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Before Advent      [コンサートの記憶]

教会で聴くバードの世界
       ~日本キリスト教団聖ヶ丘教会





(出演)
Vocappella Hijirigaoka

ソプラノ/小林 恵
アルト/青木 洋也(ディレクター)
テノール/及川 豊
テノール/前田 啓光
バリトン/小池 優介
オルガン/新妻 由加




(William Byrd プログラム)
1. The Bells(Organ)
2. Laetentur coeli
3. Vigilate
4. Kyrie (for 3 Voices)
5. Gloria (for 5 Voices)
6. Angelus Domini descendit
7. Credo (for 5 Voices)
8. Miserere (Oran)

9. Rejoice unto the Lord (Solo)
10.Puer natus est
11.Sanctus (for 4 Voices)
12.Benedictus (for 3voices)
13.Domine,secundum multitudinem dolorum
14.Miserere mei
15.Agnus Dei(for 4 voices)

(アンコール)
Cantate Domino (Motet)





400年前の祈りの旋律が
時を越えて蘇り
生き生きと歌われる

追いかけ、重なる五つの声
絶妙な不協和と協和

優しいオルガン

そして青木洋也さんの
凛とした独唱。.


'23Decバード1.jpg





2023年は英国の作曲家である
ウィリアム・バードの没後400年。

カトリックの信仰が厚い
バードの3つのミサ曲から抜粋し
ひとつのミサ曲に再構成したプログラム。

礼拝堂で歌われる祈りの歌。
当時の人々も
こんなふうに聴いていたのだろうか。


明日からアドベントという日に聴けて
心が豊かになりました。




'23Decバード2.jpg




ウィリアム・バードの作品は
ピアニストのキット・アームストロングが
良く演奏するので、
私にとっては馴染みのある作曲家。

この日、冒頭でオルガンが演奏した
The Bells(鐘)はキットのレパートリーの一つで
今年、久々に来日した時も
演奏してくれました。↓↓
          The Golden Age



キットは、
ピアノならではの表現を模索し
楽器の響きを生かした演奏をする。
私が耳馴染んでいる現代的な表現。
それは
当時のものと、かなり違っているのだろう。

この日の演奏を聴いているうちに
懐かしい気持ちになったのは
ウィリアム・バードの
元の音楽を聴いたために違いない。。




























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JOSÉ feat. HAYATO    [コンサートの記憶]

ホセ・ジェイムズ feat.角野隼斗 (2nd.)
            ~Billboard Live Tokyo


'23Novホセ1.jpg


ずっと前からデュオを組んでいるかのように
息がピッタリの二人!

暖かく力強い最高の声が
センス抜群のインプロを歌う

それに軽やかに寄り添い
レンジ最大に主張するピアノ。。





(セットリスト)
1 Christmas in New York
2 The Christmas
3 Christmas song
4 I've Got My Love to Keep Me Warm
5 Have Yourself a Merry Little Christmas
6
7 Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!
8 Moonlight
9
10 An old fashiond Christmas
11 Body And Soul
12 White Christmas

(アンコール)
Trouble





'23Novホセ2.jpg



Billboard Live Tokyo は吹き抜けの空間。
ステージの後ろが総ガラスで
六本木の夜景が美しい。

やがて緞帳が降ろされると
アーティストが客席後方の階段を降りて来る。
拍手と歓声!

ホセ・ジェイムズさんは濃いオレンジ色の、
角野隼斗さんは黒のスーツ。

やわらかくスタインウェイが鳴り始める。
ステキにジャジー。
ホセさんの優しい歌声。
もう、ここはニューヨーク!


この日のMCはホセさん主体で。
だからほぼ全て英語です・汗

二人の挨拶の中で
角野さんは
「学生の頃からホセさんの音楽を聴いて
ライブにも行った事があるので
今日はとても感慨深い」


ホセさんのボイパと
リズミカルなピアノのイントロ。
ハッピーなクリスマスソングに
みんな笑顔。
自然に身体が揺れる。
角野さんのジャズって
前よりさらに進化してる(凄~


'23Novホセ3.jpg
      (この写真はweb上からお借りしました)

ホセさんのおばあちゃんは
子どものホセさんにジャズを聴かせてくれた。
中でもフランク・シナトラの歌をたくさん!
おばあちゃんは
ホセさんがシンガーになる前に天国へ。
「今日は空の上から見ているよ
マティーニを片手にね」

