SSブログ

Jean Rondeau's Master Class      [語られる音たち]

ジャン・ロンドーによるチェンバロ・マスタークラス
            ~三鷹 風のホール



「自分自身で音楽を見つけよう。
 音楽は自分の中にあります。」

まるで哲学講義のようでした!


'23Octジャンマスタークラス.jpg



この日の調律はバロッティ。(幅広い作品に対応できる)
楽器も2台準備され、受講生が弾きやすい方が選べるという
とても贅沢なマスタークラス。

5人の受講生の時間割は決まっていたのに
延長につぐ延長で、
終わった時は予定時刻を1時間もオーバー。

とにかく、ロンドー先生の語ること!!
「この作品に関しては話すことが多くて
1日でも足りない。」凄~

冒頭に
・音楽の神秘をさぐる。
・皆で音楽と向き合おう。
というお話があった。

そのため、レッスンでは
「こう弾きなさい」
と仰ることが、殆ど無い。
逆に受講生に
「どう思って弾いているの?」
と問いかける。

だから
ちょっとだけ弾いてくれたお手本は
まさに「神」だった。
ロンドー先生が弾くと
「チェンバロは強弱がつけられない」
というのは 
嘘!!
と、思ってしまう。
何なんだ、
あの低音の太く豊かな響きはっ?!


もちろん、作品や作曲者については
とても丁寧に語ってくれて
それを知った上で
「あなたなら、どう弾くの?」
と問いかける。

彼自身も、そうやって
常に自らに問いかけているのでしょう。



(自分のためのメモ)
・チェンバロのダイナミクスは自分で音のバリエーションをさがす。
 →手の置き方の工夫。
・バスを、モチーフが出てくる度に変化させるが
 身体から出てくるように、生き生きと。
・イネガルは歌や言葉から来る自然な姿。
・動物的な直感、身体全体で感じることが大切。
・ノンムジュレの(小節線がない)楽譜は即興から出てきた。
 ハーモニー分析をし、要約して
 進むところと止まるところ(カダンス)をみつけ響きを聴く。
 その上で、どう即興のように弾くか。
・音楽の前では人はハダカになる。
 自分と音楽の関係を見つける。
 音楽をつかまえて、意味を与える。
・早いパッセージもフレーズを作って歌う。
・低音や聞こえにくい音を聴く(歌う)。
 聴き方を変えると広がりが出る。
・自分はクラブサンが好きだ!ということを隠さずに全部見せる。
・他の楽器で弾くとどうなるか考える。(身体の動きなども)
・時代の精神、歴史的な文脈を考えると演奏の仕方が見えてくる。
 ベルサイユの文化は繊細。重力にはむかう。ナイーブさ。軽やかさ。
・音楽のキャラクターは自分の中に見つける。
 →表現は自分の中にあるものを示す。
・譜面台を外して(音が良く聞こえるように)音を味わう。
 音に耳を傾けると人に伝えられる。自分自身を聴く。
・タイトルの意味が解らなくてもOK。音楽の中に答えをみつける。
・その作品を全く初めて聴く人に合わせる。聴く人に解る演奏。
・細かい練習を丁寧に。
 時間をかけて、音楽と自分の関わりや喜びをみつける。




ロンドー先生の音楽創りの
一端が聞けた貴重な機会でした。


しかーし(ひそひそ)
この日の通訳はザンネンであったよ。
音楽用語を知らないなんて
マスタークラスの通訳に
ありえません!(怒!
たまたま聴講している方で
フランス語が堪能な音楽家の方がいて
正しく訳して下さるという。。
なんだかなあ。
マスタークラスの良し悪しは
通訳で決まるのにねえ。






ところで、この日
たまたま調律師さんに遭遇したので
調律法について突撃インタビュー!

