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盗まれた接吻       [アートに逢いに]

大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
                 ~森アーツセンターギャラリー


いちばん気に入ったのは、この作品でした。


「盗まれた接吻」

'17Aprilエルミタージュ展.jpg

ジャン=オノレ・フラゴナールと
彼の弟子で義理の妹のマルグリット・ジェラールによる合作。(1780年代)

このポスターにはないが、右側に隣の部屋へ続くドアが半開きになっていて
そこにいる人達が描かれている。
娘は気付かれはしないかと、ドキドキ。。

一瞬の出来事!
それを鮮やかに切り出していて、本当にステキ。

サイズは思ったよりずっと小さかったけれど
存在感は抜群だった。




他に、聖母マリアの愛らしい少女時代を描いた作品や
ティッツィアーノの女性の肖像画も印象に残る。


そのくらいでしょうか。(え?
大エルミタージュ展。
「大」は付けなくても良かったような気が。

そうそう、先日観た「ミュシャ展」同様、ここでも写真撮影OKの絵画が1点。
エルミタージュ美術館を創設したエカテリーナの肖像画。

作品と一緒に写真に収まっている方も。
はい、チーズ!バシャッ!!
あっ!フラッシュはご遠慮くださいっ!!


























Slovanská epopej            [アートに逢いに]

ミュシャ展
      ~国立新美術館



「スラヴ叙事詩」
まさに圧倒的!!
これは観る、というより体感でした。
主役のカリスマ性はもちろん、
脇役たちの魅力的な表情、そして動作に惹き付けられました。
物語の中に身を投じてしまったような興奮!!



'17Marミュシャ展1.jpg





ミュシャが後半生の全てをかけた大作、20点の来日。
チェコ国外で連作すべてが一挙に公開されたのは初めてだそうです。

ミュシャといえば美しい女性のポスター画を思い浮かべます。
パリ万博が開催された1900年頃に一世を風靡した画家。
頂点をきわめていた時に、故国チェコに戻り
「スラヴ叙事詩」の製作に没頭したといいます。

縦横が、それぞれ4~8mという大作ばかり。
チェコのモラビア地方の民族の歴史をたどる作品です。



展覧会場に入ると、壁面すべてが「スラヴ叙事詩」になっている。
もう、これだけで興奮のるつぼ!
ドキドキしながら歩き回ってしまう。

少し落ち着いてきたので、双眼鏡を取り出す。

とにかく「大きい」という事は知っていたので忘れずに持ってきた。
ミラノの「最後の晩餐」も、システィーナ礼拝堂の天井画も
この双眼鏡で観たのだ。

そして、すみずみまで丁寧に描かれていることに
また驚いてしまう。



この展覧会で画期的なのは写真撮影可!!
一部ではあるけれど、日本の企画展では希なこと。

大勢の方がカメラやスマホを作品に向けていた。
私も存分に楽しみましたよ。

'17Marミュシャ展2.jpg


ここで漸く正気になり、作品をもっとしっかり観なくては!
とにかく、この大きさはポストカードでは収まりきらない。
それは、どんな作品でも同じだけれど、
特に「スラヴ叙事詩」は記憶に刷り込んでおきたい!

この連作は、どれも歴史上の一場面。
ひとつひとつの作品に、長尺の劇のような深い物語がある。
その内容を理解するのは容易なことではないけれど
ミュシャの意図に少しでも近づきたいと思った。


ところが、作品が順に並んでいないのですよ!
あっちへウロウロ、こっちへウロウロ。
もしかしたら、壁の大きさで展示の順が変わってしまったのかも?
私と同じ思いの方が結構いて、皆で人をかき分けながらウロウロw

そうそう、忘れてはいけない
ペン画やスケッチ、そしてあの美しいポスターたちもありました。
小さな紙にささっと描かれたペン画の愛おしさ!
思わず惹き込まれ、ひとつひとつを つぶさに観てしまいます。
そうか、このデッサン能力があるからこそ
あのデフォルメされたポスター画が描けたのだ!


そして、もう一度「スラヴ叙事詩」を。。
というわけで、2時間以上!
ひとつの展覧会の滞在時間、自己最高記録ですね~。




ところで、ミュシャは
スメタナの「わが祖国」を聴いて、「スラヴ叙事詩」を描くことを決意したそうです。
そのため、今回は「わが祖国」がPVなどにも使われています。
でもね、「スラヴ叙事詩」は太古の昔から始まっているでしょう。
連作の中の祭りの場面などを描くとき
ミュシャは故国の民謡などを思い浮かべていたのではないかしら。
たとえば、こんなふうな。。






ミュシャは幼い頃に聖歌隊で歌っていたそうです。
古いオルガンを、引っ越す時も持って行ったといいます。
じっさい、「スラヴ叙事詩」の「ヴィートコフ山の戦いの後」には
オルガンを弾く老人が登場しています。

音楽を愛し、平和を願ったミュシャ。
「スラヴ叙事詩」の全ての絵から
さまざまな歌や楽器の旋律、そして打楽器のリズムが聴こえて来る。。

























Annunciazione      [アートに逢いに]

ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち展
              ~国立新美術館


ヴェネツィアのアカデミア美術館所蔵の絵画たちがやって来ました。

しか~し!

