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Afternoon Concert Feb. [コンサートの記憶]

成田達輝&萩原麻未 デュオリサイタル
        ~浜離宮朝日ホール

(出演)
ヴァイオリン:成田達輝
ピアノ:萩原麻未

(プログラム)
M.ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ(遺作)
      ヴァイオリン・ソナタ ト長調
      ツィガーヌ

S.フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調

(アンコール)
E.イザイ:子どもの夢 Op.14
W.クロール:バンジョーとフィドル



 

超美音・超絶技巧の
バイオリンとピアノが
個性豊かに繰り広げるパフォーマンス!


時に狂気をはらみ
また彼岸のような儚さを歌う。。




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かわいらしい笑顔の萩原麻未さんは純白のドレス。
そして神妙な面持ちの成田達輝さんは黒の丈の長い上着。
若い夫婦の二人が揃ってお辞儀をすると
ホールの空気が一気に華やぐ。

しかし、いざ楽器に向かうと
二人はともに凄い集中力で
音楽に没入する。
まるで憑依したような
もの凄い演奏!!

それぞれが
非常に個性的なのだが
お互いの波長がピッタリ合うから
その個性が拡大され、増幅され
まさに
オリジナリティーの極致となる。

極度なアゴーギグの変化、
さらに
幽玄な最弱音から爆音まで
ダイナミクスレンジの広いこと!

今、この瞬間に生まれる音楽の瑞々しさに
心をうたれる。

そして、ほんとうに凄いのは
どんな場面でも
楽器を完璧にコントロールしているのだ。
しかも
これ以上ないくらいの美しい音色で!

どの作品も聴き慣れたものなに
まるで初めて聴くような新鮮さ。
圧倒的。。



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ところが
プログラム後半のフランクのソナタの演奏中、
ハプニングが!

成田さんが
静かな第3楽章の途中で
突然、演奏をやめて
「すみません、もう1回最初からやらせて下さい」
と言うのだ。
ステージのそでからカメラで撮影されているのに気付き
集中できないようだ。
1番ビックリしたのは麻未さんで(そりゃそうだ)
夫に「最初からでなくても、2楽章からでも良いのでは?」
と、説得しようとするが
頑として「最初から」と言う達輝さん。
麻未さんは客席に「お時間、大丈夫ですか?」と気遣う。
客席から温かい拍手がおくられ
調弦して、冒頭から。

ああ、
さっきより充実した演奏だ!

アクシデントを跳ね除け
真摯に音楽に向き合う夫婦デュオに
感銘を受けました。


(ちなみに、ホールのSNSで
「スタッフの不手際で演奏が中断したことへのお詫び」があった。)


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演奏を止めた時に
成田さんが「どんな状況でも演奏できなくてはいけないのだが」
と、もらしていた。
確かに、
演奏を止めるなど、もっての外!
と言われても仕方ないかもしれない。

でも、成田さんは
最高の演奏を聴いてもらいたかった。
それは、もの凄い集中力の上に成り立つものだから
ほんの少しでも
邪念を入れたくなかったのでしょう。

そのことを
ホール中の人が感じたから
温かい拍手が生まれた。

ほんとうに
みんな、あなたが納得できる演奏が聴けて
幸せだったよ。




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アンコールの1曲目は
私の大好きな
イザイの「子どもの夢」。
ふたりのお子さんへの
あたたかい愛情が
そのまま
音になっていた。。。

















































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Tango Nuevo    [コンサートの記憶]

三浦一馬&東京グランド・ソロイスツ

情熱のピアソラ ーTango Nuevoー
   ~かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール

(オール・ピアソラ プログラム)
フーガと神秘
悪魔のロマンス
天使の死
コオマージュオマージュ
四分の三拍子で
ブエノスアイレスの夏

デリカシモ
ブエノスアイレス午前零時
鮫(エスクアロ)
ツィガーヌ・タンゴ
ビオレンタンゴ
アディオス・ノニーノ

(アンコール)
アレグロ・タンガービレ
リベルタンゴ




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鮮やかに歌うバンドネオンと
超美音のTGSが奏でる、
アップデートされたピアソラ!


おそらく世界で唯一無二の
スタイリッシュなアンサンブル。


指揮者ナシでも
緩急自在の音楽が
あうんの呼吸で出来ちゃうって
ホントにすごいっ!!

そして絶妙な陰影・・
まさに、釘づけでした。


そして
三浦さんと石田さんの掛け合いは最高!!


これまで何度か このアンサンブルを聴いているけど
この日はどの楽器の音もクリアで、
特にバンドネオンが際立っていて
本当に素晴らしかった。



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アンコールの最後は「リベルタンゴ」。
三浦さんは、この曲の時だけ立って
片足を椅子に乗せて演奏する。
カッコイイ~!
他の曲も立って弾けば良いのに
と、いつも思うのでした♬♪





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               (この写真はweb上からお借りしました)






















































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Recital Series VS 8     [コンサートの記憶]

芸劇リサイタル・シリーズ
「VS」 Vol.8 亀井聖矢 × イム・ユンチャン
       ~東京芸術劇場 コンサートホール

(プログラム)
ショパン:モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」のアリア
    「お手をどうぞ」の主題による変奏曲 変ロ長調 Op.2 [ソロ:亀井]
ショパン:エチュード・セレクション [ソロ:ユンチャン]
      3つの新しいエチュード より 第1番 ヘ短調
      12のエチュード Op.25 より 第1番 変イ長調「エオリアンハープ」、
                   第5番 ホ短調、第6番 嬰ト短調
      12のエチュード Op.10 より 第10番 変イ長調、第9番 ヘ短調
      12のエチュード Op.25 より 第11番 イ短調「木枯らし」

ラヴェル:ラ・ヴァルス*
ミヨー:スカラムーシュOp.165b*
サン=サーンス:組曲『動物の謝肉祭』(2台ピアノ版)*

(アンコール)
チャイコフスキー:組曲「くるみわり人形」より
                 花のワルツ*

*2台ピアノ




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切れ味抜群の亀井さんと
情感溢れるイムさんの日韓対決!?
ではなかった!!