「ゴルトベルクは彼のオリジナルで
表現が最大限に生かされるものだが、
一言では言えない難しいもの。
上野は平均律、
マスタークラスはバロッティです」
と親切に教えて下さいました♡


もう一度ゴルトベルクが聴けるので、楽しみが倍増!!






























































nice!(7)  コメント(0) 

Jean Rondeau at Ueno      [コンサートの記憶]

ジャン・ロンドー チェンバロ・リサイタル
          ~東京文化 小


(プログラム)
フックス: アルペッジョ
ハイドン: 鍵盤楽器のためのソナタ (ディヴェルティメント) 第31番 変イ長調 XVI:46
クレメンティ: 「パルナッソス山への階梯」作品44より 第45番 ハ短調
       序奏 アンダンテ・マリンコーニコ
ベートーヴェン: ピアノまたはオルガンのための前奏曲 第2番 作品39/2
モーツァルト:ピアノのためのソナタ ハ長調 K.545
モーツァルト:ロンド イ短調 K.511
モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397

(アンコール)
クレメンティ:アダージョ・ソステヌート ヘ長調 Op.44より
ドビュッシー:グラドス・アド・パルナッスム博士「子どもの領分」より
C.P.E.バッハ:アンダンテ「ソナタイ短調」より




'23Octジャン上野1.jpg




ピアノで馴染んでいる古典が
チェンバロで弾くのを
想定していたのかと思うような
ナチュラルさ!

規格外の装飾も
アゴーギグも
自由奔放で
ジャズのような
喜びに満ちていた。。




'23Octジャン上野2.PNG

        (この写真はweb上からお借りしました)


この日も休憩なしで
プログラムを一気に弾ききる。

音楽と一体化し
その宇宙に入り込み
全身全霊で
遠い昔の作曲家の魂と交信する。

そうして
チェンバロから
類い希な音色を引き出して
新しい物語を聴かせてくれた。



この日は平均律に調律されたチェンバロ。
アンコールにドビュッシーが聴けて
最高だった。



'23Octジャン上野3.jpg




「ロンドー祭り」の2日目でした!
一日、一日が愛おしいよ♡


何しろ、次の来日がずっと先らしいので(悲・・

前回の来日から4年も経っている!

私が初めてジャン・ロンドーをナマで聴いたのは
2018年、ドイツのライプツィヒでした。

Jean Rondeau (Bach Fest8)


その翌年に来日して
東京で2つの演奏会がありました。


Jean Rondeauー In the Italian Taste


Jean Rondeau - Clavecin 



































nice!(7)  コメント(0) 

Jean Rondeau at OJI      [コンサートの記憶]

ジャン・ロンドー(チェンバロ)
      ~王子ホール

(プログラム)
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988





あまりにも美しい
チェンバロの多彩な音色に
思わず息をのむ。。




'23Octジャン王子1.jpg



低い「ソ」を響かせ
ゴルトベルク変奏曲のG-durで
ゆるやかに奏される即興。

そうだ!
ジャン・ロンドーは
いつも即興から始めていた・・
忘れていた時間が蘇り
熱い思いが胸を突き上げる。

懐かしいアリア。
そして、4年ぶりに旅に出る。
30の変奏曲の旅へ・・。

それはファンタジーに満ちた旅路。
無心に遊ぶこどもが
空想の世界に入り込む。

インプロヴィゼーションのように
生き生きと
自由自在に奏でる音楽の新鮮なこと!
まるで、初めて聴く作品のよう。


'23Octジャン王子2.jpg


それぞれの変奏曲の
固定観念が取り払われ
テンポも装飾も
アゴーギグも
新鮮なアイデアにあふれていて。。
それは、おそらく
この瞬間に得た
インスピレーションから生まれた、
今、ここでしか聴くことが出来ない音楽。

90分以上もの演奏時間の作品を
休憩なしで
暗譜で弾く集中力!(凄

ダ・カーポ アリアの
最後の1音が
宇宙の彼方に遠ざかり
ジャンが戻ってくるまでの
永遠とも思える時間。

ともに旅ができて
幸せだった。。




'23Octジャン王子4.jpg
      (この写真はweb上からお借りしました)