シナトラを彷彿させるような
心地よいスローバラード。
もう、とろけてしまう♡



そして、
角野さんが指パッチン!
ホセさんがオーディエンスに
手拍子を促す。
なんと、それが裏拍になって
ストライド・ピアノが跳ねる!
クラップをキープ!だけど全員で見失う事件w
ホセさんが「You, miss!」と突っ込む。
必死に戻るオーディエンス!
そこからは最後までクラップ ♪♬
ホセさんに褒められた~w



'23Novホセ6.jpg



あたたかなスローのクリスマスソング。
その間奏の豪華だったこと!
ピアノの厚いハーモニーが
最大級のダイナミクスレンジで響きわたる!
PAが追いついてません・汗
さすがクラシックピアニスト!


そうかと思うと
次の曲ではタイトなテンポで
バッチリ決める!
ベースやドラムスが聞こえてくるよう。
もう、ひとりでピアノトリオやってるみたい。
角野さん
ジャズピアニストでしたっけ?
オシャレすぎです~!

角野さんがニューヨークに住み始めたのは
インプットするためだそうだが
本当にもの凄い勢いで吸収している。
そして、それを咀嚼し
自分自身の確かなものとして
アウトプットしている。
その循環の恐るべきスピード!!
一体どこまで深化するのだろう。。


(この曲と他1曲のタイトルが解らなくてすみません・汗)


さて、
Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow! なら
手拍子を見失うことはありませんね~
ホセさんの歌は
ジャズシンガーにありがちな
フラットして表情を付ける事が
全くない!
ホントに爽快。
とにかく(何度でも言ってしまうけど)
声が良いのですね~♡

偉大なシンガーとの共演が
楽しくてたまらない角野さん☆

ホセさんに
「君のニックネームはgenius(ジーニアス)」
と言われて困ってますw

'23Novホセ4.jpg
                 (この写真はweb上からお借りしました)

夜の海を月の光が照らす。
優しい風
追憶の夢
歌とピアノがランデブー。。



'23Novホセ7.jpg



続いては
女性シンガーのターリさんが共演。
明るくチャーミングな声で
2曲、楽しませてくれました。



ソロに戻りジャズのスタンダード。
Body And Soul も
ホセさんが歌うと
ほんとうに洗練されていて
何だか初めて聴くように新鮮。
それは
角野さんのピアノのセンスと
マッチしているから!
なんという多幸感だろう。。


ラストの White Christmas
ヴォーカルとピアノの
幸せな会話に夢心地。


アンコールはホセさんのオリジナル♬♪
ダンサブルに弾けて
ホントにカッコ良かった♡
イエ~イ!!




12曲+アンコールという
超豪華なクリスマスプレゼント☆★☆
二人のデュオは
また絶対聴きたい!!



'23Novホセ5.jpg
         (この写真はweb上からお借りしました)







それでねw
ホセさん単独のサイン会があったのです。
もちろん、CDを購入して参加しました!

はあ、ホセさん優しかったなあ♡

こうやってまた推しが増えるんです~♪





















































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W.Christie & Les Arts Florissants     [コンサートの記憶]

ウィリアム・クリスティ指揮
レザール・フロリサン
        ~東京オペラシティ コンサートホール

(プログラム)
J.S.バッハ:ヨハネ受難曲 BWV245

(出演)
ウィリアム・クリスティ(指揮)

バスティアン・ライモンディ(テノール/エヴァンゲリスト)
アレックス・ローゼン(バス/イエス)
ヴァージニア・トーマス(ソプラノ/女中)*レイチェル・レイモンドから変更
ヘレン・チャールストン(アルト)
モーリッツ・カレンベルク(テノール)
マチュー・ワレンジク(バス/ピラト)

レザール・フロリサン(管弦楽&合唱)






なんと 力強く、凛とした合唱だろう!
冒頭から
ぐいっと心をつかまれる。

そして超絶技巧の管弦楽!
幅広いダイナミクス
そして凄い推進力で
壮絶な受難の物語が繰り広げられる。






'23Novレザールフロリサン3.jpg



この日は
指揮とオケの両方が見える席をゲット。
奏者の心情がダイレクトに伝わってくる。



エヴァンゲリストを始めソリスト達は
歌の上手さはもちろんだが
とにかく声が良い!

