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Nun komm der Heiden Heiland    [コンサートの記憶]

教会カンタータ・シリーズ vol. 79 待降節のカンタータ
                 ~神戸松蔭女子学院大学チャペル



空気を震わせる音の波!
地鳴りのように身体に伝わる振動!

奏者の熱い魂が
ダイレクトに飛び込んでくる!

そして長い残響音と静寂…。








(出演)
指揮:鈴木優人
ソプラノ:松井亜希
アルト:青木洋也
テノール:櫻田 亮
バス:ドミニク・ヴェルナー
オルガン:鈴木雅明*

合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン

(プログラム)
J. S. バッハ:オルガン小曲集より 《いざ来ませ、異邦の民の救い主》BWV 599*
      :トッカータとフーガ ヘ長調 BWV 540*
J. S. バッハ:カンタータ第82番《私は、満ち足りた》BWV 82 バス アリア
J. S. バッハ:モテット《歌え、主に向かい新しい歌を》BWV 225

ブクステフーデ: 《いざ来ませ、異邦人の救い主》BuxWV 211*
ルター:《いざ来ませ、異邦人の救い主》 テノール アリア
J. S. バッハ:《いざ来ませ、異邦人の救い主》 BWV 659*
H.シュッツ:《いざ来ませ、異邦人の救い主》SWV 301 小宗教コンチェルト集 Ⅰより
J. S. バッハ:《いざ来ませ、異邦人の救い主》BWV 660*
M.プレトリウス:《いざ来ませ、異邦人の救い主》「シオンのムーサたち」第5集よりNo. 52, 51, 55
J. S. バッハ:《いざ来ませ、異邦人の救い主》 BWV 661*
      :《いざ来ませ、異邦人の救い主》BWV 61

(アンコール)
鈴木優人:《いざ来ませ、異邦人の救い主》







'21Nov神戸3.jpg






にわかにパイプオルガンの演奏が始まる。
身体に伝わってくるビリビリとした振動と
聖堂を揺るがすような大音量。
これは一体、音楽なのか?
それとも天からの声?!

動揺しているうちに最初の曲が終わり
昨日、配信で聴いたばかりのトッカータが始まる。
けれど渦巻く音の洪水に翻弄され
同じ曲に聴こえない!

前日の、楷書のような生真面目な音の連なりは
配信により、さらにクリアに聞こえていた。

けれど、この聖堂の生音はどうだ!
これはピッチが半音低く、
調律法が異なるせい?
全く違う曲になってしまったかのよう。

そして、座っている席からはオルガニストが全く見えないので
ただひたすら、音楽を聴くのみ。

昔の人々が、パイプオルガンは神の声と感じたのが
本当に良く解る。


演奏を終えた鈴木雅明氏が
オルガン席から顔を出す。
柔和な笑顔。
下の階の客席から大きな拍手!


続いてオルガンと反対側の1階で演奏が始まる。
平らなフロアなので、奏者がほとんど見えない。

しめやかなオーボエの旋律。
そしてバスのアリア。
たゆたう弦楽につつまれて
ドミニク・ヴェルナーさんの温かい声が
安らぎの世界へいざなう。。



ここで優人さんのお話。
松陰チャペルならではのプログラムは
待降節にふさわしい、
Nun komm der Heiden Heiland(いざ来ませ、異邦人の救い主)づくし。
バッハの時代は、もっと寒い教会で
心あたたまる音楽を聴いたことでしょう。。





そうして演奏されたモテットは
歌う悦びに満ちあふれた合唱曲。

ふたつのグループの
華やかで力強い合唱に続き
4人のソリストが声を合わせる。
なんと優美なカルテット!
しなやかな歌声に夢心地。。
そうして再び合唱。
旋律は聖堂の中を駆け巡り
輝かしく鳴り響く。
まさにHalleluja!!








'21Nov神戸2.jpg




Nun komm der Heiden Heiland(いざ来ませ、異邦人の救い主)は
ラテン語の賛歌をドイツ語で歌えるようにしたもので
その旋律を元にして、多くの作曲家が創作をしている。
この日はパイプオルガンと合唱で様々な作品が演奏された。



あまりにも有名なバッハだけれど
その音楽がいきなり生まれたのではなく
先人からの道すじがあることが
バッハより100年ほど前の作曲家である
シュッツ、プレトリウスの作品を聴くと良く解る。

この日のプログラムに彼らの名前を見つけた時
私はどうしても聴きたいと思い、遠路はるばる訪れた。
そうして聴いた演奏は
予想を遙かに上回る、心打たれるものだった。

ことに、プレトリウスの見事だったこと!

いにしえの虚空から吹き渡る風
木々がざわめき
月明かりに
孤独なたたずまいがシルエットになる。。

・・ソリストたちが呼び交わす歌声は
心の奥に突き刺さる!





プログラムの最後は、前日にも演奏されたカンタータ。
奏者の気持ちが高揚し
前日よりもさらに熱い演奏が繰り広げられた。

やはり、このチャペルは特別!
ここで聴けて、ほんとうに良かった。。





さらに、アンコールが聴けるなんて
思いがけないプレゼント!
しかも、優人さんの作品で
以前「徹夜でかいた」という
「いざ来ませ、異邦人の救い主」による7声部のフーガ!

バッハから300年の時を経てかかれた音楽は
とても、とても新しく聴こえたのでした♪☆♬






・・写真や演奏の動画を見るたびに
いつか訪れたいと思っていた、このチャペル。

念願がかなって、ほんとうに幸せ。。





















































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