VSというタイトルなので
バトルになるのかと思いきや
若い二人が創る音楽の楽しかったこと!

その前に
それぞれのソロ。


亀井聖矢さんの立ち上がりの良い音が
キラキラと駆け巡り
爽やかな風のように
ストーリーが展開する。
初夏の草原
明るい陽ざし
どこまでも続く
青い空。。



そして
イム・ユンチャンさんが弾くと
同じピアノとは思えない。
ふくよかで あたたかな音色。
静かなハミング
暮れなずむ春の宵
やさしい人の想い出。。



期せずして、二人ともショパン!
次のショパンコンクールが
視野に入っているのでしょうか??
全くタイプが違うショパン。
何だか既にショパコンの予選のようですw



さて、もう1台のピアノが準備される間
亀井さんがお話を。
何と、最初の挨拶は韓国語!
イムさんは韓国の人気スターピアニストなので
この日は客席に韓国の方々が沢山。
みなさん、亀井さんの挨拶に
「おー!」
と声を上げて大喜び。

二人の出会いは
2年前のヴァン・クライバーン コンクール。
優勝したイムさんの演奏に惚れ込んだ亀井さんが
2台ピアノへのラブコール。
自分とタイプが違うピアニストと弾いたら
面白いのではないか、と。

何てチャレンジングな!
そして二人は容姿がとても良く似ていて
コンクール中、間違えられる事もあったとか。
私もこの演奏会を知った時
兄弟対決だわ~
と思いましたよw

この日は二人とも黒のスーツ。
判別不能ですがな。
見分け方は
笑っている方が亀井さん、
笑わない方がイムさんだとかw




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最初はラヴェル。
でも、え?これが「ラ・ヴァルス」??
まるで
初めて聴いたかのように新鮮!
たゆたう波の上で
はじける光のきらめき。
まるで
生き生きと戯れる
魚たちのよう!


次の曲が始まる、と思ったら
イムさんが
ぽーん!と弾いたのは「A」(ラ)
それに合わせて
亀井さんも A~
A~D~~G~
二人でチューニングごっこしてるwww

そしてスタートした「スカラムーシュ」!
わあ、スピード違反!
でも何て楽しいんだ!
ちょっとゆったりの2楽章モデレから
3楽章はブラジルの女、サンバ♪♬
思わずステップを踏みたくなる~♡
じっとしてられませんw


ここまで亀井さんが1st。
さあ、交替して「動物の謝肉祭」

オープニングの華やかなファンファーレ!
なんですけど
もう、ここから快速。
ライオン王の行進なので
堂々と弾く場合が多いけど
22歳(カメ)と19歳(イム)の時間感覚は
これで充分に「堂々と」なのでしょう~。

雄鳥と雌鳥も
早口言葉か巻き舌で
言い合ってる。
それにしても
粒立ちの良い綺麗な音!

ロバは羽を持つペガサスになって
縦横無尽に滑空する!
びゅううん~

そしてノロノロ亀は
ノシノシ感がゼロw
ダイエットに成功したのか~?

タイミングを外されて
ワルツを踊れない象さんw

というように
登場する動物たちのコミカルなこと!
アイデアいっぱいで
遊び心満載!

ところが次にカンガルーが
軽やかにジャンプし
「水族館」へ。
繊細な音の粒子がはじけ
夢の世界のように優美。

ロバは軽やかにいななき
外したリズムを楽しむ。

イムさんがつくる
森の静かなざわめき(美~
そこに
亀井カッコウが鳴く・・のだが
ちょっと鳩時計っぽいw

鳥たちは
籠を飛び出して
大空を自由に
のびのびと飛びまわる。
どこまでも・・

「ピアニスト」は
「どちらが下手に弾けるか対決」
と亀井さんの前説にあった通り
二人のパフォーマンスに大爆笑~

元気いっぱい
アニメのバトルのように
はじける「化石」!

パワフルな演奏の後の
「白鳥」
ゆるやかなアルペジオに導かれ
優しく奏でられる旋律。
おだやかな水面
優雅な白鳥のたたずまい・・

突然!
夢が破られ
フィナーレに なだれ込む!!
Go!Go!!
見事にゴーールイン!!


いやあ、本当に楽しかった!!
当初のプログラムはラフマだったけど
変更になって良かったなあ。


亀井さんが最後のごあいさつ。
イムさんにマイクを向けると
「ありがとうございました!」♡
すかさず 亀井さんが
「ユンチャンの貴重な声が聞けたところで
最後にもう一曲!」
亀井さん、MC上手すぎ~w

そしてアンコールは再び亀井さん1stになり
「花のワルツ」
ふくよかな花の香り
心地よい風
優美な踊り
これはまさに絶品!

スタンディング・オベーション!


二人で創り上げた音楽は
未来へ続いていくね。。






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終演後の二人。
ホントだ~笑ってるのが亀井さん!


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              (この写真はweb上からお借りしました)










ところで
客席に角野隼斗さんを発見!
角野さんは亀井さんと組んで
2台ピアノをやっているので
自分のリサイタルツアー中なのに
かわいい弟の演奏を聴きに来たのでしょう♡
スミカメもまた聴きたいなあ~


SUMI KAME Two Pianos 2022




























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