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Le Concerto en sol majeur    [コンサートの記憶]

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第352回定期演奏会                            
             ~東京オペラシティコンサートホール

(出演)
指揮:藤岡幸夫
ピアノ:角野隼斗*
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(プログラム)
M.ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
      ピアノ協奏曲ト長調*

黛 敏郎:シンフォニック・ムード
    :BUGAKU


(ソリストアンコール)角野隼斗(Pf)
G.ガーシュウィン:スワニー





千変万化のピアノに息をのむ!

柔らかくセクシーなモノローグ

キラキラと光る繊細な粒子。。





          (おことわり)ピアノ協奏曲の事だけを書きます。


'22May角野3.jpg

          

拍手の中、黒の蝶タイ・スーツ姿の角野隼斗さんが登場。
普通、ソリストや指揮者の通り道はステージの端なのだが
この日はオーケストラ奏者席の間を通るようになっていた。
角野さんは一瞬迷ったようだが、すぐに正しいw道を通ってピアノの前へ。
いつものように、深々と長いお辞儀。(とても好感が持てる!)
ウェーブのかかった、やや伸びた髪を右耳にかけている。
椅子に腰掛けながら高さの調節を少し。
気持ち良くピンと伸びた背筋。
指揮者と目を合わせる。

パン!!
鞭の音が鳴り響く!
ラヴェルのコンチェルトの始まりだ。

ピアノの鮮やかなグリッサンド!
管楽器が華やかに踊り出す。
それを制する柔らかいピアノ。
アンニュイで香り立つようなハミング。
柔らかく官能的なフレーズは
薄明かりにたなびく紫煙のよう。。

つかの間の幻影が消え
軽やかなピアノに先導されて
音楽が走り出す!

それが緩やかな流れになると
ピアノは羽音のように繊細なトリルを奏でる。

さあ、まっしぐらに終結へ!
ピアノの低音が地響きのように鳴る!
迫力のフォルティッシモ!!



ピアノの独奏で始まる2楽章。
清流のように運ばれていく音楽。
シンプルに聴こえるけれど
そこに絶妙なアゴーギグがある。
角野さんの鉄壁のテンポ感あってこそ
生み出される僅かなゆらぎ。
まるで清楚な花の香りのように。。

そして天空には
何億年もの昔から
星々が
その輝きを放つ。

この愛しい小宇宙に
永遠に留まっていたい。。





けれど、とうとう終楽章だ!
Presto!!
ピアノがオケをグイグイ引っ張る!
すっごいドライブ感!
そして
どんなに強打しても
どんなにスピードを上げても
粒立ちの良い音色は美しさを放つ。
最高のバランス感覚!

フレーズが波のようにうねり
弧を描いて踊る。
こんなにエキサイティングなラヴェルを
私は初めて聴いた!


角野隼斗さんの指が
鍵盤を操ると
かき留められた音符たちが
生命を宿し
たった今、生まれたかのように
新鮮な輝きをはらみ
歌い 踊る。
そうして
今まで見たことのない風景が
しなやかに立ちあがる。。




大喝采!!




熱烈な拍手が続き
何度もステージに呼び戻される角野さん。
もう一度、丁寧なお辞儀をすると
すっとピアノに向かう。
ピタリと止む拍手。
さあ、アンコールは?
アップテンポのストライドに乗って
懐かしいメロディーが始まる。
ガーシュウィンだ!
ラヴェルと接点があったという人の作品だなんて、心憎い。
ああ、なんてジャジーでカッコいいんだ♡






'22May角野4.jpg





この日の私の席は、ステージにかなり近く
しかも鍵盤が良く見えるところでした。
これまでも配信で手元はしっかり見ていたけれど
生で、こんなに近くで見るのは初めて。
角野さんが
今、ここで音楽を創り上げていく
その瞬間に立ち会い
同じ空間の中で呼吸を合わせる。
すごかったなあ。
まさに唯一無二の演奏!


終わってしばらくして、緊張が解けて
涙があふれてしまった。








'22May角野1.jpg

                (この写真はweb上からお借りしました)





そうそう、
アンコールの後も長く拍手が続き
指揮者がなかなか締めてくれないので
角野さんがオケを立たせる仕草をしてました。
ソリストがそんな事をやるのを初めて見たw
そのすぐ後に指揮者が合図を出したので、お開きに。

それにしても、これだけエキサイティングな演奏だったのに
終わると平然としている角野さん。
頭脳明晰な方は切り替えも早いのでしょうか。

聴衆の方が大興奮してましたねえw
コンチェルトの後の休憩時間、
ロビーは興奮で喧しいこと!

後半が始まりそうなので客席に戻ろうとした時、
廊下の先に見えたのは、なんと角野さんの後ろ姿!
驚いて固まってしまいましたよw
角野さんはスタッフに誘導されて
ステージ脇の扉の中に消えていきました。

私は、その扉の奥に向かって
「すてきなピアノをありがとう!!」
と叫んだのでした。
(心の中で♡































































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