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親子チェンバロ      [コンサートの記憶]

鈴木雅明&鈴木優人 2台チェンバロリサイタル
                ~紀尾井ホール


(プログラム)                  鈴木 雅明* 鈴木 優人**
J. S. バッハ:管弦楽組曲 第1番 ハ長調 BWV 1066(鈴木優人による2台チェンバロ編曲版)
      :フーガの技法 BWV 1080より コントラプンクトゥス I, VIII, XIII
W. F. バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲 ヘ長調

J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV 1004より「シャコンヌ」
                      (G. レオンハルトによるチェンバロ編曲版)*
フローベルガー:フェルディナンドIV世のためのラメント**
J. S. バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲 第2番 ハ長調 BWV 1061a

(アンコール)
C. P. E. バッハ:4つの小二重奏曲より第4番 変ホ長調 Wq. 115-4

                              


煌びやかな音色がホールいっぱいに響く!
ここはライプツィヒのカフェ・ツィマーマン?!

心躍る推進力
エキサイティングな対話と
鮮やかな着地!

まるでバッハ親子のコンサートが
目の前で繰り広げられているよう。。



'21March2台チェンバロ1.jpg





華やかなフランス風序曲は
コンサートのオープニングにふさわしい晴れやかさ。
緩急さまざまな組曲は
2台のチェンバロが調和してオーケストラのように鳴り響く。
それぞれのフレーズを奏でる楽器を熟知している二人は
まるで指揮をしているよう!
優人さんは後ろに座っている雅明氏を振り返りながらイキを合わせる。
もう、ほとんど楽譜を見ていない(凄~







'21March2台チェンバロ3.jpg
                  (この写真はweb上からお借りしました)






1曲目の後は楽曲解説(そうこなくちゃ
先に登場した優人さん「息子の方です」笑
やがて雅明氏も登場。
黒づくめの衣装でマイクの持ち方と腕の組み方もそっくり。
違うのは御髪の色くらいという、間違えようのない親子です。
バッハ家もそうだったのかしら~?

父バッハの厳めしい「フーガの技法」の後に聴く
長男フリーデマン・バッハの音楽は
時代が一つ新しくなった事を告げる。
優人さんは、楽譜がオランダに置いてあるとの事でタブレットを使う。
ほら、新しい時代だわ!

ところで、四声の曲を2台で二声ずつに分けて弾くと
各声部がクリアに聴こえる、と優人さんが言ってましたが
「そうそう!」と思わず声に出しそうになりました。(出さなかったけどw
実はこの前日、私も全く同じ考えでバッハの四声の曲を編曲して弾いたから。
しか~し!
いつも弾いている四声を三声にすると、指使いを全て変えなくてはならず、大苦戦(汗
こういう事をさらりとやってのけてしまう優人さんを改めて尊敬します。


後半はそれぞれの独奏がありました。
雅明氏は無伴奏ヴァイオリンのシャコンヌ。
「レオンハルトの編曲はチェンバロ的」と雅明氏。
本当に、こういうチェンバロ曲が最初からあったと思えるくらい!

そして
優人さんが亡き恩師に捧げたラメントに涙…
最後はほんとうに魂が天に昇っていくのが見えたようでした。


プログラムのおしまいはJ.S.バッハ。
かっきりした音楽が
この類い希な音楽家親子によって親密に語られる。
尊敬と信頼。
大きな包容力と未来を見据える眼差し。
2台の美しい楽器から紡ぎ出された音たちは
ホールの高い高い空間に舞い上がる。。


そしてアンコールに奏された可愛らしい小品に
親子の懐かしい時代を思う。
ホールになごやかな空気がゆれる。。




























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