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Érard Piano          [コンサートの記憶]

エラールの午后
       ~サントリー 小ホール



梢をゆらす風

どこまでも続く草原

軽やかにステップを踏みながら

昔から伝わる歌を口ずさむ。。









(出演 )
ピアノ:トマシュ・リッテル(第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝)

ヴァイオリン:原田陽、堀内由紀
ヴィオラ:廣海史帆
チェロ:新倉瞳
コントラバス:今野京

*使用ピアノ:サントリーホール所蔵のエラール(1867年製)

(プログラム)
ショパン:
ポロネーズ第14番 嬰ト短調
2つのポロネーズ 作品26
4つのマズルカ 作品33
バラード第4番 ヘ短調 作品52
ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21(室内楽版/ケナー、ドンベク 編曲)

(アンコール)
ショパン:ピアノ協奏曲第2番より 第2楽章




'19Juneリッテル2.jpg






ピアノの高音部の繊細な音色を
絶妙なコントロールで操る。
軽やかに軽やかに
羽がはえたような音の粒が舞い上がり
ショパンがかいた装飾音になって
空気の中にとけていく。。

そしてバスのふくよかな響きは
音楽に安定感を与え
独特のハーモニーを際立たせる。



モダンピアノとは全く違った音色の楽器は
その構造や特性を知り尽くした演奏家によって
ほんとうに生き生きと歌う。

透明感のある響きは
あくまでもクリアで清々しい。
ショパンの非和声音はモダンピアノだと
おどろおどろしくなりがちだが
エラールのピアノにはそれが無い。


それにしても
なんというセンスだろう!
ポーランド人だからこそ弾ける歌い回し、そしてリズム感。
これこそがショパンのマズルカ!

旋律からは、ポーランド語の歌詞が聴こえてくるよう。
呼吸やステップの微妙な「ため」具合には
いちいち納得させられる。
まさに、他の国の人には真似の出来ない音楽。

聴いているうちに
あまりにも幸せすぎて
いくども
涙がこみ上げる。。





'19Juneリッテル3.jpg





後半のピアノ協奏曲は室内楽版で。
BCJにも度々登場する弦楽メンバーたちは
もちろん、ガット弦のピリオド楽器での演奏。
エラール・ピアノとの音色にも
本当に良くマッチしている。

そして全員が凄腕!!
演奏技術がハイレベルのはもちろん
アンサンブル能力の高さにはマイッタ!
ピアニストも含めて
お互いを聴く耳、空気の読み方が凄すぎる~w

端正な第1楽章
優美な第2楽章に続き
第3楽章は それこそ丁々発止の駆け引きの連続に
息をするのも忘れるくらい。


アンコールは第2楽章が再演されたが
全く別の音楽づくりになっていてビックリ!
ピアノが方向性を示すと
弦楽はそれを察知して寄り添っていく。。
ほんとうに見事!
ライブはナマモノ。
二度と同じ演奏はない。
でも、それを自ら仕掛けていくリッテルくんに喝采!!



'19Juneリッテル1.jpg
                      (この写真はweb上からお借りしました)







トマシュ・リッテルくんは
昨年のピリオド楽器によるショパンコンクールのライブ配信で知った。
他の追随を許さない、抜群の安定感と存在感が印象的だった。
でも、生演奏はそれにプラスして非常に繊細で優美で
感性のほとばしる、素晴らしい演奏に心を奪われた。

(あのコンクールは、えええ・こんな人が入賞?というような裏事情を垣間見てしまい
 ちょっとザンネンに思ったけれど、リッテルくんの優勝は、もう誰にも文句言わせんっ
 というような他を圧倒する演奏であった)

コンクールの時と同様、この日も大変に落ち着いていて
風格さえ感じられるくらいだったが
なんとっ 1995年生まれっ!
すごいなあ。

ところで
この日の楽器は、ホールが所有しているもので
「ピリオド楽器があるから弾いてね」という企画だった(ホントか?w)けど
ショパンが好きだったのはエラールよりプレイエルだったようだ。
繊細な音色が特徴のプレイエルは
身体が弱いショパンが弾きやすい楽器だったとか。
リッテルくんの弾くプレイエルも聴いてみたいなあ。

いずれにせよ
作曲家が生きていた時に聴いていたであろう音色が再現されるというのは
ファンタジーをかきたてられるね。

















































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