配信やYTで聴いていたけれど
やはり、ナマは全然 違う!
4年ぶりに聴けて、最高でした。。

ジャンは長髪を切って
何だかノーマルな青年になっていた。
けれど、衣装は相変わらずラフでw
本番の衣装のままサイン会に現れたジャン↓

'23Octジャン王子3.jpg


とうとう始まった「ロンドー祭り」♡
初日から凄いものを聴いてしまった~♬♪

































nice!(9)  コメント(0) 

Mao Piano Recital      [コンサートの記憶]

藤田真央ピアノ・リサイタル
      ~サントリーホール

(プログラム)
ショパン:
ポロネーズ第1番嬰ハ短調Op. 26-1
ポロネーズ第2番変ホ短調Op. 26-2
ポロネーズ第3番イ長調Op. 40-1「軍隊」
ポロネーズ第4番ハ短調Op. 40-2
ポロネーズ第5番嬰ヘ短調Op. 44
ポロネーズ第6番変イ長調Op. 53「英雄」
ポロネーズ第7番変イ長調Op. 61「幻想」

リスト:ピアノ・ソナタロ短調S. 178

(アンコール)
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調Op. 1
チャイコフスキー:18の小品Op. 72より 第17曲変ホ長調「遠い昔」



'23Oct真央1.jpg


美しい抑揚で歌うポロネーズ。
1~7番通して初めて解る、
ショパンの真意の見事な表現に感動。。
間合いを取らず、次々に演奏された7曲は
まるで、ひとつの作品のよう。

ポロネーズは
飛び抜けて有名な6番「英雄」など
単独で弾かれることが多く
なぜ通して弾くのか不思議だったが、
聴いてみると
もしかしたらショパンは
通して弾くことを想定して書いたのでは?
と思うくらい!

特に、怨念とも思えるような曲想の5番から
「英雄」で華やかに弾けたエネルギー!
そして、アタッカで奏された「幻想」。
・・心の揺れ、時のはざま。。

そんな流れを
藤田真央さんのピアノは
柔らかな音色で
大切に表現していた。





その穏やかな空間が一変した
後半のリスト!

天使と悪魔が交錯する
ドラマティックな展開に釘づけ!!
もう、長尺があっという間!

千変万化の音色。
抜群のバランス感覚。

ブラヴィッシモ!!!




凄い集中力で大曲を弾いた後なのに
アンコールは
これまた超絶技巧のプロコ(凄~!

そして、ダブル・アンコールの
チャイコフスキーは絶品♡
藤田さんが弾くチャイコは
薫るような色合いが
本当にステキ♬♪




'23Oct真央2.jpg





満席のサントリーホールなのに
ピアニストが最後の音を弾き終えて
鍵盤から指を離し
向こうの世界から戻ってくる、
ほんとうの「終わり」の瞬間まで、
全くの
「無音」!!
空気のゆらぎさえも無い静寂。
まるで真空状態。
永遠とも思える長い時間が過ぎ、
身動きしなかったピアニストが
ゆっくりと身体を起こすと
止まっていた「時」が動き出す。

・・喝采・・!


あの長い静寂・・
藤田真央さんの音楽に対する強い想いが
オーディエンスを集中させ
全員の気持ちが
ひとつになって生まれた
奇跡のような時間を
私は決して忘れないでしょう。。




オーバーサイズのような
黒の上下に身を包んだ藤田真央さんは
おぼつかない(ように見える)足取りで
ステージに登場すると
お辞儀もそこそこに
持っていた黒っぽいタオルハンカチを
ピアノの中にポンと放り込み
あっという間に弾き始める。

そして演奏が終わると
お辞儀した?というくらいの
カンタンな礼をして
さっさと引き上げてしまう。
演奏が気に入らなかったのかしら?
と心配するくらいだけど、
再び登場した時は
満面の笑顔でお辞儀を繰り返す。

弾いている時の集中力の凄さは
何かが降臨したかのよう。
音楽の神さまと
交信しているのかも?

