SSブログ

クラシック党!May'22      [語られる音たち]

バッハの無伴奏チェロ組曲Ⅱ
        ~朝日カルチャーセンター 新宿

(講師)チェリスト 笹沼 樹

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調
               第4番 変ホ長調




笹沼樹さんが筆写譜(自筆譜は消失)から読み解く
バッハの無伴奏チェロ組曲の2回目。
前回同様、チェリストならではの視点による
深掘りな解説に感銘を受けました。




'22May笹沼.jpg





今回はレジュメを作って下さり、それに添っての解説。
まずは前回のおさらい。

・J.S.Bachの無伴奏作品
・無伴奏作品をどう聴くか
・自筆譜・筆写譜

そして、今回の2曲(第3番・第4番)の解説を詳しく。
プロジェクターで楽譜を見せて下さるので理解が深まります。


いよいよ生演奏~♪♬

地鳴りのような重低音!
床から振動が伝わってくる。

舞曲の軽やかなステップを楽しむうちに
大自然の光と風の中にいる。。

前回よりもさらに充実した演奏を
至近距離で聴けて感激でした。






演奏前の解説の中で、無伴奏作品の聴き方が語られました。

J.S.Bachの時代、
チェロは通奏低音の役割を担っていた(いわば伴奏)ので
独奏、すなわち通奏低音が書かれていないこの作品は
とても特殊だった。

そのため、奏者は楽譜からポリフォニックの要素を読み取り
あたかも通奏低音が存在するような表現が必要になる。
また、聴き手も耳を澄まして、それを感じ取る。。




そうすると、不思議なことに
聴こえてくるのです!
バスライン、ハーモニー、
そして対旋律まで!

これはきっと、笹沼さんの素晴らしい演奏のおかげでしょう~♪♬♡



願わくば
私の思い描いた景色が、旋律が
奏者と同じものでありますように・・。

































nice!(8)  コメント(0) 

Le Concerto en sol majeur    [コンサートの記憶]

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第352回定期演奏会                            
             ~東京オペラシティコンサートホール

(出演)
指揮:藤岡幸夫
ピアノ:角野隼斗*
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

(プログラム)
M.ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
      ピアノ協奏曲ト長調*

黛 敏郎:シンフォニック・ムード
    :BUGAKU


(ソリストアンコール)角野隼斗(Pf)
G.ガーシュウィン:スワニー





千変万化のピアノに息をのむ!

柔らかくセクシーなモノローグ

キラキラと光る繊細な粒子。。





          (おことわり)ピアノ協奏曲の事だけを書きます。


'22May角野3.jpg

          

拍手の中、黒の蝶タイ・スーツ姿の角野隼斗さんが登場。
普通、ソリストや指揮者の通り道はステージの端なのだが
この日はオーケストラ奏者席の間を通るようになっていた。
角野さんは一瞬迷ったようだが、すぐに正しいw道を通ってピアノの前へ。
いつものように、深々と長いお辞儀。(とても好感が持てる!)
ウェーブのかかった、やや伸びた髪を右耳にかけている。
椅子に腰掛けながら高さの調節を少し。
気持ち良くピンと伸びた背筋。
指揮者と目を合わせる。

パン!!
鞭の音が鳴り響く!
ラヴェルのコンチェルトの始まりだ。

ピアノの鮮やかなグリッサンド!
管楽器が華やかに踊り出す。
それを制する柔らかいピアノ。
アンニュイで香り立つようなハミング。
柔らかく官能的なフレーズは
薄明かりにたなびく紫煙のよう。。

つかの間の幻影が消え
軽やかなピアノに先導されて
音楽が走り出す!

それが緩やかな流れになると
ピアノは羽音のように繊細なトリルを奏でる。

さあ、まっしぐらに終結へ!
ピアノの低音が地響きのように鳴る!
迫力のフォルティッシモ!!



ピアノの独奏で始まる2楽章。
清流のように運ばれていく音楽。
シンプルに聴こえるけれど
そこに絶妙なアゴーギグがある。
角野さんの鉄壁のテンポ感あってこそ
生み出される僅かなゆらぎ。
まるで清楚な花の香りのように。。

そして天空には
何億年もの昔から
星々が
その輝きを放つ。

この愛しい小宇宙に
永遠に留まっていたい。。





けれど、とうとう終楽章だ!
Presto!!
ピアノがオケをグイグイ引っ張る!
すっごいドライブ感!
そして
どんなに強打しても
どんなにスピードを上げても
粒立ちの良い音色は美しさを放つ。
最高のバランス感覚!