イチバンは、何といっても
ティツィアーノ晩年の大作「受胎告知」!
これだけがサン・サルヴァドール聖堂からの特別出品です。






             (現地の写真、web上からお借りしました)
'16Sepティツィアーノ受胎告知2.jpg


ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
「Annunciazione(受胎告知)」
油彩/カンヴァス 410 × 240 cm 





本当に大きな、大きな絵でした!

サン・サルヴァドール聖堂の祭壇に飾られてあったものを
持ってきてしまったのですねえ。
すごいなあ。。というより 
何だか申し訳ない感じもします。








'16Sepティツィアーノ受胎告知1.jpg



現地で観られたら、また違った感激があることでしょう。。

そうなんです!

ヴェネツィアは、まだ観ていない所が たっくさんある!!
展覧会場で現地を紹介するVTRを観て、実感しましたです(やばいなあ~w









愛らしいマリアに
相対峙する大天使

そして
高い、高いところに目をうつすと
光の中で舞う鳩

そして
たくさんの天使たちが歌っている

物語は
描き止められたのではなく
生き生きと躍動している

大気の中で
輝きをまき散らしながら


私は
画家が描いた愛を

あきることなく

ながめていた。。


























Cena in Emmaus          [アートに逢いに]


はるか昔

確かに そこに存在していた人

幾年月を重ねても

その魂は

鮮やかに息づいている。。




カラヴァッジョ展
         ~国立西洋美術館


'16Mayカラヴァッジョ2.jpg


2001年に東京で開かれた展覧会がカラヴァッジョとの出会いでした。
沢山の作品が来日したのですが、
特に上の写真の「果物籠を持つ少年」の印象は強烈でした♡

その数年後のイタリア旅行は、ローマでカラヴァッジョを観ることが目的のひとつでした。
と言っても、ツアーの自由時間は限られているので
決して来日しない「教会の祭壇画」を観てきました。

しかし、何故か2度目のローマ行きが叶ったので
その時はボルケーゼ美術館へも足を運びました。
そこはカラヴァッジョの作品をたくさん所有しています。

「果物籠を持つ少年」との再会。
しっかり、ツーショットも撮ってきました!
外国の美術館はこれが出来るから凄いですね。

そして、今回は3度目(嬉~♫

3度目なのは「ナルキッソス」も、そうでした。
これも「果物籠~」におとらず、すばらしい作品で大好きです。

ウフィッツィにいた「バッカス」とも再会。
などと喜んで観て回っていましたが、
こちらの作品に、今回は強く惹きつけられたのです。


これも前回 来日していたのに、何故か印象が薄い。
こんなにすばらしい作品なのに?!





'16カラヴァッジョ.jpg



Cena in Emmaus  (1606) Breara,Milano   「エマオの晩餐」 ブレラ美術館 ミラノ

Michelangelo Merisi da Caravaggio       ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ



復活したイエスを、その人だと悟った瞬間です。

ある一瞬を写真のように切り取って描くことにかけては
他の追随を許さないカラヴァッジョ。
ドラマのストーリー、そして人の気持ちまでも描き出しています。

同じ名称の作品がロンドンにありますが、
そちらが色彩豊かで人の動作も大きいのに比べて
この作品は言ってみれば地味かもしれません。

けれども、絵に相対峙していると
登場人物の、それぞれの心の動きが おそろしいほどに伝わってきます。
そして、ぐんぐんとドラマの中に引き込まれていくのです。

カラヴァッジョの描き方のリアルさは、本当に凄いのですが
この絵は特に「質量」も正確に描かれている事に気付いて驚きました。
肉体の重さ、柔らかな髪の毛、洋服の手触り。。


これが描かれた時、画家は殺人事件を起こして逃亡していたといいます。

激しい気性とは真逆の静謐な画面。
画家は この世と別れを告げる時が近づいていることを
もしかしたら 知っていたのかもしれません。。



































Botticelli      [アートに逢いに]

ボッティチェリ展
       ~東京都美術館


なんと気品あふれる聖母でしょう。
この鮮やかな色彩!
そして
すみずみまで描き込まれた筆使い。
繊細な表現に目を奪われました。


「書物の聖母」

'16Marボッティチェリ.jpg


有名な「春」と同じ頃に描かれた作品。
フィレンツェの栄華が極まっていた時期ですから、高価な画材が惜しげもなく使われています。
大作の「春」よりもずっと小さいのですが、密度の濃さに圧倒されました。




こちらも聖母子を描いた初期の作品。
師のフィリッポ・リッピの影響がみられます。
聖母のたおやかな表情がなんとも言えません。

「バラ園の聖母」

'16Marボッティチェリ2.jpg



この迫力ある作品は教会の祭壇画です。
何故ここに?!

