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MAO trio       [コンサートの記憶]

MAO trio
   ~サントリーホール(小)


火花を散らすような熱いライブ!
緊迫感と幸福感が織りなす
室内楽の醍醐味。。




(出演)
ピアノ:藤田真央
ヴァイオリン:水谷晃
チェロ:金子鈴太郎

(プログラム)
ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番ロ長調Op. 8
チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲イ短調Op. 50「偉大なる芸術家の思い出に」

(アンコール)
ペーター・キーゼヴェッター:タンゴ・パセティーク
チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲イ短調Op. 50 より 第二楽章の主題







藤田真央さんの無限の音色とダイナミクス!
まったく、ピアノが弦楽器のようにうねるなんてスゴすぎる!

3つの楽器が紡ぎ出す、生まれたての新鮮な音楽は
饒舌に語り合い、躍動し、
今まで聴いたことのない世界へ連れて行ってくれる。

それは、初めて見る風景。
けれど何故か懐かしい思いがよぎる。

光あふれる草原、月明かりの森
柔らかな風をはらんで旅立つ鳥たち
愛しさと切なさが入り混じった
さまざまな感情がわいてくる。。。





'21DecMaotrio1.jpg



ブラームスはピアノの穏やかな旋律で始まる。
あたたかく、柔らかな音色をチェロが引き継ぐ。
そしてヴァイオリンが加わり
手を取り合って、次第に高みへと昇っていく。
転調して鼓動は早くなるけれど、やがて回帰し冒頭へ。
すると、さらにピアノが息を潜める。
それに弦楽器が呼応し、
さまざまな形で立ち現れる3連符が制御され
抑制された感情の中で物語りが紡がれる。


長い間合いの後、突如始まるスケルツォ!
コロコロと転がるような音の粒。
急速なパッセージの連続は
まるで生き急いでいるよう!


そうして、息の長いレガートで奏でられる神聖な場面へ。
まるで弦楽四重奏を聴いているような響き。
・・ヴァイオリンとチェロ、
  そして藤田真央さんの二つの手が奏でる魔法・・

一転して走り出す!
秘めていた想いを爆発させて駆け巡る!
まさに疾風怒濤のフィナーレ。。




今まで何度も聴いたことのあるブラームスのピアノトリオ。
ほんとうに、さまざまなアイデアが盛り込まれ
まるで新しい作品を聴いているような思い。
恐らく、リハーサルの時とは違ったアプローチもあったのでしょう。
ピアノの問いかけに
「そう来たか!」
と弦楽器が応じる場面がいくつもあった。
これこそが生演奏!






ブラームスが喝采で終わり、
ナント!3人がマイクを持って登場~(拍手w
藤田真央さんが、例の天然満載のお話ぶりで
チェロの金子鈴太郎さんも、ヴァイオリンの水谷晃さんも
オーケストラ本番の連続でとても多忙、なのに
「ワタシはヒマでね、練習ばっかりしてるんですよ」(客席爆笑)
金子さんが、真央さんのことを
「世界を飛び出して宇宙に行ってしまうのでは」
と言うほど、真央さんだって海外で活躍してるのです。
水谷さんは
「真央さんは音楽の宇宙のもとに生まれた人」
と、3人で弾けることの幸せを語っていました。



'21DecMaotrio3.jpeg




後半はチャイコフスキー。
藤田真央さんはチャイコフスキー国際コンクールで2位になったこともあり
「ワタシが行っていたロシアを感じていただけたら」
と語った通り、前半とは全く違うピアノ!


チェロの慟哭のような旋律から始まり
やがて雄々しく歌い上げるヴァイオリン。
交錯する感情の中で
ピアノは深い重心を聴かせる。
そして次の瞬間は煌びやかなパッセージが炸裂!
まるで、ピアノコンチェルトのよう!
弦楽器は厚みのあるオーケストラそのもの。
スラブの風が吹き抜ける。。


哀しみの中で閉じられた音楽の後に
可憐な旋律がピアノで奏される。
あたたかな日差しに目を細めながら
野の小道をたどっていくような懐かしさ。

それが次々に変奏されていく。
チャーミングに、コケティッシュに、あるいは優雅に、
さまざまな踊りが繰り広げられる。
まるでチャイコフスキーのバレエの舞台を観ているよう!
物語は雄弁にドラマチックに語られ
クライマックスへ向かって駆け抜ける!
圧巻のトゥッティ!!

そして激情の中
冒頭の旋律が還ってくる。
慟哭。。

やがて、それが静まり
葬送行進曲に。。


長い長い静寂の後
静かに拍手が。
やがて それは、大喝采に・・・。






アンコールはタンゴ?!
藤田真央さんのピアノがまたもや変身。
タイトなリズムとラテンの音色にビックリ!
チャイコフスキーの有名なメロディーが散りばめられた
メチャクチャ楽しいアレンジもの♬♪


鳴り止まない拍手に
何度もステージに呼びもどされる3人。


最後は藤田真央さんが
プログラムの中で弾いたばかりのチャイコの主題を独奏で。
水谷さんと金子さんは、椅子に腰掛けて聴いています。
ホールは、何とも言えない幸福感でいっぱいになりました。。





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               (この写真はweb上からお借りしました)




藤田真央さんの演奏はネットでずいぶん聴いていました。
特に今夏、ヴェルヴィエ音楽祭でのモーツァルト・ピアノソナタ全曲演奏は
まさしくヘビロテでしたw
いつかナマで聴いてみたいという思いが実現したのが、この日。
私の初・ナマ真央さんは、室内楽となったのです♡
藤田真央さんの凄いところは、
気の向くままに自由に弾いているようだけれど
その実、楽譜を深く読み込んでいること。
勉強を重ね、試行錯誤をしているからこそ、
本番ではその瞬間に生まれてくるものがある。
そのセンスの良さ。まさしく天才なんだな。



これは2年ほど前に企画されたのが延期になり
ようやく実現した演奏会でした。
私は偶然にも再発売を知り、チケットをゲット!
ほんとうに幸運でした。

また聴きたいなあ・・
藤田真央さんの天衣無縫なピアノ
水谷晃さんの情熱的なヴァイオリン
金子鈴太郎さんの包容力のあるチェロ
この三人での常設トリオ希望!!









































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