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BCJのクリスマス      [コンサートの記憶]

サントリーホールのクリスマス 2019 with バッハ・コレギウム・ジャパン

(出演)
オルガン:鈴木優人
トランペット:ギ・フェルベ
指揮:鈴木雅明
合唱:バッハ・コレギウム・ジャパン

(プログラム)
【クリスマス・キャロル】
トラディショナル:「ことばは肉となった」(ソプラノ・ソロ)
ダカン:オルガンのための新ノエル集から第1番(オルガン・ソロ)
トラディショナル(鈴木優人 編曲):「いけるものすべて」
ダカン:オルガンのための新ノエル集から第2番(オルガン・ソロ)
J.S.バッハ(鈴木優人 編曲):「まぶねのかたえに」BWV469
ダカン:オルガンのための新ノエル集から第3番(オルガン・ソロ)
グルーバー(鈴木優人 編曲):「きよしこの夜」
トラディショナル(鈴木優人 編曲):「もろびと声あげ」(女声合唱)
イギリスの古いキャロル(鈴木優人 編曲):「まきびとひつじを」
クラーク(ギ・フェルベ 編曲):組曲 ニ長調 より「行進曲」「セレナーデ」「メヌエット」
               「ジーグ」(トランペット&オルガン)


ダンドリュー(ギ・フェルベ 編曲):「ノエル集」より第20番「マリアの愛のためにノエルを」
                    (トランペット&オルガン)
メンデルスゾーン(鈴木優人 編曲):「あめにはさかえ」
トラディショナル(鈴木優人 編曲):「神の御子は今宵しも」
鈴木優人:キャロル・メドレー2012 町の片隅の飼馬桶のなかで~天なる神にはみさかえあれ~
                 ディン・ドンほがらかに
ダカン:オルガンのための新ノエル集から第6番(オルガン・ソロ)
ヘンデル:「アン王女のためのオード」HWV74より「聖なる光の永遠の源」
                    (ソプラノソロ・トランペット・オルガン)
ダカン:オルガンのための新ノエル集から第7番(オルガン・ソロ)
シャイト(鈴木優人 編曲):「優しくも愛らしく」
ダカン:オルガンのための新ノエル集から第10番(オルガン・ソロ)
トラディショナル(鈴木優人編曲):「ひさしくまちにし」
ダカン:オルガンのための新ノエル集から第12番「スイスのノエル」(オルガン・ソロ)
トラディショナル:「ことばは肉となった」(三重唱)
J. S. バッハ:パストラーレ ヘ長調 BWV 590(オルガン・ソロ)
トラディショナル(鈴木優人 編曲):「もろびとこぞりて」

(アンコール)
きよしこのよる


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                     (この写真はweb上からお借りしました)



Verbm caro factum est de Virgine;

Verbm caro factum est de Virgine Maria.・・・




ソプラノのソロが優しく物語へといざなう

やがて夕闇せまるころ

空にまたたきはじめる星たち。。



合唱とパイプオルガンが奏でる生誕劇が始まる。



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                 (この写真はweb上からお借りしました)


美しい合唱は
無垢な心を呼び覚ますように
透き通ったハーモニーを奏でる

ソプラノソロに耳を奪われ
三重唱に茫然とする

懐かしさと切なさ
この世の全てが愛おしい。。




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BCJのクリスマスコンサートは2年ぶり。
数年間、キリストの生誕劇とともに
合唱とオルガンの演奏会が催されていたのが
去年はなくて寂しかったのです。

今年はそれが復活!
この日のプログラムは
優人さん編曲のCDキャロル集に収録されている曲順。
そして、その真ん中に
トランペットとパイプオルガンの素晴らしいデュエットが演奏されました。

トランペットはオリジナル楽器。
ナチュラル・トランペットと呼ばれ、現代のトランペットのようなピストンがありません。
唇だけで音程を操作するなんて、凄いですね!


ところで、
このサントリーホールのパイプオルガンはA=442Hz。
しかも古典調律ではないそうです。
これは現代のオーケストラとも一緒に演奏できるため、とのこと。
ちなみに、CDに収録されている松蔭チャペルのオルガンは
A=435Hzと記載がありました。
CDで聴くと暖かみのある音色が印象的。
サントリーのオルガンはちょっとスタイリッシュかな。

ナチュラル・トランペットはオルガンのピッチと調律に合わせて演奏していたのですね。
すっごい技術だなあ。





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それにしても、優人さんのパイプオルガン独奏の見事だったこと!
オルガンは曲ごとにレジストを変えますが、
まるで違うオルガンに変身したように聴こえてビックリ!
たとえば、様々な教会を旅しているようにね。