合唱は1パートが3人ずつ。
みな若いので
アクティブで張りがある。
響きを合わせようとするクワイヤより
私は ずっと好きだ♡

ウィリアム・クリスティの指揮は骨太。
バッハの音楽が常にそうであるように
芯の強さに圧倒される。
そして
深く厳しい愛。

レチタティーヴォやアリアではコンティヌオに任せ
ほとんど指揮をしないマエストロ。
際立たせたい箇所でその奏者に身体を向けると
そこのフレーズがフワッと浮かび上がる。


重責の通奏低音奏者(コンティヌオ)だが
超能力者かと思ってしまうくらい
気を読み、歌を運んでいく。
特にオルガンとチェロ奏者には驚愕!!


第二部で
ユダヤ人が
「イエスを十字架にかけろ!」
と叫び、磔刑の場面へ。
イエスとその弟子たち
そしてピラトの心情が露わにされ
非情な結末へ!
まさに
今の世界情勢にリンクしているようで
凍りつく。。

そして終曲。
あまりにも清らかなコラールに号泣・・・


根底に流れる愛の深さ
祈りは今もまだ続いている。。






'23Novレザールフロリサン4.PNG
                (この写真はweb上からお借りしました)


この日は
フライング・ブラボー無し!!
拍手が始まるまでの静寂は
幸せな時間。。


そして、終わることのない喝采!!
上の写真に盛大に手をたたく私が写ってましたw

クリスティが「サイドの席にも挨拶を」と促し、
奏者全員が2・3階席を見上げてくれたものだから
もうボロ泣き(感涙・・





そして、サイン会~~~(ダッシュ!

4年前の来日の時もサインを戴いた
ウイリアム・クリスティさまの
単独サイン会♡


'23Novレザールフロリサン2.jpg

「とても感動しました!
私はあなたの音楽が大好きです!」
(いちおう英語ね)
と言ったら、なんと
「ハロー!サンキュー」
と答えて下さった~♬
で、調子に乗って
「東京に来て下さってありがとうございます」
と言ったら
「私は日本が大好きだよ~」
ですって~♪♬
「わー!ありがとうございます~」
(狂喜乱舞)w



マエストロ、いつまでもお元気で
すばらしい音楽を紡ぎ続けてください♡






'23Novレザールフロリサン1.jpg

































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Berliner Philharmoniker      [コンサートの記憶]

キリル・ペトレンコ指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
           ~サントリーホール


(プログラム)
モーツァルト:交響曲第29番イ長調K. 201
ベルク:オーケストラのための3つの小品Op. 6
ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op. 98








ペトレンコが振るう絵筆から
鮮やかな色彩が溢れ出し
千変万化の映像が描かれる!






'23Novベルリンフィル4.jpg


清水の舞台から「エイっ!」と飛び降りて購入した
ベルリンフィル来日公演のチケット。
待ちに待った当日がやってきました!

しかーしっ!
私の席は2階のはじっこ!
発売日に買ったS席なのに(怒
上の写真は、その席から撮ったものです。

けれど、オーケストラの音は
とっても良く聴こえてきました!(安堵♡



'23Novベルリンフィル6.jpg
                           (プログラムより)



ツイードの手触りのような
奥深く、洗練された音色で奏でる
室内楽のように引き締まった音楽。


そして
カオスのようなベルクでも
全てのパートの旋律と奏者の思いが
クリアに届く。

ソロをとる奏者に自然に目が行くのは
「気」が強く発せられるからでしょう。

マエストロ・ペトレンコの指揮は
柔らかい腕と手から
音楽があふれ出すよう。

ベルク以外は
拍節を殆どカウントせず
豊かな表情を描き出す。
感情の高ぶりとともに
うなるような声を発しながら。

奏者は
楽譜を読んで弾くというより
空気の中から
音楽をすくい出し
楽器に歌わせているかのよう。

まさに極上の時間。


ベルリンフィルは
音色の良さはダントツで
抜群に上手いという事は
映像や放送で聴いて
よーく知っていたけれど
やはり
ナマは凄かった!

ブラームスのハーモニーが
豊かに響き
涙があふれる。。

ほんとうに
ほんとうに
聴けて良かった。




'23Novベルリンフィル5.jpg




と、ところが!

ベルクのラストで
なんと
フライング・ブラボーがっっ!!

