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Scholarship Concert      [コンサートの記憶]

第28回 リクルートスカラシップコンサート
              ~紀尾井ホール


(プログラム)
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番ニ長調 作品70-1「幽霊」
  北川 千紗(ヴァイオリン)、上野 通明(チェロ)、小林 海都(ピアノ)

ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番ト短調 作品25
  辻 彩奈(ヴァイオリン)、田原 綾子(ヴィオラ)、水野 優也(チェロ)、桑原 志織(ピアノ)

フォーレ:ピアノ四重奏曲第1番ハ短調 作品15
 外村 理紗(ヴァイオリン)、田原 綾子(ヴィオラ)、鳥羽 咲音(チェロ)、吉見 友貴(ピアノ)

シューマン:ピアノ五重奏曲変ホ長調 作品44
  戸澤 采紀(第一ヴァイオリン)、吉田 南(第二ヴァイオリン)、石田 紗樹(ヴィオラ)、
  岡本 侑也(チェロ)、藤田 真央(ピアノ)

ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲第2番イ長調 作品81 B.155
  前田 妃奈(第一ヴァイオリン)、佐々木 つくし(第二ヴァイオリン)、石田 紗樹(ヴィオラ)、
  岡本 侑也(チェロ)、小林 愛実(ピアノ)

ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲ト短調 作品57
  周防 亮介(第一ヴァイオリン)、戸澤 采紀(第二ヴァイオリン)、田原 綾子(ヴィオラ)、
  上野 通明(チェロ)、亀井 聖矢(ピアノ)




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若いエネルギーとパッション溢れる室内楽6曲!!

5時間近くの長丁場でしたが、
熱演に惹き付けられて集中して聴きました。
その中で特に印象的だった演奏のことを。




まずはシューマンのピアノ五重奏曲♪♬

藤田真央さんのピアノとストリング・カルテットが
一体となって創るシューマンの宇宙。
それはもう、幸福感でいっぱい!

ピアノ・ソロはテンポをゆらし
優しくフレーズを語る。
弦が主導になると
すばらしい和声感で伴奏に徹する。
岡本侑也さんの表情豊かなチェロ、
石田沙樹さんの芯の通ったヴィオラ。
そして戸澤さんと吉田さんのヴァイオリン。

皆が作品を俯瞰していて
お互いを聴き合い
信頼しあう。
全員のベクトルが同じ方向をさし
呼吸をはかって紡ぎ出す音楽。。
これは名演!
もしかして、世界レベルでは?!


シューマンのピアノ五重奏曲は
音楽の世界遺産だと思うくらい
素晴らしくて、大好きな作品。
今まで何回聴いたことだろう!

何度聴いても
フィナーレに、第一楽章の主旋律が奏でられる瞬間
涙があふれてしまう。

作品の冒頭にトゥッティで奏される
明るく喜びに満ちた主旋律は
フィナーレでは
一瞬の静寂の中、ピアノの独奏で始まる。

この日、まさに絶妙の呼吸と音色で
藤田真央さんが弾いたピアノの
なんと神々しかったことだろう。。



'22Decリクルート5.JPG
          (この写真はweb上からお借りしました)





そしてプログラム最後、ショシュタコーヴィチのピアノ五重奏曲。

亀井聖矢さんのヴィルトゥオーゾ的なピアノに圧倒される!
その 多彩な音色と豊かな響きに呼応する
超絶なストリング・カルテット。
まるでオーケストラの演奏のような厚みと迫力。
そして軽やかなリズム感の中で
陰影を見事に描きわけていく。。






'22Decリクルート3.jpg



アンコールは
今回の演奏会で卒業するという3名による演奏。
メンデルスゾーンの第2楽章。
桑原志織さんのピアノの暖かな独奏に
周防亮介さんのヴァイオリンと
上野通明さんのチェロが優しく応える。
奏者の感謝の気持ちが音になって響き
胸が熱くなる。。










'22Decリクルート1.jpg




そうそう、演奏が始まる前に
藤田真央さんがマイクを持ってステージに現れて、ちょっと驚く。
いつものようにw とっちらかっているような、いないようなお話ぶりに
クスクス笑いが広がり、私も声を出さないように笑うので苦しかったことw
とにかく、今日は長丁場だけど最後に卒業する方々のアンコールがあります、
という事を言うための登場だったのね~笑笑


この日は弦楽器奏者は2回演奏した方もいたけれど
ピアニストは1回ずつ。
その6名の方々の演奏を聴いて驚いたのは
ピアノの音が全く違うこと。
ほんとうに、同じ楽器と思えないほど!
なかなか興味深いものがありました。(え?


実は、この演奏会は配信でも聴くことが出来ました。
私は会場のチケットが完売になってしまい、配信で聴くつもりだったのです。
それが、演奏会の数日前に
「チケットが一枚だけある!」と友人が教えてくれたので
すぐさま購入したのでした(友人に大感謝♡)。


演奏会が終わり、帰宅して配信を観て驚きました!
音が全然違う!!
ホールで聴いた時の音の立体感、奥行きが無いのですね。
バランス良く調性された音が平らに聞こえてくる。
あんなに個性豊かな音色だったのに(ガクゼン・・
音は空気を震わせて伝わるものだなあと
改めて思ったのでした。
でも、配信では全員へのインタビューもあったので
良しとしましょう~。



それにしても
チームの中に1人でも 人の音が聴けていない人がいると
室内楽って成り立たない事がよーく解りました。
「あなたのリサイタルじゃないでしょ」
と、つぶやく(心の中で)w





逆に
聴くべきポイントを押さえつつ
自分の言葉で雄弁に語れる人の演奏は
聴く人の心に
ダイレクトに届くのでしょう。。





































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