弾き終わると
まるで、憑き物が落ちたようにw
まさに天才なんですね!

藤田さんは
作品をあらゆる角度から
とても深く読み込み、
それを、どう表現するかを熟考しつつ
丁寧な練習を重ねているのでしょう。
天才であっても
努力を惜しまない。

たとえばショパン。
表現しようとするあまり
ポロネーズのリズムはどこ?
と思うような場面も。
それが個性的な解釈と
前向きに聴ければ良いけれどね。
その点、
ジャズもプロの
ゲルシュタイン先生に師事しているから
これから、どんな風に深化するか。
若いピアニストの未来が
とても楽しみです~♪♬























































nice!(8)  コメント(0) 

on early music    [コンサートの記憶]

フランチェスコ・トリスターノ ピアノ・リサイタル
         ~三鷹 風のホール

(プログラム)
J.S.バッハ:イギリス組曲第2番 イ短調BWV807
トリスターノ:Serpentina
J.S.バッハ:イギリス組曲第6番 ニ短調BWV811

組曲 ~オン・アーリー・ミュージック~
トリスターノ:Ciaccona seconda
フレスコバルディ:トッカータ集第2集より
          第4番 “da suonarsi alla levatione”
          第9番 “Non senza fatiga si giunge al fine”
          第8番 “Di durezze e ligature”
トリスターノ:リトルネッロ
スウェーリンク:ファンタジアニ調 SwWV259
トリスターノ:RSのためのアリア
ギボンズ:フレンチ・エアー、アルマン、イタリアン・グラウンド、グラウンド
トリスターノ:トッカータ

(アンコール)
トリスターノ:hello





即興のように
自由で生き生きとしたバロックと
タイトでグルーヴィーなオリジナルが
時空を超えて行き来する。。




'23Octフランチェスコ6.jpg



前半、イギリス組曲からの抜粋は
3日前よりずっと のびやかで
生命力にあふれていた。
超速のテンポでもブレない
美しい抑揚に聴きほれる。

バッハに挟まれたオリジナルは
細かいパッセージがミニマルのよう。
このチャーミングな小品とバッハが
何の違和感もなく
いや、それどころか
互いの個性を引き立て合って
豊かな空間が現れる。。


'23Octフランチェスコ7.jpg



後半も
オリジナルと古楽が交互に奏される、
フランチェスコのオリジナルの組曲。

前半と同じく、
ステージの上手から登場したフランチェスコは
ピアノの椅子に座ると
しばし 上の方を見やっている。
遠い彼方から
音楽が降りてくるのを待つように。
そして
おもむろに打鍵する。
かっきりとした音色のベースが
タイトなリズムを繰り出す。
繰り返されるグラウンド。
時折
研ぎ澄まされた短いフレーズが
火花のように弾ける!
そしてカオス・・
大きな渦に飲み込まれていく。

おだやかな水面に
ぽつり ぽつりと
したたる滴のように
フレスコバルディが たゆたう。
セピア色のモノローグ。
どの曲も切れ目なく奏され・・

いつのまにか
フランチェスコのオリジナルの世界へ。
細かい連打が風を呼び
大気が大きく揺れる。
やわらかな色彩の雲が流れ・・

引き寄せられたように
スウェーリンクのポリフォニーが
饒舌に語り合う
果てしない物語。

そして 
Aria for RS
祈り・・
神聖な響きと愛。
(プログラム・ノートに
「闘病している友の快復を祈りながら書いたというから、
 RSとは坂本龍一のことだろう」とあった)

聖歌はいつのまにか
いにしえの歌に すり替わる。
タイトなギボンズは
軽やかなステップを踏む。
そこから
あっというまにオリジナルになだれ込む。
グルーヴ感いっぱいのトッカータに喝采!!