集中力マックス!
もの凄い緊張感で迎えた最後は
巨大ハンマーの一撃!!
の瞬間の「ぶらぼおっ」

ひーーー

もう、ホール中が凍りましたよ。

私なんか両手を挙げて天を仰ぎました。
こんなふうにね ↓↓

'23Novベルリンフィル2.jpg

カラヴァッジョの「キリストの埋葬」
画面奥の人のポーズと全く同じですがな(泣

指揮者もK本さんも堅い表情。
もうね、悲しくて
アーティストに対して
ほんとうに済まない気持ちでいっぱい。


この日はロビーに黒スーツの人が大勢いて
妙な雰囲気でした。
モーツァルトの拍手も早かったし。
スポンサー関係や招待客って、どうなんでしょう?

心から音楽を聴きたい人だけで
演奏が聴けたら、どんなに幸せだったことか。


救いだったのは
全ての演奏が終わり
喝采の中、オーケストラが退出した後
マエストロがひとりで挨拶に出て下さったこと。
それも、何度も!
最後は胸に手をあてて
感謝の意を表して下さいました。


ペトレンコさま
これに懲りずに
ベルリンフィルと一緒に
また来てね~♡













感謝祭なのに
もう、クリスマスツリーのカラヤン広場☆

'23Novベルリンフィル3.jpg













































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Piano’s Monologue 第1回       [コンサートの記憶]

亀井聖矢  ピアノ リサイタル
     ~オーチャードホール

(オール・ショパン・プログラム)
スケルツォ 第4番 Op.54
24の前奏曲 Op.28 より 第1番
3つのマズルカ Op.59
  第36番 a-moll 第37番 As-dur 第38番 fis-moll
3つのワルツ Op.34
  第2番 As-dur 第3番 a-moll 第4番 F-dur 
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22

ソナタ 第3番 h-moll Op.58

(アンコール)
ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53 〈英雄〉




'23Oct亀井4.jpg


ショパンの作品を
三種類のピアノで弾き分ける。
なんて意欲的な演奏会でしょう!

ステージには3台のピアノ。
手前からエラール(1811年製)、
スタインウェイ
そしてプレイエル(1843年製)。




開演前のステージ付近は
かなりの人がピアノを撮影しています。
写真OKなのは嬉しいですネ。

ところで、このピアノの位置は
本番中に何度も入れ替えがありました。
ピアニストが演奏する楽器を中央にして
他の2台は後方に待機させるため。

後ろに下がった楽器も蓋が全開になり
反響板の役割を担います。
スタッフの方々、ご苦労さまでした!


さて、開演。

まずはスタインウェイでスケルツォ4番。
若さあふれる、華麗な演奏!

そして、亀井聖矢さん自身による解説。
「プレリュード1番を三種類のピアノで弾きます。」

同じ作品を弾いてくれるとは!
ピアノの違いが良く解りますね。
スタインウェイ・エラール・プレイエルの順。
だんだん古い時代に遡るわけです。

タッチも音の鳴り方も違うので
弾き分けるのは至難の業のはずなのに
亀井さんは瞬時にコントロールして
エラールとプレイエルから
ピュアな音色を引き出す、
本当に素晴らしい演奏です。



続いてプレイエルでマズルカを。
マズルカらしい
とても細やかな音楽づくり。
ショパンの息づかいが
聴こえてくる。。


ワルツはエラールで。
少しモダンピアノに近づいた楽器で
華やかに、そして気品を持って。



'23Oct亀井2.jpg




解説を聞いていると
亀井さんが
ショパンの人となりと作品を
深く勉強していることが解る。

そして、ピアニストならではの
楽器に対する印象が聞けたのも良かった!

「ショパンが指示した手の置き方をすれば
 自然に良い音がでてくれる」
「楽器によってテンポが違ってくる」
他に、指先のコントロールのことや脱力など
ほー、ナルホド!
と思ったお話が沢山。


前半最後のアンスピと後半のソナタ3番は
もちろん、スタインウェイで。
その スケールの大きいこと!

一つ一つに存在感のある音。
どんなにアップテンポでも
全てがクリア。
大ホールに響きわたる
充実したハーモニー。

熱いエネルギーがはじける、
ソナタ3番は圧巻!!



'23Oct亀井1.jpg



さあ、アンコール!
「英雄ポロネーズを弾きますが
 どの楽器で弾くか、皆さんに決めてもらいたい」
おお~!
拍手の大きさで決まるとあって
私はプレイエルの時に盛大にたたきましたよw
英ポロをプレイエルで聴ける機会は
今後あまりないと思ったので。
プレイエルの拍手がダントツに大きく、
みんな考える事は同じ?w
めでたくプレイエルで聴くことができました♡

プレイエルの弦はストレートに張ってあるので
響きがとても素直。
でも、構造上 連打がしにくい。
鍵盤の返り方に敏捷さが欠けるのです。
なのにっ!
生き生きとしたテンポで
軽やかにキメる亀井さんっ!!
左手のオクターブ旋回を
こんなスピードで聴いたのは初めてだ(凄~!
そうか、ショパンは
こう弾いてほしかったのだな、と
思わず納得。

爽やかな英ポロに大喝采!
スタンディング・オベーション!