「書斎の聖アウグスティヌス」

'16Marボッティチェリ4.jpg

フレスコ画がそのまま展示されていて本当にビックリ。
これは、教会が災害に遭ったこと等の理由で壁画を切り出したのだそうです。





その他の作品、どれもこれも素晴らしく
2周して目に焼き付けましたよ。
来日に、深く感謝です♫
































天球儀と地球儀              [アートに逢いに]

体感する天球儀・地球儀展
         ~DNP五反田ビル

'16Feb天球儀2 - コピー.png




フェルメールが描いた絵に登場する
「ホンディウスの天球儀と地球儀」が来日しました。

実物の展示は、ほぼそれだけで
全般に3Dデジタルデータで展開されていました。
地球儀の製作の方法、宇宙空間の解説など。
世界地図が作られていった歴史は短編の映画になっていました。

自分で操作して画面を拡大したり回転させたり。
いろいろと遊べて、楽しかったですよ。




天球儀は展示されていると見えない部分があるので、
デジタルを操作して詳細を解説入りで観ることが出来たのは良かったです。

でもね、何だかアタマがすっきりしない。
3Dってホントの立体ではないんですよね?
現物を認識している脳の部分が違うような気がします。
よくわかりませんが。
やっぱり美術品は本物だけを(たとえ良く見えなくても)観たいなと思ったのでした。



今回の現物です ↓

'16Feb天球儀.png





「神は我々を天の上、地の下に置かれた。

下を向けば地を観察し 上を見やれば天に思いをはせるようにするためである。

空を見あげ 天球の感嘆すべきしくみについて深く考えをめぐらせるとき
我々は天文学者となる。

一方、下を向いて地を見つめ その広さを測ろうとするとき
我々は地理学者となる。

このふたつの学問を通して
人間はこの世界にふさわしい住人となるのだ」

             ヘンリクス・ホンディウス「世界の新舞台」(1639年)











展覧会は無料ですが、予約制です→ 



























水差しを持つ女            [アートに逢いに]

フェルメールとレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち 展
                   ~森アーツセンターギャラリー



「水差しを持つ女」が初来日しました。

'16Febフェルメール.jpg

ヨハネス・フェルメール《水差しを持つ女》1662年頃
油彩・カンヴァス 45.7×40.6cm
メトロポリタン美術館、ニューヨーク



精緻なオランダ絵画の中で
フェルメールの作品には独特の存在感。

いつものように、サイズの小さいことに はっとする。
少し離れて観ると、色彩が薄く軽やかに感じるが
近づいて眺めているうちに
その世界に引き込まれ
細やかな色使いに圧倒される。

静寂の中の凛とした佇まい。

熟考されたフォルムなのに
決して押しつけがましいところがない。

カメラで撮影されたようにリアルなのに
よそよそしさがない。

描かれた時が
そのままのかたちで
私の目の前にある。

光と影
ガラス窓の描写
いつまで眺めていても
飽きることがなかった。。









オランダ絵画を紹介した、この展覧会。
私の好きな風俗画家のデ・ホーホ、ヤン・ステーンの作品、
そしてレンブラントの重厚な作品もすばらしかった!
でも、なんといってもフェルメールは別の次元で輝いていましたよ。


会場の出口にフェルメールの全作品の写真(原寸大)が展示されていました。


'16Febフェルメール3.jpg



'16Febフェルメール2.jpg
































ロザリオの聖母           [アートに逢いに]



プラド美術館展
     ~三菱一号館美術館


小さな絵画に
息をころして 近づいて
細部をくまなくながめていると
その中に入り込んでしまう

小さいと思っていた額縁の中は
実はひとつの世界となっていて

それぞれの物語が綴られていることに気付く。。



小部屋が多い、この美術館の特性を生かした展覧会でした。
プラド美術館から小さなサイズの絵画が集められました。
特に有名な作品はないけれど
どれも存在感のあるものばかり。

嬉しいことに、顔を寄せるように鑑賞しても良いのです。
そうやって一つ一つを丁寧に観ていくと
画家たちの溢れる思いが伝わって来ます。

小さな宝石のような愛おしい絵画たち。

ひとまわりしただけでは あきたらず
2周してしまいました!