                     (以下の写真はweb上からお借りしました)

'23Octフランチェスコ9.JPG

                 

アンコールは"hello"
もちろん、フランチェスコのオリジナル。
繰り返される太いベース音と
ホールいっぱいに響く
テンション満載のサウンドを浴びられて
幸せだったよ。。








'23Octフランチェスコ8.JPG




後半の組曲「アーリーミュージック」は
フランチェスコの公演の配信があり
本当にステキだったのだけれど
やっぱり
ナマは ぜんっぜん違う!
特にこの日は
エレクトロニクスを使わなかったので
グランドピアノのナマ音で
極上の響きを聴けたから
魂を持って行かれた。。















































nice!(10)  コメント(0) 

Englische Suiten      [コンサートの記憶]

フランチェスコ・トリスターノ(ピアノ)
            ~王子ホール

J.S.バッハ:イギリス組曲(全曲)

第1番 イ長調 BWV806
第2番 イ短調 BWV807
第3番 ト短調 BWV808

第4番 ヘ長調 BWV809
第5番 ホ短調 BWV810
第6番 ニ短調 BWV811





左右の手が
二つの生命体のように
鍵盤を駆け巡り
完璧なポリフォニーを奏でる!

クリスタルな美しい粒子が
リズミカルに飛び跳ね
抜群の推進力で
新しい物語が紡がれる。。



'23Octフランチェスコ4.jpg



フランチェスコが弾くバッハは
とてもクリアなフォルムで
細やかなパッセージが
有機的に歌い合う。

まるでチェンバロのように
軽やかな装飾音。

だからといって
決して
ピリオド寄りではない。

フランチェスコの音楽は
常にイン・テンポ!
サラバンドまでもがダンサブル♪♬
そう、
「イギリス組曲」は舞曲集だもの!

圧巻のジーグにノックアウト。。


渾身の全曲演奏で
アンコールは無し。
いつものように
ステージから投げキッス♡


'23Octフランチェスコ2.jpg

     (この写真はweb上からお借りしました)



二度の中止・延期を経て
ようやく実現したリサイタル。
待ってたよ フランチェスコ。
そう、去年は
角野隼斗さんとデュエットのコンサート。
芸劇もブルーノート東京も聴けて
久しぶりの生演奏に倒れそうwだったけど
サイン会は無かった(悲。

それが、今回はありましたっ!!


'23Octフランチェスコ3.jpg


お話できただけでも嬉しかったのに
名前を覚えていてくれたなんて!

さいこう フランチェスコ♡







この日はTVの収録がありました。
なぜ私が緊張するかw


'23Octフランチェスコ5.jpg





























nice!(7)  コメント(0) 

欧州バロック作品集       [コンサートの記憶]

欧州バロック作品集
     ~王子ホール

(出演)
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)
クリスティン・フォン・デア・ゴルツ(バロック・チェロ)
クリスティアン・ベザイデンホウト(チェンバロ)

(プログラム)
J.S.バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV1021
ピゼンデル(伝J.S.バッハ):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ハ短調 BWV1024
ビーバー:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第5番 ホ短調


ヘンデル:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ長調 HWV371
フローベルガー:ブランシュローシュ氏の死に寄せるトンボー ハ短調 FbWV632
        (チェンバロ・ソロ)
J.S.バッハ:ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタ ト長調 BWV1019

(アンコール)
バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV1023 第3楽章 アルマンド
ヴェストホフ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第2番 イ短調 フィナーレ



'23Octファウストトリオ1.jpg



超絶技巧の3人が
伸びやかに奏でるバロック音楽は
生命力にあふれ
どこまでも自由奔放!

新鮮な言葉で紡がれる
めくるめく物語に
終始釘づけ

・・深い多幸感。。




'23Octファウストトリオ2.jpg





イザベル・ファウストさんが
とても楽しそうに微笑みながら弾く。
以前、バッハの無伴奏を聴いた時は
ストイックな方かと思ったけれど
このメンバーが創る音楽は
どこまでもポジティブ!