↓↓ 大活躍のプレイエル。

'23Oct亀井3.jpg



このリサイタルは
Piano's Monologue の第一回でした。
第2回は室内楽。
そして第3回は協奏曲。
亀井聖矢さんの
オール・ショパンの旅は
まだまだ続きます。

これまで亀井さんは
爽快にカッコ良くキメる
超絶技巧の作品が得意わざ。

'22に亀井さんが優勝した
ロン・ティボー国際音楽コンクールでは
審査員の中に
「テンポが速すぎる」
という意見があったようですが
「全ての音がクリアに聞こえている」
と、高評価だったそうです。

亀井聖矢さんは21歳。
生まれた時には
既にインターネットの世の中。
そんな若者のテンポの感覚が
昔と違っていて、当然です。

でも、今回は
最速の交通手段が馬車!という時代の作品。
それを当時の楽器で演奏したことで
感じるもの、得るものが
大きかったに違いない。
今後の演奏にどう影響するか、
興味は尽きません。





























































      
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Jean Rondeau at Mitaka      [コンサートの記憶]

ジャン・ロンドー チェンバロ・リサイタル
            ~三鷹 風のホール

J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988





優しい香りが
美しく花ひらく

3日前と違う舟に乗り
新しい宇宙へ漕ぎ出す。。




'23Octジャン三鷹1.jpg




低い「ソ」を響かせて
即興が始まる。

ジャン・ロンドーの
この日のインスピレーションは
柔らかな陽ざしのよう。

心を開いて語る
フランス語の物語。

まるみを帯びたフォルム。
両手に優しくつつむ
あたたかな想い出。。


かなり大きなホールなのに
チェンバロの音が隅々まで
良く響くこと!

豊かな低音の上に
煌めく音の粒子が
彩り鮮やかに舞い踊る。






'23Octジャン三鷹2.jpg


ゴルトベルクは
アリアと30の変奏曲、
そして再びアリアが奏される。

前回と同じく
全ての繰り返しを守り
変化に富んだ演奏を聴かせてくれた。

調律はジャン・ロンドー独自のものと
前日に教えていただいた。

今まで聴いてきた、この作品の
いくつかの変奏で感じていた
微妙な濁りが全くなく
まるで 
透き通った水の流れのよう。

濁りといえば
この作品を平均律のピアノで弾くと
ありえないほどの
「うなり」が生じる部分がある。
バッハの他の作品で
特に短調のものは
チェンバロで聴く方が
よほど耳になじむ。

それでも
ジャン・ロンドーは
さらに心地よい響きを追求して
オリジナルの調律法を編み出したのでしょう。



この前日のマスタークラスで
彼がフランス語で話しているのを聞き
ふと思った。
ゴルトベルク変奏曲の音楽創りに
フランス語の発音やイントネーションが
とても密接に関係している!

チェンバロのことを
フランス語で「クラブサン」というが
ジャン・ロンドーは
フランス・バロックの
繊細で優美な装飾や即興を
ゴルトベルク変奏曲に
とても自然にちりばめている。

バッハはドイツ人らしい律儀さで
装飾もきちんと譜面に書き付けた。
だから
バッハの作品は
折り目正しく演奏するのが
良しとされてきた。
まるで
ドイツ語を話すように、カッキリと。

けれど
実はバッハは即興が得意だった。
オルガニストにとって
教会の礼拝の際に必須の即興。

自身の作品には
即興と思われる部分も
しっかり書かれている。

譜面にしてしまうと窮屈だけど
実際の演奏は
もっと自由だったのではないか。
その瞬間のインスピレーションで
演奏が変化する。
音と音の
絶妙なあわい・・。

楽譜には表しきれない
そんなファンタジーが
弾く人によって
さまざまに表現される。
それこそが
古い時代の音楽を
今、ここで演奏する意味がある。

ジャン・ロンドーは
楽譜から逸脱するわけではなく
むしろ記されたものを大切に扱う。
全てを自身の中に落とし込み
暗譜で
心の赴くままに演奏する。
聴く者にとって
まさに一期一会。
100分間の至福の旅。。




