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クルティシェフ [コンサートの記憶]


ミロスラフ・クルティシェフ ピアノ・リサイタル
               ~王子ホール

(プログラム)
シューマン:クライスレリアーナ Op.16
リスト/ホロヴィッツ:ハンガリー狂詩曲 第19番 ニ短調

ショパン:バラード 全曲

(アンコール)
チャイコフスキー:「主題と変奏」より 抜粋~ショパン風に
スクリャービン:エチュード Op.8-12







粒立ちの良い音が紡ぎ出す
知的でポリフォニックな音楽

そして
超絶技巧を駆使した圧倒的な技術

ピアノってこんなにも鳴り響くのだ!

本当に凄いバランス感覚。。


'19Octクルティシェフ1.jpg




クルティのリサイタルは本当に久しぶり!!

最初の1音を聴いた瞬間
どんなに その音色を、その音楽を待ち望んでいたか
思い知らされる。

全ての声部が見事に描き分けられ
歌い合い、織り上げられていく「クライスレリアーナ」。

旋律にロシアの風が感じられ
それが、とても彼らしくて好ましい。
きっとシューマンも納得してくれるよ。


次のリストは、もちろんバリバリの超絶技巧で
ピアノという楽器はこれくらい弾ける人のものなんだな
と思ってしまうくらい。
ホントに、私なんかが弾いててゴメンナサイ~
そしてクルティときた、ら全く汗もかかないのだから!
(リサイタルが全部終わった時にもホントに涼しい顔でしたよ)




'19Octクルティシェフ2.jpg






そして
私にとって唯一無二のショパン!!

クルティシェフを初めて聴いたのは
2010年ショパンコンクールのライブ配信。
しばらくの間、彼が弾くショパン以外は聴けなかった。

最近、ようやく他の人の演奏も聴けるようになったけれど
この日の「バラード」全曲は
やはり特別だった。

なにしろ、左手が本当に雄弁!
音楽はバスの上に構築されているのだ。
ハーモニーの豊かな移ろいも
自由に歌うメロディーも
バスがあってこそ。
そのことを誰よりも表現しているのがクルティシェフ。

ペダルはかなり使っているのに
全ての音がとてもクリア。
ロシア奏法を体現できる
大きな手と強靱な指。
本当に身体の使い方が上手い!


まるでオーケストラの演奏のように
様々な音色が細部のフレーズを際立たせていく。
だから
「こんなフレーズがあったのか!」
と、何度驚いたかわからないほど。



そして、とても嬉しかったのは
以前より更に音色のパレットが増えて
繊細な表現が深まったこと。

もちろん、
抜群のテンポ感(これこそ最初に聴いた時に惚れ込んだ理由!)で
推進力のある演奏を繰り広げていくのだけど
情緒あふれる瞬間がふえたことで
豊かで深い音楽を聴くことができた。

フレーズの最後の音が放物線を描き
まさに あるべき場所に着地する
その醍醐味!
それがさらに洗練されていて
胸がいっぱいに。。





次のリサイタルが
今度は間をおかずにありますように・・(祈)




































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