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プレミアム・ピアノ・ナイト         [コンサートの記憶]


「今」を生きている!

走り出すエネルギーも

熱い思いも

この鼓動があるから。。






小曽根真 リサイタル2014  プレミアム・ピアノ・ナイト
                    ~文京シビックホール 大ホール



’14JunOZ.jpg

ステージの中央にピアノがあるのがわかりますか?
ホールに入ると、開演前から既にこのよな照明で彩られていました。

そして 暗転。。





(セットリスト)
No Siesta/Makoto Ozone
Walts for Debby/ Bill Evans
Stinger/Makoto Ozone
You're not alone/Makoto Ozone
Three wishes/Makoto Ozone

Mazurka Op.17 No.4/Chopin
Brasilia/Chick Corea
Rhapsody in Blue/George Gershwin

(アンコール)
A Night At El Morocco/Melton Mustafa







暗いホールに、美しいピアノのアルペジオが響きます。
はじめは 高い音で
そして夢のように 少しずつ旋律が現れてくる。
それがやがて
ギアチェンジした車のように 走り出す!

No Siesta

小曽根さんがビッグ・バンド「No Name Horses」と演奏している曲。
からりと晴れた日のごきげんなドライブ。
どこまでも続く道を 気持ち良く走り続ける。
小曽根さん、1曲目から凄い気合い!
なんだか音の密度が濃いっ!





この日は「プレミアム・ピアノ・ナイト」というタイトルなので、
いつもはやっていない事をやるのだそうです。
ナルホド、ビッグバンドの曲をソロで弾くのは いつもと違います。

そして2曲目はビル・エヴァンスの有名な曲。
照明がパープルに。

イントロダクションの優しい響き
少しずつ見え隠れするメロディー
例えば 幸せな記憶の断片を思い出すように
それがいつのまにかワルツになって
くるくると踊っている
可愛らしい笑い声が聞こえてくるような。。

続けて次のブルージーな曲に入ると、照明が黄系の色に。
小曽根さんの靴はグラデーションのかかった金色♬
演奏しながら足でタップすると
金色のリズムが生まれてくる♬♪♫

前半、2曲目以外は10周年を迎えたビッグバンド「No Name Horses」で演奏していますね。
こうしてソロで聴くのはまた違った味わいがあります。



You're not alone

せつない曲調のバラード。
まるで深い海の中をたゆたうように
柔らかなハーモニーがホールを満たしていく。。

照明は天井からの白いスポットがひとつだけ。
それが却ってイマジネーションを掻き立てられる。

最後のさいごに
慰めのアコードが響く。。


そしてビッグバンドで演奏しても大変な曲、Three wishesをソロで!
どひゃー!むちゃくちゃカッコイイ!!
しかし、これはスピード違反~~~w





後半のスタートですが、ステージがスタンバっているのにシーンとしています。
小曽根さんは良く後ろから登場するので、後ろを伺っている方もチラホラw
期待通り、1階席の後方扉から登場~

先日、チック・コリアが来日した際に弾いていたので自分も弾きたくなったと
ショパンのマズルカを。
以前は最初ほぼ譜面通りに弾き、その後に即興をしていましたが
この日はメロディーを自由に遊ばせるように弾きます。

もともとこの曲が持っている浮遊感が さらに増して
平原を吹き渡る風のように
誰かを呼ぶ歌声のように
高く ひくく
遠い国の哀しみを抱きしめるように。。


チック・コリアのビブラフォンとピアノ、ストリング・カルテットのための作品から
「一番美しい曲」、Brasilia

小曽根さんの指が奏でるのは
ピアノのきらめき
ビブラフォンのゆらぎ
そして弦楽器の空気感

それらを慈しむようにサウンドさせ
いくつもの音の層を織り上げながら
たちのぼっていく旋律は
まるで
姿を変えながら夜空に舞う オーロラ。。



そんな夢の世界から引き戻された!