'23Octジャン三鷹3.PNG

            (この写真はweb上からお借りしました)




華やかに重音が駆け巡る
第29変奏曲。
ここに到達すると
次は大好きなクオドリベッド!
でも
それを弾いてしまったら
もう終わりが すぐそこ・・

クオドリベッドを
祈るように聴き
そして
ダカーポ・アリア!
ああ、ここから
もう一周してほしかった。。




4日間、ほんとうにありがとう。




'23Octジャン三鷹4.PNG

       (この写真はweb上からお借りしました)



東京の公演の後、ジャン・ロンドーは
日本での残り2公演を無事に終えたようです。
↑これは、札幌でのショット♡



場所が変わり、空気が変わることが
心と身体に大きく影響して
演奏も変化するのでしょう。
もちろん
ホールとオーディエンスも変わるから
まさに一期一会の演奏になる。
それは彼に限ったことではなく
どの演奏家もそうかもしれない。

でもね
ジャン・ロンドーのように
音楽に心をゆだねる人の演奏は
宇宙の神秘のようなものが
聴こえてくるんだよ。。


























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Jean Rondeau at Ueno      [コンサートの記憶]

ジャン・ロンドー チェンバロ・リサイタル
          ~東京文化 小


(プログラム)
フックス: アルペッジョ
ハイドン: 鍵盤楽器のためのソナタ (ディヴェルティメント) 第31番 変イ長調 XVI:46
クレメンティ: 「パルナッソス山への階梯」作品44より 第45番 ハ短調
       序奏 アンダンテ・マリンコーニコ
ベートーヴェン: ピアノまたはオルガンのための前奏曲 第2番 作品39/2
モーツァルト:ピアノのためのソナタ ハ長調 K.545
モーツァルト:ロンド イ短調 K.511
モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397

(アンコール)
クレメンティ:アダージョ・ソステヌート ヘ長調 Op.44より
ドビュッシー:グラドス・アド・パルナッスム博士「子どもの領分」より
C.P.E.バッハ:アンダンテ「ソナタイ短調」より




'23Octジャン上野1.jpg




ピアノで馴染んでいる古典が
チェンバロで弾くのを
想定していたのかと思うような
ナチュラルさ!

規格外の装飾も
アゴーギグも
自由奔放で
ジャズのような
喜びに満ちていた。。




'23Octジャン上野2.PNG

        (この写真はweb上からお借りしました)


この日も休憩なしで
プログラムを一気に弾ききる。

音楽と一体化し
その宇宙に入り込み
全身全霊で
遠い昔の作曲家の魂と交信する。

そうして
チェンバロから
類い希な音色を引き出して
新しい物語を聴かせてくれた。



この日は平均律に調律されたチェンバロ。
アンコールにドビュッシーが聴けて
最高だった。



'23Octジャン上野3.jpg




「ロンドー祭り」の2日目でした!
一日、一日が愛おしいよ♡


何しろ、次の来日がずっと先らしいので(悲・・

前回の来日から4年も経っている!

私が初めてジャン・ロンドーをナマで聴いたのは
2018年、ドイツのライプツィヒでした。

Jean Rondeau (Bach Fest8)


その翌年に来日して
東京で2つの演奏会がありました。


Jean Rondeauー In the Italian Taste


Jean Rondeau - Clavecin 



































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Jean Rondeau at OJI      [コンサートの記憶]

ジャン・ロンドー(チェンバロ)
      ~王子ホール

(プログラム)
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988





あまりにも美しい
チェンバロの多彩な音色に
思わず息をのむ。。




'23Octジャン王子1.jpg



低い「ソ」を響かせ
ゴルトベルク変奏曲のG-durで
ゆるやかに奏される即興。

そうだ!
ジャン・ロンドーは
いつも即興から始めていた・・
忘れていた時間が蘇り
熱い思いが胸を突き上げる。

懐かしいアリア。
そして、4年ぶりに旅に出る。
30の変奏曲の旅へ・・。

それはファンタジーに満ちた旅路。
無心に遊ぶこどもが
空想の世界に入り込む。

インプロヴィゼーションのように
生き生きと
自由自在に奏でる音楽の新鮮なこと!
まるで、初めて聴く作品のよう。


'23Octジャン王子2.jpg


それぞれの変奏曲の
固定観念が取り払われ
テンポも装飾も
アゴーギグも
新鮮なアイデアにあふれていて。。
それは、おそらく
この瞬間に得た
インスピレーションから生まれた、
今、ここでしか聴くことが出来ない音楽。

