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イーゼンハイムの祭壇画      [アートに逢いに]

ついに来られたウンターリンデン美術館!

とうとう「イーゼンハイムの祭壇画」に逢えました。

感無量です〜。

イーゼンハイム12.jpg



・・もう10年くらい前になるだろうか。
ある祭壇画に惹き付けられはじめたのは。
何かの折にその画像を目にするたびに
いつか、それを観てみたい
と思うようになった。

「イーゼンハイムの祭壇画」は
フランスのコルマールという
アルザス地方の街にあることがわかってきた。
そして、そこは
宮崎駿さんの「ハウルの動く城」の
モデルになった場所という事が周知されるにつれ
旅行会社のツアーに組み込まれるようになってきた。
アルザスはワインの名産地なので
それを味わうのもツアーの目的。
ひとりで行くにはハードルが高いけれど
ツアーならば!

コロナ禍が収束し海外旅行が可能になった時、
私は10年越しの夢の実現に動き出した。


ツアーで大事なポイントは
自由行動が可能なことと
所蔵している美術館が休館日でないこと。

内容が満足できるツアーは割とすぐに見つかった。
それも、開催決定になっている!
私が申し込むと「満席」になった。
すべり込みセーフ!


「イーゼンハイムの祭壇画」を所蔵しているのは
ウンターリンデン美術館。
そこのサイトで入場チケットを購入。
スマートフォンで表示できるけど
心配なのでプリントアウト。


4年ぶりに海外行きの飛行機に搭乗し、フランスへ。
そして3日目。
いよいよコルマールだ。


コルマールといえば、ここ!
という写真スポットと
ハウルのモデルになった建物をしっかり見てw

        ⇒いつか行ける日#4(コルマール)

ウンターリンデン美術館へ!!



イーゼンハイム1.JPG


入り口で簡単な荷物検査。
受付でチケットを提示して入場。

地下へ行く階段を降りて右手へ行くと
展示室がいくつかあるが
それらしい部屋がない(汗

係の人に聞いたら
階段を降りた所で左手に行くことがわかった。
ひー!

気を取り直して、戻りましょう。

階段の所まで来て
左手の方のドアを開けると・・

イーゼンハイム2.JPG


修道院の中庭だ。

ここは、元は13世紀頃に建てられた
ドミニコ会の女子修道院。

中庭をはさんで反対側の部屋の扉を開けたとたん
目の前に
それが あった!


イーゼンハイム11.JPG


礼拝する人が見る祭壇画の絵は1画面で、
他の画面は閉じられているのだが
ここでは全ての画面が見られるように
バラして展示してある。


2022年に洗浄と修復を終えたばかり、とのことで
くすみが無く、色彩がとても美しい。




「イーゼンハイムの祭壇画」

イーゼンハイム13 (2).jpg


作者はマティアス・グリューネバルト(本名はMathis Gothart Naithart だが、
                 誤って公表された名前が通称になった。)
1470年~75年頃 ヴェルツブルクに生まれ。
1508年から1524年 マインツ大司教に仕える。
1528年ペストで死去。
ちなみに現代の作曲家ヒンデミットの「画家マティス」という作品は
マティアス・グリューネバルトのことだという。

当時、ライ麦に付くカビが原因の「麦角病(ばっかくびょう)」が流行。
聖アントニウスに祈ることで治癒するといわれた。
この祭壇画に聖アントニウスが描かれているのはそのためで
麦角病患者を治療する修道院にこの祭壇画が置かれたのだという。
その修道院は
コルマールから20Kmほどのイーゼンハイムという所にあった。




イーゼンハイム3.JPG



キリストの手が不気味なほど捻れていたり
身体に発疹が出来ているのは麦角病の特徴で
患者たちは、イエスさまも同じ苦しみの中にいる
と、自分を励まし、祈ったのだという。

この面が平日に開かれているが
日曜日はキリストの生涯
~受胎告知、降誕そして復活~
が描かれた面が開かれる。
その面は、悲痛な磔刑図と正反対で
聖書の物語が生き生きと描かれている。

イーゼンハイム9.JPG


受胎告知の天使ガブリエルの仕草
乙女マリアの表情など
まるで劇の一場面のよう。




そして
「ふっか~つ!!」という声が聞こえてきそうな
なんともユーモラスなキリストw

イーゼンハイム10.JPG

でも、日曜日にこの画面が開かれるのを
楽しみにしていた人も大勢いたに違いない。

復活した時は元気な身体になって
天国へ凱旋することを夢みて。。




幼子をくるんだ布が
磔刑のものとよく似ている。

イーゼンハイム8.JPG




おどろおどろしい場面は
麦角病の苦しみなのか。
とはいえ、
最近の映画に出てきそうなキャラがいっぱい!
いや、この絵から映画のアイデアを得たのかも知れない。

イーゼンハイム7.JPG

マティアス・グリューネバルトは
きっと心優しい画家だったに違いない。
麦角病の、腹が膨れたり手が壊死するという特徴を
どこかユーモラスに描き
天国に行くときは
復活キリストと同じように健康な身体になれるよ、と
希望を持たせてくれている。
あたたかな愛。。




最後の画面は木彫。
彫像はニコラウス・ハーゲナウアーの制作によるもの。
聖アントニウスの祭日の時に開かれたそうだ。

イーゼンハイム6.JPG




いつまでも この場に居たかったけれど
そろそろ行く時間(悲~

ミュージアム・ショップへ。

なかなか充実してる~、と目がキラン☆とした時
「閉める時間ですよ~」
と声を掛けられた。
出たっヨーロッパあるある!昼休みなのねん。

急いで図録と栞をつかんで会計。

イーゼンハイム14.jpg


この図録に載っていた、バラしていない状態の写真。

第二面

イーゼンハイム15.jpg



第三面

イーゼンハイム16.jpg



こちらはweb上からお借りした写真。
テラスのような二階席(一般の人は入れない)から
撮影したもの。

イーゼンハイム17.jpg

ここが修道院だったことが良くわかる。



そして、ウンターリンデン美術館も
こんなに素晴らしい動画を配信してくれました♡

https://x.com/munterlinden/status/1715654368995721379?s=46&t=MmBeQdPkqoKNWU0jjHQa9A












キャンパスなどに描かれた絵画が来日することがあっても
祭壇画や壁画は決して来てくれない。
それがある場所に行かなければ観られない!
そうすると、よけいに観に行きたくなってしまう。

これまで観たのは
ダヴィンチの最後の晩餐(ミラノ)
カラヴァッジョの聖マタイ(ローマ)
ヤン・ファン・エイクの神秘の子羊(ゲント)

そして、美術館所蔵の門外不出の数々の名画たち。

画家が描いた、その場の空気が
時空を越えて迫ってくる瞬間の
スリリングな興奮は
何ものにも替え難い。


「イーゼンハイムの祭壇画」への旅。
念願がかなって
最高に幸せだったよ。。

























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