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Piano’s Monologue 第1回       [コンサートの記憶]

亀井聖矢  ピアノ リサイタル
     ~オーチャードホール

(オール・ショパン・プログラム)
スケルツォ 第4番 Op.54
24の前奏曲 Op.28 より 第1番
3つのマズルカ Op.59
  第36番 a-moll 第37番 As-dur 第38番 fis-moll
3つのワルツ Op.34
  第2番 As-dur 第3番 a-moll 第4番 F-dur 
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22

ソナタ 第3番 h-moll Op.58

(アンコール)
ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53 〈英雄〉




'23Oct亀井4.jpg


ショパンの作品を
三種類のピアノで弾き分ける。
なんて意欲的な演奏会でしょう!

ステージには3台のピアノ。
手前からエラール(1811年製)、
スタインウェイ
そしてプレイエル(1843年製)。




開演前のステージ付近は
かなりの人がピアノを撮影しています。
写真OKなのは嬉しいですネ。

ところで、このピアノの位置は
本番中に何度も入れ替えがありました。
ピアニストが演奏する楽器を中央にして
他の2台は後方に待機させるため。

後ろに下がった楽器も蓋が全開になり
反響板の役割を担います。
スタッフの方々、ご苦労さまでした!


さて、開演。

まずはスタインウェイでスケルツォ4番。
若さあふれる、華麗な演奏!

そして、亀井聖矢さん自身による解説。
「プレリュード1番を三種類のピアノで弾きます。」

同じ作品を弾いてくれるとは!
ピアノの違いが良く解りますね。
スタインウェイ・エラール・プレイエルの順。
だんだん古い時代に遡るわけです。

タッチも音の鳴り方も違うので
弾き分けるのは至難の業のはずなのに
亀井さんは瞬時にコントロールして
エラールとプレイエルから
ピュアな音色を引き出す、
本当に素晴らしい演奏です。



続いてプレイエルでマズルカを。
マズルカらしい
とても細やかな音楽づくり。
ショパンの息づかいが
聴こえてくる。。


ワルツはエラールで。
少しモダンピアノに近づいた楽器で
華やかに、そして気品を持って。



'23Oct亀井2.jpg




解説を聞いていると
亀井さんが
ショパンの人となりと作品を
深く勉強していることが解る。

そして、ピアニストならではの
楽器に対する印象が聞けたのも良かった!

「ショパンが指示した手の置き方をすれば
 自然に良い音がでてくれる」
「楽器によってテンポが違ってくる」
他に、指先のコントロールのことや脱力など
ほー、ナルホド!
と思ったお話が沢山。


前半最後のアンスピと後半のソナタ3番は
もちろん、スタインウェイで。
その スケールの大きいこと!

一つ一つに存在感のある音。
どんなにアップテンポでも
全てがクリア。
大ホールに響きわたる
充実したハーモニー。

熱いエネルギーがはじける、
ソナタ3番は圧巻!!



'23Oct亀井1.jpg



さあ、アンコール!
「英雄ポロネーズを弾きますが
 どの楽器で弾くか、皆さんに決めてもらいたい」
おお~!
拍手の大きさで決まるとあって
私はプレイエルの時に盛大にたたきましたよw
英ポロをプレイエルで聴ける機会は
今後あまりないと思ったので。
プレイエルの拍手がダントツに大きく、
みんな考える事は同じ?w
めでたくプレイエルで聴くことができました♡

プレイエルの弦はストレートに張ってあるので
響きがとても素直。
でも、構造上 連打がしにくい。
鍵盤の返り方に敏捷さが欠けるのです。
なのにっ!
生き生きとしたテンポで
軽やかにキメる亀井さんっ!!
左手のオクターブ旋回を
こんなスピードで聴いたのは初めてだ(凄~!
そうか、ショパンは
こう弾いてほしかったのだな、と
思わず納得。

爽やかな英ポロに大喝采!
スタンディング・オベーション!


↓↓ 大活躍のプレイエル。

'23Oct亀井3.jpg



このリサイタルは
Piano's Monologue の第一回でした。
第2回は室内楽。
そして第3回は協奏曲。
亀井聖矢さんの
オール・ショパンの旅は
まだまだ続きます。

これまで亀井さんは
爽快にカッコ良くキメる
超絶技巧の作品が得意わざ。

'22に亀井さんが優勝した
ロン・ティボー国際音楽コンクールでは
審査員の中に
「テンポが速すぎる」
という意見があったようですが
「全ての音がクリアに聞こえている」
と、高評価だったそうです。

亀井聖矢さんは21歳。
生まれた時には
既にインターネットの世の中。
そんな若者のテンポの感覚が
昔と違っていて、当然です。

でも、今回は
最速の交通手段が馬車!という時代の作品。
それを当時の楽器で演奏したことで
感じるもの、得るものが
大きかったに違いない。
今後の演奏にどう影響するか、
興味は尽きません。





























































      
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