優人さんはヨーロッパのいろいろな教会で
パイプオルガンを演奏しているから、
音色の確かなイメージを持っているのでしょう。
それを再現してくれたようで、本当に楽しかったなあ。。



そしてアンコールの「きよしこのよる」を皆で歌って感動!
優人さんが弾くオルガンで歌えるなんて(うるうる)♡

こんなステキなコンサートを聴けば
誰だって幸せな気持ちになるでしょう。

近くの席でずっと文句を言い続けていた(気に入らない事があった模様)人にも
優しい思いが伝わりますように。。。







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メサイア!!    [歌にたくして]

高いマストの

美しい帆船で

大海原へ漕ぎ出そう!


今まで誰も

行ったことのない世界へ

今まで誰も

聴いたことのない音楽の時間へ。。





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                        (この写真はweb上からお借りしました)



初めてのヘンデル「メサイア」。

いつものように楽曲分析をすると
バッハのような難しい対位法がなく、とても解りやすい。
旋律も親しみやすく、
ソリストだけでなく合唱が活躍する曲が多い。
そして合唱の4声部それぞれに聴かせどころがある。
200年以上も昔の曲なのに
今も毎年、数多くの演奏会が行われている理由が解ってきた。
さすがヘンデル!
イタリアで学んだオペラの手法を
イギリスへ持って行き大成功を収めた作曲家ならでは。


この素晴らしい音楽を自信を持って歌えるようにしたい!
それには練習しかない。

しかし、他の合唱もあるので
練習している曲が なんと50曲以上!!
日々の練習時間を増やしても
なかなか思うように成果が出ない。


ところで、女声合唱ではメゾソプラノだったが
それは今までの混声合唱とは全く異なり
とても高い声が必要だった。
これにはマイッタけれど
発声の丁寧な指導を受け、練習するうちに
声域がぐんと広がった。

その女声合唱の演奏会が終わってからの3週間。
あらためて「メサイア」に向き合うと、
まあなんと楽に声が出ること!

しかも「メサイア」のオケはオリジナル楽器なので
ピッチがA=415Hz。
家のチェンバロで音を確かめながら自主練するのだけど
おそろしく低いっw


しかし、そんなふうに懸命に練習しても
まだ何かしっくり来ない。
それは言葉!
ヘンデルは歌詞を全て聖書から引用した。
英語だから意味はわかるけれど
聖書となると、ハナシは別。
さまざまな歌詞の対訳を読むが
どれも難解。

そして、ある日
ヘンデルが引用した聖書の箇所について
詳しく述べている解説に行き当たった。

切望された救い主の誕生から受難、
そして復活へ続く物語を
旧約聖書のイザヤ書、詩篇
新約聖書の福音書などから引用し
どのように組み合わせて音楽にしていったのか。

それを読んで、この劇的な作品の全体が
絵巻物のように目の前に広がった!

今年の夏に訪れたベネルクス各地の教会。
聖堂の装飾や祭壇画の聖書の場面。。
音楽はまさに
それらを表現していたのだ。

納得すると、身体の中に音楽がすうっと入ってきた。
あとは確信をもって歌うだけ!


    (この解説は去年の演奏会で配られた船木弘毅氏によるもの。
     解説では「信仰告白のオラトリオ」とされている)




オーケストラとの合わせ練習。
メンバーの中にBCJなどで活躍中の古楽のスペシャリストたちが!
彼らの素晴らしい演奏とともに
青木洋也先生の指揮を見ていると
どんな音楽を創ろうとしているのかが
本当に良く解る!

ここへ至るまでの練習で
青木先生が細部にわたって伝えてくれた決めごとが
具体的になって立ち現れる。

「新しいメサイアを創ろう!
 今まで なかった 
 ここでしか聴けないメサイアを!」





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                     (この写真はweb上からお借りしました)



そして、本番!!

自分の中に取り込んだ「メサイア」がホールの空間に舞っていく。

悦び 哀しみ 怒り
そして歓喜。。
さまざまな感情が豊かに表現されていく。
なんて充実した音楽の時間だったことだろう!






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               (今回は弾き振り!だったのではありませんw)


「メサイア」はヘンデルが毎年のように再演しましたが、
その時によって版が異なります。
今回は1754年版で、ソプラノのソリストが二人。
なので、アルトのアリアが少なかったのでした。
アルト・ソロ、客席で聴きたかったなあ。。
テノールとのデュエットなんて、超絶かっこよかったもの。


ところで、この合唱団には「メサイア」が大好きで
何十回も(!)歌っている方が沢山いたので
初心者の私も本番で心おきなく歌うことが出来たのです。
本番に向けての練習が始まった10ヶ月前、
もう既に曲が出来上がっていたと言っても良いくらい。
だから、指導者の先生方もとても和やかでした。
追いつくのに必死な私!