そんな中で、縦166cmというと
とても大きな絵に感じてしまいます。


ロザリオの聖母(1650~55)
バルトロメオ・エステバン・ムリーリョ(1617~1682)



ロザリオの聖母.jpg


聖母のまなざしに
時が経つのを忘れました。

世の中の俗や喧噪から遠く、
清楚で敬虔なたたずまいの聖母は
そこにいるだけで
心を愛で満たしてくれました。。


































書物がひらくルネサンス       [アートに逢いに]


ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ 
           ~印刷博物館



'15Junヴァチカン図書館展.jpg



聖書だけで何種類あったことでしょう!
年代や言語の違うものが、さまざま展示されています。
ネウマ譜の賛美歌の大型本もありました。

他にも貴重な文献が1冊ずつガラスケースに入れられて展示されています。
ダンテの「神曲」にボッティチェリが挿絵を描いたものまでありあました。

そして、天正少年使節~キリシタンの関係の文献。
もう、充実ぐあいが素晴らしい!!

プロジェクションマッピングは1編の映画のようでした。
立体映像がCGでテンポ良く映し出され、
流れるような画像を見ていると、わくわくしてしまいます!
ローマ市内の遺跡の数々が登場し
やがてヴァチカンに誘われ、図書館の中へ。。
心躍る 小さな旅。

そうそう、1冊の大きな複製の本がありました。
白い手袋をして、学芸員になったつもりでページをめくるのです。
本のページの材質、印刷のぐあい。
複製と言われなければ 本物のように感じてしまいます!





楽しかったのは、自分で作るグリーティングカード。
文字や絵柄を選んで印刷します。

'15Junヴァチカン図書館展2.jpg


この日はコンサートを聴くついでに企画展に寄りました。
しかし、こんなに充実しているとは思いもよらず!


いつもコンサートのために来るホールの下に、こんなにステキな場所があるとは
何故か今まで全く知りませんでした・汗
常設展も面白そうなので、今度はもう少しゆっくり観たいなあ。。

'15JUn 印刷博物館.jpg























GUERCINO       [アートに逢いに]

グエルチーノ展
     ~国立西洋美術館(上野)

'15Mayグエルチーノ展.jpg

「聖母被昇天」

イタリアのチェントにあるサンティッシモ・ロザリオ聖堂の天井画です。

聖母の柔らかな表情 
天使たちの愛らしいしぐさ
そして
風をはらんだ衣装と雲を見ていると
静止した絵画とは思えないほど!
色彩も、香り立つような空間表現も
私の心をとらえて離しません。。






チェントは2012年に大地震に見舞われ、グエルチーノの作品がある美術館も被害を受けました。
未だに閉館したままになっているそうです。

この「聖母被昇天」は
サンティッシモ・ロザリオ教会の天井から落ちることはありませんでしたが、
危険なため取り外したのだそうです。


'15Mayグエルチーノ サンティッシモ・ロザリオ教会.jpg

このように、難を逃れはしたものの現地で鑑賞できない絵画が
世界中を巡ることになったのです。
おかげで、4mを超す大作を日本で観ることが出来ました。
それはそれは感動的でした!




現地の取材もある動画です。






ところで、国立西洋美術館は企画展の半券で常設展が無料で観賞出来ます。
フェルメール帰属「聖プラクセデス」が公開中です~♬

'15Mayグエルチーノ展3.jpg

フェルメールとは断定しがたいということで、帰属としてあるのですね。
この女性が何をしているか、実際に見て初めてわかりましたが
リアルな部分にビックリでした!
フェルメールがこんな表現をするのかなー??









さて、実はこの前日に 国立新美術館へ行って来ました。六本木です。
(まぎらわしいですよねーw)
こちらではルーヴル美術館展をやってました。

'15May天文学者.jpg

念願の、この方に逢いに!!

フェルメール「天文学者」です。

しかし。。
なんか、いまひとつ だったんですね。
何でしょう?
照明がやや暗くて見づらかったような?
何かね、今までのようにフェルメールの作品を観た時の感激はどこへ?
期待値が高すぎたのかしら?

それから、他の作品もいまいちピンと来るものがなかったなあ。


余談ですが、TVで「グエルチーノ展」の特集を見た時、
学芸員の方が「ルーヴル」というと集客が良いと言っていました。
グエルチーノの作品がルーヴルに所蔵されていた期間があったので、
「ルーヴル所蔵」と広報すればもっと来場者が増えたかも!とのことでしたw























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