90分以上もの演奏時間の作品を
休憩なしで
暗譜で弾く集中力!(凄

ダ・カーポ アリアの
最後の1音が
宇宙の彼方に遠ざかり
ジャンが戻ってくるまでの
永遠とも思える時間。

ともに旅ができて
幸せだった。。




'23Octジャン王子4.jpg
      (この写真はweb上からお借りしました)




配信やYTで聴いていたけれど
やはり、ナマは全然 違う!
4年ぶりに聴けて、最高でした。。

ジャンは長髪を切って
何だかノーマルな青年になっていた。
けれど、衣装は相変わらずラフでw
本番の衣装のままサイン会に現れたジャン↓

'23Octジャン王子3.jpg


とうとう始まった「ロンドー祭り」♡
初日から凄いものを聴いてしまった~♬♪

































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Mao Piano Recital      [コンサートの記憶]

藤田真央ピアノ・リサイタル
      ~サントリーホール

(プログラム)
ショパン:
ポロネーズ第1番嬰ハ短調Op. 26-1
ポロネーズ第2番変ホ短調Op. 26-2
ポロネーズ第3番イ長調Op. 40-1「軍隊」
ポロネーズ第4番ハ短調Op. 40-2
ポロネーズ第5番嬰ヘ短調Op. 44
ポロネーズ第6番変イ長調Op. 53「英雄」
ポロネーズ第7番変イ長調Op. 61「幻想」

リスト:ピアノ・ソナタロ短調S. 178

(アンコール)
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調Op. 1
チャイコフスキー:18の小品Op. 72より 第17曲変ホ長調「遠い昔」



'23Oct真央1.jpg


美しい抑揚で歌うポロネーズ。
1~7番通して初めて解る、
ショパンの真意の見事な表現に感動。。
間合いを取らず、次々に演奏された7曲は
まるで、ひとつの作品のよう。

ポロネーズは
飛び抜けて有名な6番「英雄」など
単独で弾かれることが多く
なぜ通して弾くのか不思議だったが、
聴いてみると
もしかしたらショパンは
通して弾くことを想定して書いたのでは?
と思うくらい!

特に、怨念とも思えるような曲想の5番から
「英雄」で華やかに弾けたエネルギー!
そして、アタッカで奏された「幻想」。
・・心の揺れ、時のはざま。。

そんな流れを
藤田真央さんのピアノは
柔らかな音色で
大切に表現していた。





その穏やかな空間が一変した
後半のリスト!

天使と悪魔が交錯する
ドラマティックな展開に釘づけ!!
もう、長尺があっという間!

千変万化の音色。
抜群のバランス感覚。

ブラヴィッシモ!!!




凄い集中力で大曲を弾いた後なのに
アンコールは
これまた超絶技巧のプロコ(凄~!

そして、ダブル・アンコールの
チャイコフスキーは絶品♡
藤田さんが弾くチャイコは
薫るような色合いが
本当にステキ♬♪




'23Oct真央2.jpg





満席のサントリーホールなのに
ピアニストが最後の音を弾き終えて
鍵盤から指を離し
向こうの世界から戻ってくる、
ほんとうの「終わり」の瞬間まで、
全くの
「無音」!!
空気のゆらぎさえも無い静寂。
まるで真空状態。
永遠とも思える長い時間が過ぎ、
身動きしなかったピアニストが
ゆっくりと身体を起こすと
止まっていた「時」が動き出す。

・・喝采・・!


あの長い静寂・・
藤田真央さんの音楽に対する強い想いが
オーディエンスを集中させ
全員の気持ちが
ひとつになって生まれた
奇跡のような時間を
私は決して忘れないでしょう。。




オーバーサイズのような
黒の上下に身を包んだ藤田真央さんは
おぼつかない(ように見える)足取りで
ステージに登場すると
お辞儀もそこそこに
持っていた黒っぽいタオルハンカチを
ピアノの中にポンと放り込み
あっという間に弾き始める。

そして演奏が終わると
お辞儀した?というくらいの
カンタンな礼をして
さっさと引き上げてしまう。
演奏が気に入らなかったのかしら?
と心配するくらいだけど、
再び登場した時は
満面の笑顔でお辞儀を繰り返す。

弾いている時の集中力の凄さは
何かが降臨したかのよう。
音楽の神さまと
交信しているのかも?

