中。
そんな若者のテンポの感覚が
昔と違っていて、当然です。

でも、今回は
最速の交通手段が馬車!という時代の作品。
それを当時の楽器で演奏したことで
感じるもの、得るものが
大きかったに違いない。
今後の演奏にどう影響するか、
興味は尽きません。





























































      
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Jean Rondeau at Mitaka      [コンサートの記憶]

ジャン・ロンドー チェンバロ・リサイタル
            ~三鷹 風のホール

J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988





優しい香りが
美しく花ひらく

3日前と違う舟に乗り
新しい宇宙へ漕ぎ出す。。




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低い「ソ」を響かせて
即興が始まる。

ジャン・ロンドーの
この日のインスピレーションは
柔らかな陽ざしのよう。

心を開いて語る
フランス語の物語。

まるみを帯びたフォルム。
両手に優しくつつむ
あたたかな想い出。。


かなり大きなホールなのに
チェンバロの音が隅々まで
良く響くこと!

豊かな低音の上に
煌めく音の粒子が
彩り鮮やかに舞い踊る。






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ゴルトベルクは
アリアと30の変奏曲、
そして再びアリアが奏される。

前回と同じく
全ての繰り返しを守り
変化に富んだ演奏を聴かせてくれた。

調律はジャン・ロンドー独自のものと
前日に教えていただいた。

今まで聴いてきた、この作品の
いくつかの変奏で感じていた
微妙な濁りが全くなく
まるで 
透き通った水の流れのよう。

濁りといえば
この作品を平均律のピアノで弾くと
ありえないほどの
「うなり」が生じる部分がある。
バッハの他の作品で
特に短調のものは
チェンバロで聴く方が
よほど耳になじむ。

それでも
ジャン・ロンドーは
さらに心地よい響きを追求して
オリジナルの調律法を編み出したのでしょう。



この前日のマスタークラスで
彼がフランス語で話しているのを聞き
ふと思った。
ゴルトベルク変奏曲の音楽創りに
フランス語の発音やイントネーションが
とても密接に関係している!

チェンバロのことを
フランス語で「クラブサン」というが
ジャン・ロンドーは
フランス・バロックの
繊細で優美な装飾や即興を
ゴルトベルク変奏曲に
とても自然にちりばめている。

バッハはドイツ人らしい律儀さで
装飾もきちんと譜面に書き付けた。
だから
バッハの作品は
折り目正しく演奏するのが
良しとされてきた。
まるで
ドイツ語を話すように、カッキリと。

けれど
実はバッハは即興が得意だった。
オルガニストにとって
教会の礼拝の際に必須の即興。

自身の作品には
即興と思われる部分も
しっかり書かれている。

譜面にしてしまうと窮屈だけど
実際の演奏は
もっと自由だったのではないか。
その瞬間のインスピレーションで
演奏が変化する。
音と音の
絶妙なあわい・・。

楽譜には表しきれない
そんなファンタジーが
弾く人によって
さまざまに表現される。
それこそが
古い時代の音楽を
今、ここで演奏する意味がある。

ジャン・ロンドーは
楽譜から逸脱するわけではなく
むしろ記されたものを大切に扱う。
全てを自身の中に落とし込み
暗譜で
心の赴くままに演奏する。
聴く者にとって
まさに一期一会。
100分間の至福の旅。。




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            (この写真はweb上からお借りしました)




華やかに重音が駆け巡る
第29変奏曲。
ここに到達すると
次は大好きなクオドリベッド!
でも
それを弾いてしまったら
もう終わりが すぐそこ・・

クオドリベッドを
祈るように聴き
そして
ダカーポ・アリア!
ああ、ここから
もう一周してほしかった。。




4日間、ほんとうにありがとう。




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       (この写真はweb上からお借りしました)



東京の公演の後、ジャン・ロンドーは
日本での残り2公演を無事に終えたようです。
↑これは、札幌でのショット♡



場所が変わり、空気が変わることが
心と身体に大きく影響して
演奏も変化するのでしょう。
もちろん
ホールとオーディエンスも変わるから
まさに一期一会の演奏になる。
それは彼に限ったことではなく
どの演奏家もそうかもしれない。

でもね
ジャン・ロンドーのように
音楽に心をゆだねる人の演奏は
宇宙の神秘のようなものが
聴こえてくるんだよ。。


























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