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クリスマスのプレリュード    [コンサートの記憶]

鈴木優人チェンバロリサイタル
        ~鎌倉雪ノ下教会

(チェンバロ)鈴木優人



(プログラム)
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV846~869

(アンコール)
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV846 より プレリュード




祈りの空間に
クリアに響くチェンバロの音色

まるで
聖書のエピソードが語られるように紡がれる音楽は
半音ずつ調が上がる度に天へと近づく。。



'21Nov平均律雪の下1.jpg



2日前に都内のホールで優人さんが弾いていたのと同じ、
シノワズリの装飾が美しい鈴木家のチェンバロ。
優人さんの「平均律ツアー」は日本中を駆け巡った。
この楽器と、調律師さんとともに。

ツアーのラストは教会。
以前、ここで優人さんが毎年のようにクリスマスコンサートをしていて
それを聴きに行ったことのある私にも案内が届いた。

「こんな時期ですので、人数を減らしての開催です。
ご案内も ごく控えめにさせていただいております。」

そんなふうにお誘い頂いたら、行かないという選択肢はありませんw



演奏会の前に、牧師さんのお話。
演奏することを「再現する」と仰ったのにハッとする。
バッハが天啓を得て書き留めた音符たちを見て弾くと、
聴こえてくるのは
作曲家と演奏家を通して語られる天の詞。。

そして、お祈り。
会衆の心が寄り添い、あたたかな優しさにつつまれる。


演奏が始まると
まず その美しいサウンドに驚かされる。
硬質なひとつひとつの音が
まるで その粒が見えるように煌めき
柔らかな放物線を描いていく。。

そうして語られる物語に耳をかたむけ
ともに享受し、深く共感しあう。
そんな空間にいられる事への感謝で
胸がいっぱいになる。。


優人さんの演奏はどんどん熱をおび、
後半はアグレッシブに!
速いパッセージは2日前よりもさらに加速し
大木のような重量感と
羽のように軽いフレーズのコントラストが
くっきりと描き出される。

途中、楽器の内部に不具合があったらしく
演奏を中断して、自身で点検。
そして何事もなかったように
演奏が再開される。

チェンバリストは内部構造を把握していて
多少の事なら自分で処理できる。
何でも調律師さん任せのピアニストとは大違いw



12の調を登りつめた
その先のハ長調が再び奏される。
まさに、清らかな天上の音楽。。







'21Nov平均律雪の下2.jpg



ツアーのラスト2公演が聴けて大満足!
けれど、5月に聴いた平均律が
ツアーの始まりだとしたら?

バッハの音楽は
高原の風に舞い
都会の夜に夢を描き
海辺の教会で天上の響きとなった。。













































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