ラプソディー・イン・ブルーを

ひ と り で 弾 く!!!!!

ピアノもオケ・パートも全部!!!!

えええっ!と耳を疑いましたが
小曽根さんはホントにやってのけたのです~♫

まじ、凄かったっ!
神業っ!

たまにアレンジもので弾く人はいますが、そーゆーレベルじゃなく、
もう、オーケストラの全部の音を網羅してますからっ!
もちろん、ピアノだって
だって
だって!

真・剣・勝・負!!

即興もバッシバシ決まって、爽快!
なんて気持ちが良いことでしょう~♫

しかし、途中 キメの和音を弾いた時に
終わったと勘違いしたお客さんが拍手をw
小曽根さんは客席の方を見てニヤリと笑い(会場からも笑い声が)
また続きを弾き始めます。
(余裕ってスバラシイ~!)


そして、小曽根さんがこの曲で1番好きだという 柔らかなメロディー。
好きなのに、そこはオケが演奏するところなんだ。
でも、
この日は そこもピアノで。
心をこめて弾かれた旋律は なんて見事なこと・・。

それは
大空にかかる虹の架け橋

それは
未来へ続く道。。

そして さらに超絶な壮絶な場面が繰り広げられる。
滝の大瀑布のような怒濤のピアノ!
オーケストラのTuttiよりも凄い迫力だっ!!


大喝采!!


小曽根さんは弾き終わった瞬間、
やり遂げたーという安堵感をにじませ、ちょっと脱力。
でもすぐ客席に向かってにこやかな笑顔です。

ああ、すさまじかった。。
すさまじくて 潔くて かっこよかった!
うん うん、これが聴きたかったんだよね、と密かに頷く私でした。







アンコールは、小曽根さんが音大で教えている学生さんがステージに呼ばれてプレイ。
ジャズ・ミュージシャンは人のコンサートに行く時は楽器を持っていくのが「マスト」なのですって。
彼はちゃんとサックスを携えて来ていましたよ。
小曽根さんのシカケに、なかなか乗れなかったけど、反応しはじめると楽しい演奏に。
客席から応援してまっせ!の温かい「気」が流れます~。





プロの演奏家になり、慣れてくると「オシゴト」として音楽をするようになり、
それは技術的には上手いのだけれど、
それ以上の「何か」が伝わって来なくなる人が多いように思います。

若い人が挑戦するコンクールや、もう少しでプロになれそうな人の
ひたむきさ、熱意。
大げさに言えば命をかけて音楽をするような、そんな気概は
プロにドップリつかっている人から感じられなくなってしまうことがあります。

こういう「オシゴト」にはこういう対応、というようなものが
見えて(聴こえて)しまう時ほど悲しいことはありません。

だから、演奏が多少危うくても
音楽を愛する心や、音楽に真摯に向き合ってい人の演奏は
聴いている人の心をうつのです。





この日は 小曽根さんの真剣勝負が聴けて
ほんとうに 嬉しかったな。。































































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gillman

シビックホールでしたか、またしても逃してしまった。小曽根さんのWalz for Debby聴きたかったなぁ。
先日久しぶりにアシュケナージ指揮のN響でラフマニノフのピアノ協奏曲#3を聴きました。ピアノは若手のアブドゥライモフでしたが、良かったです。午前中にゲネプロを観られたのも嬉しかったです。
それにしても小曽根さんのコンサート残念。
by gillman (2014-07-04 16:39) 

Halumi

gillmanさん♪
ラフマ3番、ラジオの中継で聴きました!gillmanさんはナマで聴いていらしたのですね。やはり、実際に足を運ぶと良い時間を過ごせますね。
小曽根さん、この日は凄く気合いが入っていて、音にもそれが現れていて、本当に凄かったです。プロになっても常にチャレンジャーであってほしいと思っています。
次の機会には是非、聴きにいらして下さいね!
by Halumi (2014-07-04 23:26) 

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