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BCJ 復活!!    [コンサートの記憶]

バッハ・コレギウム・ジャパン 第137回定期演奏会
  三大宗教曲を聴くⅠ マタイ受難曲BWV 244(夜公演)
             ~東京オペラシティ コンサートホール


指揮:鈴木雅明

福音史家:櫻田 亮
イエス:加耒 徹
ソプラノ:森 麻季、松井亜希
アルト:青木洋也、久保法之
テノール:中嶋克彦、谷口洋介
バス:浦野智行、渡辺祐介

合唱&管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン


'20Aug BCJ1.jpg    
                   (この写真はweb上からおかりしました)



呼吸を合わせ音を紡ぐ!
音楽する喜びに溢れた
テンション高い演奏に深く心を打たれる。

受難の物語が目の前で繰り広げられ
ともに祈り 
幾度も涙する。


演奏者と聴衆が同じ空間で響きを聴く
それは 
こんなにも貴く
こんなにも愛しい。。





当初、4月の聖金曜日に行われるはずだった公演。
8月に延期が決まった時は、誰もが「8月になれば」と思っていた。
しかし、事態は収束に向かう様子がなく
リスクを回避するために様々な手段がとられた。

完売だったという入場者を半数にするために、昼夜2公演とする。
そのために販売済みのチケットを回収し、新たな席配置を決める。

ステージも演奏者同士の間隔を開けるため人数を減らす。

本当に大変な労力だ。

しかし、
どんなに大変でも公演をやり遂げる!
音楽を止めない!!






'20Aug BCJ3.jpg


こうして実現した舞台は、今までの「マタイ受難曲」の配置とは全く異なっていた。
合唱と管弦楽の位置が逆になり、合唱が前。
歌手の前には飛沫防止の大きなアクリル板。
「マタイ」は2つのオーケストラで演奏されるので
通奏低音も2つのグループとなる。
しかし、オルガンとチェンバロを設置するスペースがないので
1台のオルガンが両方の通奏低音を演奏することに。
つまり、休みなく弾き続けるというわけだ。
奏者はもちろん優人さん!




さあ、本番だ。

管弦楽、そして合唱が奏でる清明な響きに耳を奪われる。

透明感のある澄んだ音は
絹糸のように輝き
柔らかでいて強靱な
透かし模様の布を織り上げていく

奏者ひとりひとりが
音楽の僕となり
命をかけて音を紡ぐ

途切れることのない緊張感の中
ドラマティックに展開する物語は
時が経つのを忘れさせる(3時間超えの長尺なのに!)



BCJが聴衆の前で演奏するのは、実に5ヶ月ぶり。
30周年を記念してのヨーロッパ・ツアーがコロナ禍で殆どキャンセルになり
その後の日本での演奏会も中止に。

だから、
演奏が叶わなかった辛い時期を過ごしてきた奏者達の
音楽に対する強い気持ちが満ちあふれ
これまで以上の熱いパフォーマンスが繰り広げられたのだ。




特にエヴァンゲリスト役の櫻田亮さん!
物語の狂言回しなので、ずっと出ずっぱり。
昼夜2公演をエネルギーいっぱいに歌いきった超人です(凄~

そして、イエス役の加耒徹さん!
ああイエスってカリスマだったのだ、と納得してしまう。
深い思考と情感を持つ人の
複雑な心の動きが見事に表現されていて涙。。

今回、驚いたのは森麻季さん。
バロックはあまり似合わないかなと感じていたのだけれど
アリアとともに合唱も全曲歌うという奮闘ぶり。
BCJの合唱の中で殆ど違和感がなく
アリアも抑制された表現が美しかった。

森さんが青木洋也さんと歌った合唱付きのアリアもステキだったけれど
マタイといえば Ergarme dichi 憐れみたまえ でしょう。
ペテロが「そんな人のことは知らない!」と否認した時
イエスが予言したとおり鶏が鳴く。
激しく泣くペテロ。
そこで歌われるアルト・アリア。
青木洋也さんの、この世のものとは思えない美しい歌声が
広い空間に すうっとのびていく時
哀しみの旋律なのに
あたたかな幸福感に満たされる。。


渡辺祐介さん、松井亜希さんはじめ
アリアを歌った人はとても素晴らしくて、
外国人のソリストを呼ばなくても
こんなにクオリティの高い公演が出来るのですねえ。
まさにバッハ・コレギウム・ジャパンのネーミングの通り!
(今後もこれで行きましょう~w)

それは管弦楽も同じ。
チェロの鈴木秀美さん、コンミスの若松夏美さんは
彼らに任せておけば絶対大丈夫というBCJの昔からの中心的存在。
2公演弾きっぱなし(また言ってるw)の優人さんを筆頭に
全員の技術はもちろん、アンサンブル能力の高さが半端ない。


合唱も管弦楽も
長年一緒に演奏してきた信頼関係があるから
少人数になろうと、配置が変わろうと
最高の音楽を生み出せるのでしょう。


そうそう、今回は字幕があったのも良かった。
今までの公演では販売されたプログラムに歌詞と対訳が載っていたけれど
公演中は暗くて良く見えないというジレンマがあった。
ステージの左右に字幕が出ることで
自然に演奏に入り込んで聴けたのは嬉しかった。
今後もこれでおねがいします。(ここに書いてどうするw

そういえば、優人さんのインスタライブ(マタイ直前ゲリラライブw)に
オーボエの三ノ宮さんが出演して
「ソプラノ・アリアでオーボエ・ダカッチャからオーボエに持ち替える時が忙しくて大変」
というお話をしてました。
間髪を入れずに次の曲に行きたい指揮者の気持ちがあるそうで
それが年を追うごとに短くなっているとか。
本番で、その現場をしっかり見てしまい、笑いをこらえるのに必死~。




'20Aug BCJ2.jpg
                    (この写真はweb上からお借りしました)




終演。
もちろんスタンディング・オベーション!





今回も出しましたよ「ブラボー!」のパネル。
もうひとつ、バッハなので「Wunderbar!」というのも作ったのよw
しかーし!
演奏者の皆さん、だーれも気付いてくれなかったみたい(悲~



最後に不思議に思ったことを。
今回は2曲くらいパイプオルガンも使われていた。
でもね、オペラシティのオルガンは平均律で調律してあり
おそらくピッチもモダンだと思う。
それをバロックピッチで古典調律の管弦楽と
どうやって合わせたのでしょう??!
とっても謎でした。























































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