フレーズが波のようにうねり
弧を描いて踊る。
こんなにエキサイティングなラヴェルを
私は初めて聴いた!


角野隼斗さんの指が
鍵盤を操ると
かき留められた音符たちが
生命を宿し
たった今、生まれたかのように
新鮮な輝きをはらみ
歌い 踊る。
そうして
今まで見たことのない風景が
しなやかに立ちあがる。。




大喝采!!




熱烈な拍手が続き
何度もステージに呼び戻される角野さん。
もう一度、丁寧なお辞儀をすると
すっとピアノに向かう。
ピタリと止む拍手。
さあ、アンコールは?
アップテンポのストライドに乗って
懐かしいメロディーが始まる。
ガーシュウィンだ!
ラヴェルと接点があったという人の作品だなんて、心憎い。
ああ、なんてジャジーでカッコいいんだ♡






'22May角野4.jpg





この日の私の席は、ステージにかなり近く
しかも鍵盤が良く見えるところでした。
これまでも配信で手元はしっかり見ていたけれど
生で、こんなに近くで見るのは初めて。
角野さんが
今、ここで音楽を創り上げていく
その瞬間に立ち会い
同じ空間の中で呼吸を合わせる。
すごかったなあ。
まさに唯一無二の演奏!


終わってしばらくして、緊張が解けて
涙があふれてしまった。








'22May角野1.jpg

                (この写真はweb上からお借りしました)





そうそう、
アンコールの後も長く拍手が続き
指揮者がなかなか締めてくれないので
角野さんがオケを立たせる仕草をしてました。
ソリストがそんな事をやるのを初めて見たw
そのすぐ後に指揮者が合図を出したので、お開きに。

それにしても、これだけエキサイティングな演奏だったのに
終わると平然としている角野さん。
頭脳明晰な方は切り替えも早いのでしょうか。

聴衆の方が大興奮してましたねえw
コンチェルトの後の休憩時間、
ロビーは興奮で喧しいこと!

後半が始まりそうなので客席に戻ろうとした時、
廊下の先に見えたのは、なんと角野さんの後ろ姿!
驚いて固まってしまいましたよw
角野さんはスタッフに誘導されて
ステージ脇の扉の中に消えていきました。

私は、その扉の奥に向かって
「すてきなピアノをありがとう!!」
と叫んだのでした。
(心の中で♡































































nice!(7)  コメント(0) 

Coda        [カーテン・コールの後に]

映画「Codaあいのうた」

両親と兄が聾者という家庭で育った女子高生ルビーは
小さい時から彼らの手話通訳をしてきた。
家の仕事である漁師としても働く毎日。

ルビーの歌の才能を見抜いた音楽教師が
彼女にバークリー音大の受験を勧める。
音楽教師の熱血指導で
歌の練習を頑張るルビーだが、
聞こえない家族との葛藤が。。



とにかく歌と音楽が素晴らしくて
ボロ泣きでした。

登場人物の心のひだが繊細に表現される。
それぞれの気持ちに寄り添い
物語の展開に固唾をのむ。。

気が付けば、全員を応援していました!




'22May Coda.jpg







CodaはChild of Deaf Adult(聾の親を持つ子ども)の意。
音楽記号のCodaは楽曲の終結などを表すけれど
ここでは新たな章の始まりを示唆しているよう。


オスカー獲る前から観たかったのは、
監督のシアン・ヘダーさんのインタビューを見たから。
こういう作品を創る人がいる、世の中捨てたもんじゃない!















































nice!(5)  コメント(0) 

スペシャルなショパン    [コンサートの記憶]

Solistiade Presents 特別コンサート2022
            ~サントリーホール

「スペシャル・コーナー」ピアノ:反田恭平

ショパン:マズルカ風ロンド ヘ長調 作品5
    :ラルゴ 変ホ長調
    :ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53 「英雄」





磨き上げられた音の粒が
艶やかなフレーズを歌う!
光と影の美しい魔法のようなショパン。。





反田恭平さんが弾いた3曲は
パレチニ先生の授賞式(ショパン音楽大学)で演奏した作品。

授賞式にはツィメルマンが祝辞を述べに来ていたのに、演奏せず
パレチニ先生も演奏せず、
自分だけが弾くという異様なプレッシャーだった。。

そんな母校での式典の様子が目に浮かぶような
あたたかな、愛にあふれた音楽を聴かせてくれた。




'22May反田1.jpg





この日は、いわゆるファンの集いでw
反田さんの独奏の他に
オーケストラの指揮をしてみようという企画では
数人の一般の人が指揮をし
小さな男の子のマエストロが場内を沸かせたり
反田さんの指揮での演奏があったけれど
私が聴きたかった反田さんのピアノ独奏が
3曲も聴けて、本当に感激した♡