この3人での日本公演が数回あったので
同じ作品でも
全く違う歌いまわしで弾かれるから
(それがバロックの常)
今日は そう来たかっ と
思わず笑みがこぼれるのでしょう。

3人とも、オソロシク達者で
その演奏技術があるからこそ
こんなに楽しい音楽が出来る。


チェロの
クリスティン・フォン・デア・ゴルツさん(長いっw
最初に写真を見た時は
本当に失礼なことに男性だと思いました。
公演前に女性だと気付いたけれど
実際の彼女は、見た目も演奏も男勝り。
芯のあるチェロの音色と幅広いダイナミクス。
その歌い方のカッコ良さと言ったら!
イザベルさんと繰り広げる
丁々発止のやり取りにドキドキ。
その上
クリスティアン・ヴェサイデンホウトさん(また長いw
の美しい音色のチェンバロが
すばらしく流麗な装飾音とともに
トリオをきっちりと締め、
ドライブさせていく。

1曲だけチェンバロ・ソロがあり
それがフローベルガーの
「階段落ちで亡くなる」という(怖
ものだったので
深い響きのある音色を堪能できたのでした♡



ファウストさんは、
いつも個性的でステキなご衣装なのだけど
この日も超カッコ良かった~!


'23Octファウストトリオ6.JPG
      (この写真はweb上からお借りしました)




サイン会があるというので
ファウストさんの最新CDは迷わずゲト♬♪

そして、ベザイデンホウトさんの協奏曲のアルバムに
ゴルツさんが参加していると売り場に掲示があったので
それもゲト♬♪

めでたくサインを戴きました。

'23Octファウストトリオ4.jpg


しかーし!
帰宅してから よーく見たら
協奏曲のCDのオーケストラ・メンバーに
ゴルツさんのお名前が
無いっ!!
チェリストが違う人っ

さらに よーく見たら
フライブルク・バロックオーケストラの
コンサートマスターが
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツさん!
調べてみたら
クリスティンさんのお兄さんでした。
何ということでしょう~。
クリスティンさんは参加していないCDに
快くサインして下さったのでした(泣

あの掲示は何だったのかっ(怒


お詫びに(?)
楽しかった演奏会そのままの表情の
3人の写真を載せますね。
ピンぼけでスミマセン。

'23Octファウストトリオ5.jpg









































































nice!(6)  コメント(0) 

A Time for Us      [語られる音たち]

加耒徹が歌う映画音楽&イギリス歌曲
        ~朝日カルチャーセンター 新宿教室

(出演)
加耒徹(バリトン)
松岡あさひ(ピアノ)

(プログラム)
映画「ロミオとジュリエット」より「私たちの時」
映画「ひまわり」より「失われた愛」
映画「シェルブールの雨傘」より「あなたを待つ」
映画「慕情」より主題歌
アイルランド民謡:ダニーボーイ
トラディショナル(ブリテン編曲):庭の千草
クィルター:私の生きることの喜びよ
フィンジ:私は行く必要はない
    :二十年の五倍の季節のうちに
    :私はそれまで人生をあまり気にかけることはしなかった
    :私は逢いの神に言った
トスティ:私を愛して!
ミュージカル「ラ・マンチャの男」より「見果てぬ夢」






