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Mao Piano Recital      [コンサートの記憶]

藤田真央ピアノ・リサイタル
      ~サントリーホール

(プログラム)
ショパン:
ポロネーズ第1番嬰ハ短調Op. 26-1
ポロネーズ第2番変ホ短調Op. 26-2
ポロネーズ第3番イ長調Op. 40-1「軍隊」
ポロネーズ第4番ハ短調Op. 40-2
ポロネーズ第5番嬰ヘ短調Op. 44
ポロネーズ第6番変イ長調Op. 53「英雄」
ポロネーズ第7番変イ長調Op. 61「幻想」

リスト:ピアノ・ソナタロ短調S. 178

(アンコール)
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調Op. 1
チャイコフスキー:18の小品Op. 72より 第17曲変ホ長調「遠い昔」



'23Oct真央1.jpg


美しい抑揚で歌うポロネーズ。
1~7番通して初めて解る、
ショパンの真意の見事な表現に感動。。
間合いを取らず、次々に演奏された7曲は
まるで、ひとつの作品のよう。

ポロネーズは
飛び抜けて有名な6番「英雄」など
単独で弾かれることが多く
なぜ通して弾くのか不思議だったが、
聴いてみると
もしかしたらショパンは
通して弾くことを想定して書いたのでは?
と思うくらい!

特に、怨念とも思えるような曲想の5番から
「英雄」で華やかに弾けたエネルギー!
そして、アタッカで奏された「幻想」。
・・心の揺れ、時のはざま。。

そんな流れを
藤田真央さんのピアノは
柔らかな音色で
大切に表現していた。





その穏やかな空間が一変した
後半のリスト!

天使と悪魔が交錯する
ドラマティックな展開に釘づけ!!
もう、長尺があっという間!

千変万化の音色。
抜群のバランス感覚。

ブラヴィッシモ!!!




凄い集中力で大曲を弾いた後なのに
アンコールは
これまた超絶技巧のプロコ(凄~!

そして、ダブル・アンコールの
チャイコフスキーは絶品♡
藤田さんが弾くチャイコは
薫るような色合いが
本当にステキ♬♪




'23Oct真央2.jpg





満席のサントリーホールなのに
ピアニストが最後の音を弾き終えて
鍵盤から指を離し
向こうの世界から戻ってくる、
ほんとうの「終わり」の瞬間まで、
全くの
「無音」!!
空気のゆらぎさえも無い静寂。
まるで真空状態。
永遠とも思える長い時間が過ぎ、
身動きしなかったピアニストが
ゆっくりと身体を起こすと
止まっていた「時」が動き出す。

・・喝采・・!


あの長い静寂・・
藤田真央さんの音楽に対する強い想いが
オーディエンスを集中させ
全員の気持ちが
ひとつになって生まれた
奇跡のような時間を
私は決して忘れないでしょう。。




オーバーサイズのような
黒の上下に身を包んだ藤田真央さんは
おぼつかない(ように見える)足取りで
ステージに登場すると
お辞儀もそこそこに
持っていた黒っぽいタオルハンカチを
ピアノの中にポンと放り込み
あっという間に弾き始める。

そして演奏が終わると
お辞儀した?というくらいの
カンタンな礼をして
さっさと引き上げてしまう。
演奏が気に入らなかったのかしら?
と心配するくらいだけど、
再び登場した時は
満面の笑顔でお辞儀を繰り返す。

弾いている時の集中力の凄さは
何かが降臨したかのよう。
音楽の神さまと
交信しているのかも?

弾き終わると
まるで、憑き物が落ちたようにw
まさに天才なんですね!

藤田さんは
作品をあらゆる角度から
とても深く読み込み、
それを、どう表現するかを熟考しつつ
丁寧な練習を重ねているのでしょう。
天才であっても
努力を惜しまない。

たとえばショパン。
表現しようとするあまり
ポロネーズのリズムはどこ?
と思うような場面も。
それが個性的な解釈と
前向きに聴ければ良いけれどね。
その点、
ジャズもプロの
ゲルシュタイン先生に師事しているから
これから、どんな風に深化するか。
若いピアニストの未来が
とても楽しみです~♪♬























































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