そうそう、オーケストラのコンマス東さんグッジョブでした♬
やはり、オケはコンマスありきだな~。
東さんの後ろには周防さん!(拍手



'22May反田2.jpg


ホール正面脇の電光掲示板、いつもは公演のポスターなのに
この日はこんなふうでした。
なんだか秘密な感じでステキw




さて、反田さんは指揮の勉強のためにウィーンに留学中。
いつの日か、自分のオケじゃなく
世界のプロオケから呼んでもらえますように!




























nice!(6)  コメント(0) 

The Symphonic Sessions 2022    [コンサートの記憶]

葉加瀬太郎 オーケストラコンサート2022  
             ~東京国際フォーラム ホールA

(セットリスト)
Taro Hakase:情熱大陸
      :Another Sky
      :ひまわり
映画サントラ:さよならをもう一度(Brahms Symphony, No 3)
Henry Mancini:Moon River
Taro Hakase:Wild Stalions

L.Bernstein:West Side StoryよりTonight~Maria
Taro Hakase:New Beginnings
      :WITH ONE WISH
A.Piazzolla :リベルタンゴ
Dvořák/クライズラー&カンパニー:新世界

(アンコール)
V.Monti:チャールダーシュ







ここでしか聴けない極上のアレンジを
最高のプレイヤーで!

喜怒哀楽すべてが凝縮された
すばらしい音楽に包まれた
至福の時間と空間。。









'22May葉加瀬1.jpg


5000人収容の大ホールに
ファンファーレが鳴り響く!
そして
いきなりアップテンポの曲がスタート。
「情熱大陸」だ。
のっけから凄いテンション!

葉加瀬さんとバンドのメンバー、そしてオーケストラ。
まさに豪華な音の祭典。

「Another Sky」
旅への扉を開ける時のテーマソング。
空を飛び、向かう彼の地へ高まる期待。
そんな胸の鼓動を思い出して涙があふれる。。


そして「ひまわり」
柔らかな旋律が舞い上がる。
ひまわりが仰ぐ空は澄み渡る青。
照明がそれを美しく表現する。
プレイヤー達が広大なひまわりの原で弾いている。。



さて、これで「ヒット曲」はやり終えてしまった!
という葉加瀬さんのお茶目なお話w
つまり、この後は
この大編成でしか出来ない曲を演奏するという。
映画音楽や葉加瀬さんの作品が
素晴らしい編曲と演奏で次々に聴ける贅沢♡♡♡




'22May葉加瀬2.jpg





編曲も演奏も、そして音響も照明も
全てが一流!
まさに極上のエンターテイメント!!

'20に中止になってしまったオーケストラコンサートを
私は昨年の春に聴くことができた。
それは本当に心に残る素晴らしいコンサート!
今年もまたツアーがあると知り、
もう昨年末からチケットをゲットして
半年近く待っていた♪♬
この春のツアーは全15公演が完売って
そりゃそうでしょう!
このクオリティの高さ!
そして、心に訴えかけてくる情熱。

セトリ最後の「新世界」は
もう、ずーーーと手拍子し続けたよ。
いやあ、ハイテンションでしたねえ。



そうそう、今年の指揮もモチロン水野蒼生さんでした!
去年は指揮棒ナシでしたが、今年は持って。
変わらずカッコ良かったけど、
ピシッと決まって、ちょっと風格も出て
なんか成長したなあ(うるうる)w

あと印象に残った方はチャールダーシュで
葉加瀬さんに絡んだクラリネット。
蝶がひらひらと舞うようなフレーズは
まさにロマの音楽そのもの♬♪
え?それだけ?っというくらい あっけなかったけど
そこがまたステキだったな♡





「いっぱい泣いて、いっぱい笑った
 ぜひ再演してください」
と、ツイッタに投稿したら
羽毛田さんがリツイトして下さるし
葉加瀬さんが
「はい」
と引用リツイトして下さってビックリ仰天!
直接大スターに気持ちを届けられるSNSってホントに凄い。
良い時代になったなあ。





'22May葉加瀬3.jpg




ラ・フォルジュルネの音楽祭がなくなって以来、
5月にここへ来たのは久しぶり。
この日は超満員のホールA。
葉加瀬さんも仰っていたように
少しずつ、以前の雰囲気が戻ってきた感触。
でも、決して油断せずに
前へ進んで行こう。。




























nice!(7)  コメント(0)