深く豊かなバリトンヴォイスが
空気を震わせ
心が揺れる

それぞれの作品の世界が
目の前に立ち現れる
夢のようなひと時。。



'23Oct加耒1.jpg



何の装飾もない部屋なのに
加耒徹さんが歌うと
仄暗い中世の城
どこまでも続くひまわり畑
石畳が光る雨の街・・
そんな風景が広がる。

ナマでしか聴くことが出来ない
倍音をたくさん含んだ
すばらしい声!
そして
作品を深く読み込み
豊かに表現される
愛情深い歌唱は
まさに圧倒的。。


そして
松岡あさひさんのピアノの
ほんとうに多彩な音色!
素晴らしい共演でした。



'23Octかく2.jpg



この日は
加耒徹さんの新しいCD「A Time for Us」の
お披露目なので、そこからの抜粋が歌われ
また、作品の解説もありました。

加耒さんが大学生の時の専門はイギリス歌曲。
アメリカ英語とは発音が異なるイギリス英語は
歌曲の発声に適しているのだそう。

思い入れの深いイギリス歌曲とイギリス民謡、
そして親しみやすい映画音楽を収めたCD。

そうそう、ブリテン編曲のトラディショナルは
歌はそのままなのに、伴奏は現代音楽!
これにはビックリでした。

そして映画音楽は
収録のためにキチンと譜面に起こしたそうだ。

そんな解説を聞くと
理解が深まって良かったなあ。

さらに、収録現場のこぼれ話も聞けて
オトクでしたw
それにしても
解りやすい見事なお話ぶり(拍手~





加耒徹さんの
こんなに沢山のソロを聴いたのは
本当に久しぶり!

心が浄化された
すてきな午後。。








































nice!(10)  コメント(0) 

The Amity Duet at Lilia        [コンサートの記憶]

小曽根真xアヴィシャイ・コーエン
       ~川口リリア・音楽ホール

(出演)
ピアノ:小曽根真
ベース:アヴィシャイ・コーエン

(セットリスト)
B.Kaper:On Green Dolphin Street
A.Cohen:Gesture #2
M.Ozone:Snap Shot
A.Cohen:Rememering
M.Ozone:O'berek

M.Ozone:Origin of the Stars(ソロ)
    :Lazy Uncle
M.Dennis:Evryhing Happens to Me
C.Corea:Matrix
A.cohen:The Ever Evolving Etude


(アンコール)
R.Rodhers/L.Hart:I didn't know what time it was







同じ時代を生きてきた二人の深い会話が
阿吽の呼吸で繰り広げられる!

それぞれの楽器を超越した
もの凄いパフォーマンス。。





'23OctOZ3.jpg



すべてが
インプロヴィゼーションの嵐!
小曽根さんが
「曲の原型を留めていない」
と言ってたけど
まさに異次元!!


もちろん
オーセンティックな場面も沢山あった。

太いベースに乗って
ピアノが深く美しい音色で
自由自在に、のびやかに歌う。
そして
ベースが主張すると
ピアノはそれに
キュートな彩りを添える。
まさに
大人同士のやりとり。
羨ましいくらいの間柄。
贅沢なひととき。。



小曽根さんが
もの凄い超絶技巧の持ち主なのは
よーく知っているし
この日も
素晴らしいパフォーマンスの連続に
あっけにとられていたけど
アヴィシャイさんのベースも凄かった!
音数の多さは言わずもがな
ボディーや弦を叩く音が入るので
もう一人
パーカッショニストがいるみたい。

そんな二人が
シンクロして音楽を創り上げていく、
魔法のような瞬間が
目の前で繰り広げられる!


激しい演奏をするアヴィシャイさんだけど
オリジナル曲は
とても優しくて、あたたかい。
やわらかな心の持ち主。。





後半の始めに演奏された、小曽根さんのソロ。
それは 星野源さんに捧げた作品。

小曽根さんの奥様が病気の時
星野源さんが
アリーナ・ツアー中にもかかわらず
病院の手配を手際よくしてくれたおかげで
奥様が助かった、
その事への感謝を込めて。。
Origin of the Stars=星野源さんへ♡

軽やかでチャーミングなメロディーは
星野さんそのもの。
透き通ったピアノのハーモニーは
愛に満ちていて胸が熱くなる。。
やっぱり
小曽根さんのソロ・ピアノは
最高!!


'23OctOZ2.jpg


今年の2月に
私はこの二人のデュエットを聴いた。
それは、初顔合わせのライヴ。

      The "Amity Duet"


二人は、先月ニューヨークでライヴをし
今は日本でのツアーが始まったばかり。
これから、どんなふうに変化していくのでしょう~?






































nice!(11)  コメント(0)