実は「メサイア」はベルリンで歌うはずでした。
せっかく行くなら、ちゃんと歌いたいと思い、この合唱団に入ったのです。
ところがっ
ベルリン行きは募集人数が満たず、流れてしまったのです(悲。。

でもね
フィルハーモニアでは歌えなかったけど
これだけ綿密なリハーサルが出来たし
青木先生のテンションマックスな指揮にガチで反応できたし♡
知り合いも大勢聴きに来て、褒めてもらえたし
大満足でありました~♪♫♪


































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Infanta Margarita Teresa         [アートに逢いに]

ハプスブルク展
     ~国立西洋美術館


17世紀スペインの画家 ディエゴ・ベラスケスの晩年の作品、
「Infanta Margarita Teresa(王女マルガリータ)」

青いドレスに身を包み、気品あふれる立ち姿。
王家に生まれた運命を受け入れ
おそらく生涯を毅然と生きたにちがいない。


ベラスケスは宮廷画家として王族の肖像を多く描いた。
マルガリータ王女が幼い時、画家にポーズをとっている作品は
国王夫妻が壁に掛かった鏡に描かれていて
その描写がおもしろく、私が大好きな一枚。

構図もさることながら筆致の素晴らしさには目を見張る。
例えば王女マルガリータの青いドレスは
ささっと筆を走らせているのに
少し離れると、サテンの光沢が鮮やかに浮かび上がる。


王女は幼い時からウィーンのハプスブルク家に嫁ぐことが決められていた。
写真がなかった時代、数年おきに描かれた王女の肖像画が
スペインからオーストリアへ送られ、成長の様子を伝えたという。

赤ん坊だった王女が、ようやく立ってポーズをとれるようになった頃から
可憐な少女となり、美しい花のつぼみがふくらんでくるような頃まで
画家は優しく見守り続けた。

画面から伝わってくる、その敬愛のまなざし。
遠い異国へ嫁いでも、幸せであるようにと
祈りを込めて描いていたことだろう。。


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マルガリータ王女は15歳で輿入れし、6人の子を授かったが21歳で亡くなった。
11歳年上の実の叔父との結婚生活は
画家ベラスケスの願い通り、幸せなものだったと思いたい。







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この展覧会はハプスブルク家の膨大なコレクションが主眼で
王女マルガリータだけが来ていたのではありませんw

でもね、ハプスブルク家の歴史=ヨーロッパ史。
もう本当にあらゆる美術工芸品が展示されていました。
なので、省略しますが(え?

あ、こちらも大変おもしろかった!
ヤン・トマス怍「神聖ローマ皇帝レオポルト1世と皇妃マルガリータ・テレサの宮中晩餐会」

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                      (web上からお借りしました)


晩餐会をカメラで撮ったようにリアルで、それぞれの人物の動きがとても楽しい作品でした。









































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The Nutcracker      [カーテン・コールの後に]

K-BALLET COMPANY Einter Tour 2019 くるみ割り人形
                     ~オーチャードホール

(キャスト)
ドロッセルマイヤー:杉野慧
マリー姫:小林美奈
くるみ割り人形:栗山廉
クララ:吉田早緖



(指揮)井田勝大
(管弦楽)シアター・オーケストラ・トウキョウ






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夢の世界がそのまま現れたような豪華さ!

麗しい栗山王子を筆頭に
美しく鮮やかな踊りを堪能しました。
ほんとうに、ダンサーの皆さんの身体能力は凄いっ!

加えて、舞台の隅々まで行き届いた演出に驚愕。
オケのサポートも完璧でした。

芸術監督の熊川哲也さんのポリシーは
本当にすばらしい!

そして、物語もチャイコフスキーの音楽も
時代が変わっても受け継がれていく
まさに普遍的なものですね。



























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マタイ受難曲    [コンサートの記憶]

コラールの歌詞ひとつひとつが
長い残響音とともに
深く心に刻まれる



特別な思いが重なり
声をひとつに合わせた時

神のための音楽は
人の魂の慰めを奏でる。。



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のびやかなアルトのアリアは
まさに天上の歌声!

これまで何度も聴いた
青木洋也さんのアリア。
でも
この日は今までの中で最高!

カテドラルに響いたのは
あたたかく、優しく
そして しなやかな強さを持った歌。。



きっと いつまでも
私の耳の奥で
美しい記憶となって残るに違いない。








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