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Jazz meets Classic 2020           [コンサートの記憶]

小曽根真 “Jazz meets Classic”
        ~東京文化会館 大ホール

(出演)
ピアノ:小曽根真
指揮:太田弦
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

(プログラム)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K488
小曽根真:ピアノ協奏曲「もがみ」

(アンコール)
(前半)小曽根真:MO’S NAP
(後半)小曽根真:Where Do We Go From Here?





空気を震わせる
ピアノとオーケストラの響き!
心にダイレクトに飛び込んでくる
これが
ナマの音楽だ!!


ステージで奏でられた音楽が
美しい弧を描いてホールを舞う

それに呼応したオーディエンスの
熱いエネルギーが
奏者に向かって流れていく

ホールの広く高い空間に
エモーショナルな虹色の霧がうずまく。。

・・いつか小曽根さんが
ライヴでは弾き手と聴き手の間に
そんなやりとりがあると教えてくれたけれど

この日
私はそれを 確かに 見た!
極上の時間の中で。。




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弦楽が奏でるモーツァルトの優美な旋律。
それを全身で受け止めるピアニスト。
やがて同じ旋律をピアノが歌う
それは美しいコンチェルトのはじまり。。


K.488は2・3楽章にカデンツァがなく
第1楽章のそれはモーツァルトによってかかれている。
でも、小曽根さんはモチロン自分の即興。
ところどころにジャズ風の和音がちりばめられ
でも、いつもよりコンパクト。
ちょっと遊びに行って来ましたってユーモアを込めて。

だから、そのすぐ後の
愁いを含んだ第2楽章が
どんなに優しく響いたことか。
まるで歌い手が歌っているように
歌詞さえも聴こえてきそう!

さあ、アタッカで第3楽章。
快速なテンポでも
音楽はモーツァルトから逸脱することなく
美しいバランスを保って
優雅な旅を終える。。



前半のアンコール曲「MO’S NAP」は
小曽根さんのオリジナルで、モーツァルトのお昼寝。
この日はクラリネットとピアノそして弦楽による演奏。
あたたかな日差しの中で
まどろんでいるよう。。







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オーケストラの編成が大きくなる。
ピアノ協奏曲「もがみ」!


きらきらと川面に反射する光を奏でるピアノ。
それに反応して森の木々をゆらす風のように
オーケストラが歌い出す。

山あいの道
谷にかかる橋

蕾がふくらみ 花が咲く
空をゆく鳥の羽ばたき
澄んだ淵には魚たちが曲線を描く

そんな風景が目の前に広がり
空気や香りまで連れてくる!


・・一転して哀切へ。
人々の営み
生きることの苦しみ
雪深い里の空は
冷たいモノクローム
声にならない叫び。。




けれど
生きていれば
きっと明日はくる。
大地の鼓動を聞け!
熱い血潮が身体を駆け巡るほど走れ!
天高く拳を突き上げるほど飛べ!



これは
クラシックとジャズが融合した
愛に溢れる叙情詩。

和の心が西洋の絵筆で描かれる
鮮やかな絵巻物。

小曽根さんの即興は気合いが入り
まさに迫真!

ああ、感動の涙が止まらない。。










2003年、私は「もがみ」の初演を山形で聴いた。
国民文化祭で演奏するために
今は亡き井上ひさし氏の依頼によって
小曽根さんが作曲した作品。

今回はオーケストレーションなど改訂版とのことだが
かなり印象が異なっていて驚いた。
音の層の厚さ、色彩、空気感
すべてが初回を上回り、圧倒された。

それは、アーティストの伝える力が
さらに強くしなやかになった事もあるでしょう。

いつも 前へ 前へ進んでいく小曽根さんを
深く尊敬するのです。



コンチェルトが終わり、マイクを持った小曽根さんが
感極まったようにお話されていたのを聞いて
また感動してしまった。

この日のプログラムは今年の2月に演奏するはずだったのが
リハーサル中に新型コロナのために中止になってしまった。
今回はその時の指揮者太田氏を迎えての演奏会になった。
けれど、今回も感染者が増加する中
また中止になるかもしれないという不安。。
だから、演奏することが出来て本当に良かった、と。

アンコールは
新しい世界への祈りと愛を込めて

Where do we go from here?


最後のAmenという終止の音が消えた時
私たちは
長いこと その静寂に耳をかたむけたのでした。。














それで、もうスタンディング・オベーション!

そうそう、今は「ブラボー」って叫んじゃいけないので
「ブラボー!」って書いたパネルを掲げたのw
小曽根さんが気付いてグッとしてくれて嬉しかったな♡






























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