弾き終わると
まるで、憑き物が落ちたようにw
まさに天才なんですね!

藤田さんは
作品をあらゆる角度から
とても深く読み込み、
それを、どう表現するかを熟考しつつ
丁寧な練習を重ねているのでしょう。
天才であっても
努力を惜しまない。

たとえばショパン。
表現しようとするあまり
ポロネーズのリズムはどこ?
と思うような場面も。
それが個性的な解釈と
前向きに聴ければ良いけれどね。
その点、
ジャズもプロの
ゲルシュタイン先生に師事しているから
これから、どんな風に深化するか。
若いピアニストの未来が
とても楽しみです~♪♬























































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on early music    [コンサートの記憶]

フランチェスコ・トリスターノ ピアノ・リサイタル
         ~三鷹 風のホール

(プログラム)
J.S.バッハ:イギリス組曲第2番 イ短調BWV807
トリスターノ:Serpentina
J.S.バッハ:イギリス組曲第6番 ニ短調BWV811

組曲 ~オン・アーリー・ミュージック~
トリスターノ:Ciaccona seconda
フレスコバルディ:トッカータ集第2集より
          第4番 “da suonarsi alla levatione”
          第9番 “Non senza fatiga si giunge al fine”
          第8番 “Di durezze e ligature”
トリスターノ:リトルネッロ
スウェーリンク:ファンタジアニ調 SwWV259
トリスターノ:RSのためのアリア
ギボンズ:フレンチ・エアー、アルマン、イタリアン・グラウンド、グラウンド
トリスターノ:トッカータ

(アンコール)
トリスターノ:hello





即興のように
自由で生き生きとしたバロックと
タイトでグルーヴィーなオリジナルが
時空を超えて行き来する。。




'23Octフランチェスコ6.jpg



前半、イギリス組曲からの抜粋は
3日前よりずっと のびやかで
生命力にあふれていた。
超速のテンポでもブレない
美しい抑揚に聴きほれる。

バッハに挟まれたオリジナルは
細かいパッセージがミニマルのよう。
このチャーミングな小品とバッハが
何の違和感もなく
いや、それどころか
互いの個性を引き立て合って
豊かな空間が現れる。。


'23Octフランチェスコ7.jpg



後半も
オリジナルと古楽が交互に奏される、
フランチェスコのオリジナルの組曲。

前半と同じく、
ステージの上手から登場したフランチェスコは
ピアノの椅子に座ると
しばし 上の方を見やっている。
遠い彼方から
音楽が降りてくるのを待つように。
そして
おもむろに打鍵する。
かっきりとした音色のベースが
タイトなリズムを繰り出す。
繰り返されるグラウンド。
時折
研ぎ澄まされた短いフレーズが
火花のように弾ける!
そしてカオス・・
大きな渦に飲み込まれていく。

おだやかな水面に
ぽつり ぽつりと
したたる滴のように
フレスコバルディが たゆたう。
セピア色のモノローグ。
どの曲も切れ目なく奏され・・

いつのまにか
フランチェスコのオリジナルの世界へ。
細かい連打が風を呼び
大気が大きく揺れる。
やわらかな色彩の雲が流れ・・

引き寄せられたように
スウェーリンクのポリフォニーが
饒舌に語り合う
果てしない物語。

そして 
Aria for RS
祈り・・
神聖な響きと愛。
(プログラム・ノートに
「闘病している友の快復を祈りながら書いたというから、
 RSとは坂本龍一のことだろう」とあった)

聖歌はいつのまにか
いにしえの歌に すり替わる。
タイトなギボンズは
軽やかなステップを踏む。
そこから
あっというまにオリジナルになだれ込む。
グルーヴ感いっぱいのトッカータに喝采!!





                     (以下の写真はweb上からお借りしました)

'23Octフランチェスコ9.JPG

                 

アンコールは"hello"
もちろん、フランチェスコのオリジナル。
繰り返される太いベース音と
ホールいっぱいに響く
テンション満載のサウンドを浴びられて
幸せだったよ。。








'23Octフランチェスコ8.JPG




後半の組曲「アーリーミュージック」は
フランチェスコの公演の配信があり
本当にステキだったのだけれど
やっぱり
ナマは ぜんっぜん違う!
特にこの日は
エレクトロニクスを使わなかったので
グランドピアノのナマ音で
極上の響きを聴けたから
魂を持って行かれた。。















































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